堀田典生 中部大学生命健康科学部 運動生理学研究室

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科学研究費補助金報告2016(一般の方へ)

はじめに

2014年度からの継続で2016年度も科学研究費補助金(科研費)をいただき研究を行うことができました.皆様ありがとうございました.

私たちがやりたいことは何か?

きつい運動をする場合筋肉は酸性に傾いてしまいます.酸性に傾くと,運動中の血圧応答に関係する神経が機械刺激(筋肉の収縮や動き)に反応しやすくなり(文献1),血圧の過剰応答が生じると考えられます.

ロコモティブシンドロームやメタボリックシンドロームの予防改善には運動が効果的ですが,循環系にリスクがある人達にとっては血圧が過度に上がることは命の関わる問題になり得ますので,運動指導の幅を狭めてしまうという問題があります.

運動中の血圧応答に関係する神経が機械刺激(筋肉の収縮や動き)に反応しやすくなることを抑制する作用がコンドロイチン硫酸にはありそうであるというヒント(文献2)を元に動物やヒトを対象にコンドロイチン硫酸が効くがどうかを調べることを目的としています.

例えばコンドロイチン硫酸を摂取している人達は,関節に痛みを抱えているようなロコモティブシンドローム関連疾患をお持ちの方が多いかもしれません.このままでは将来寝たきりになるリスクが高いので運動療法によって筋肉運動などを実施することが求められます.ここで仮に循環系にリスクがあったとしても運動による酸性環境に陥った場合の血圧上昇が抑制できるので,より効果的な運動ができるということにつながりそうです.

このような考えを次の文献(文献3, 4)にまとめてみました.

文献1 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25452124  別サイトにリンクします

文献2 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22570376 別サイトにリンクします

文献3 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpfsm/5/5/5_369/_article 別サイトにリンクします

文献4 http://tspe.sakura.ne.jp/publish/doc/kaihou89.pdf(PDF形式:約0KB) 別サイトにリンクします 5ページをご覧ください

2016年度に取り組んだこと

1) 2015年度からの継続課題

 ヒトへの応用を考慮して,ラットの神経筋標本に用いるコンドロイチン硫酸の濃度を低くしても同じ効果が得られるのか?

 これまでの10倍薄くしても酸の機械応答増強作用を抑制できるということが分かりました.

 

2) 2015年度からの継続課題

ヒトを対象にした研究において,コンドロイチン硫酸経口摂取が運動昇圧応答に及ぼす影響の検討

2014年,2015年と脚のダイナミックな運動中の昇圧応答をコンドロイチン硫酸摂取とプラセボ摂取で比較しました.より血圧測定がしやすいように掌握運動に変えて昇圧応答を観察することにしました.酸性環境にするために,運動後に虚血にしてさらに運動をさせるという実験を実施しました.

これまでに有意な差は得られていませんが,虚血中の運動の昇圧応答が,コンドロイチン摂取後に下がる被検者もみられました.もう少し被検者数を増やして傾向をとらえたいと思います.

 

アイソメトリック運動をして乳酸を出しています.

アイソメトリック運動後に虚血にしながらグーパー運動をします.

 

利益相反,研究者の方へ

本研究における動物を用いた研究の中で用いたコンドロイチン硫酸の一部は,ゼリア新薬工業株式会社様からの供給を受けていますことを申告します.

 

上記の内容は一般の方向けに可能な限り分かりやすく説明しようと心がけました.学術的には不適切な言い回しが多々あると思いますが,学会発表や論文としても報告して参りますので,科学者・研究者の方はそちらをご覧いただければ幸いです.

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