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研究レポート2 尾方寿好

【2013年11月9日】

高齢者の他動的な歩行動作中の呼吸の大きさについて-歩行中の転倒との関係-

高齢者が介護を必要とするようになった主な原因が“転倒・骨折”です(平成22年国民生活基礎調査 厚生労働省)。転倒は歩行中に起こります。転倒の一因はバランス能力の低下です。近年の研究では、立っている時のバランスは“呼吸”が大きくなると乱されることが分かっています(David et al., Eur J Appl Physiol 2012)。高齢者は歩行中に大きな呼吸をしているので(Durnin and Mikulicic,Exp Physiol 1956,Grimby and Soderholm, Scand J Clin Lab Invest 1962)、大きな呼吸と歩行中の転倒には関係があるかもしれません。

高齢者の歩行-転倒-呼吸の関係をより深く知るために、私たちは、前回ご紹介した「他動的な歩行動作」を若年者(20歳) と高齢者(70歳) を対象に行い、呼吸の大きさを比較しました。他動的な歩行動作中でも高齢者の方が大きな呼吸をするだろうと予測したためです。結果は以下の通りです。

予想通り、他動的な歩行動作中の呼吸は高齢者の方が大きいことが判明しました。他動的な歩行動作では、“歩こう!とする意志”は働きません。ただ、勝手に脚が動かされるだけです。ただ脚が動かされるだけでも、高齢者は大きな呼吸をするのです。

今後は、他動的な歩行動作中の呼吸が大きくならないようにするための方法を検討しようと考えています。このヒントは、Kita et al. (Exp Brain Res 2005) の研究に隠されています。彼らは、片足バランス立ちを行っている最中に呼吸は大きくなるが、トレーニングを行ってバランス能力を高めると、同じ片足バランス立ちを行っても、より小さな呼吸で済むことを発見しています。同じように、トレーニングによりバランス能力が高まれば、高齢者の他動的な歩行動作中の呼吸も若年者並みに小さくなるかもしれません。

文献

Ogata H, Fujimaru I, Yamada K, Kondo T. Higher ventilatory responses during and after passive walking-like leg movement in older individuals. J Physiol Anthropol. 2013 (in press)

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