中部大学 応用生物学部 環境生物科学科 岡田正弘 研究室

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DNA形質転換誘導フェロモン ~ComXフェロモン~

 

DNA形質転換誘導フェロモン ~ComXフェロモン~

 納豆菌等が属するバチルス属のグラム陽性細菌、枯草菌は胞子形成、抗生物質の生産、DNA形質転換といった特徴を有しているが、これらの現象は全てクオラムセンシングによって制御されている。なお、今日では分子生物学手法を用いて人工的にDNA形質転換が行われているが、枯草菌は自然状態でもDNA形質転換を行うことができる。そのDNA形質転換を誘導するクオラムセンシングフェロモンがComXフェロモンである。ComXフェロモンはオリゴペプチドであり、菌株によってそのアミノ酸配列は大きく異なるものの、C末端側にトリプトファン残基を有し、さらに分子遺伝学的解析の結果、そのトリプトファン残基が翻訳後修飾を受けていることが明らかとなった。その修飾様式はイソプレニル化ではないかと考えられていたが、そのような例はなく、詳細は不明であった。我々はこのComXフェロモンの翻訳後修飾の解明を行うために、RO-E-2株由来のComXRO-E-2フェロモンを標的に化学構造の決定を行った。その結果、ComXRO-E-2フェロモンはゲラニル基(C10からなるイソプレニル基) がトリプトファンのインドール環の3位に結合し、新たにプロリン様の5員環が形成されるという大変ユニークな修飾様式であることが判明した(図2)。さらに我々は、枯草菌6菌株由来のComXフェロモンの修飾様式も解明し、ComXフェロモンにおける修飾様式はプロリン様の5員環化を伴うファルネシル化(C15からなるイソプレニル基) 、もしくは環化を伴うゲラニル化の2種類であることが判明した(図2)。

図2 ComXRO-E-2フェロモンの化学構造とComXフェロモンにおける修飾様式

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