中部大学の研究活動

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心臓カテーテル検査・治療中の心肺蘇生率を高める技術を開発 (伊藤守弘教授ら)

【2019年8月5日】

プレスリリース

研究内容と成果のポイント

  • カテーテルテーブル上での心臓マッサージの効果を定量的に測定
  • テーブルのたわみでマッサージ効果が極めて低下することが判明
  • テーブルを安定化棒で固定し、心臓マッサージの質を大幅に向上

発表概要

中部大学 生命健康科学部 生命医科学科の伊藤守弘教授別サイトにリンクしますと三重大学医学部附属病院 中央放射線部 副診療放射線技師長の山田剛さん(研究時は中部大学大学院 生命健康科学研究科 生命医科学専攻 博士後期課程に在籍)らは、血管からカテーテルを挿入して病気を治療するインターベンション中に心肺が停止した際、心臓マッサージによる蘇生の効果を高める技術を開発した。患者を寝かせる片持ち梁(カンチレバー)構造のカテーテルテーブルの下に棒を装着して固定する。従来は心臓を押す力の一部がテーブルのたわみに使われ、心臓が十分に圧迫されていないことがわかった。テーブルを固定することで上下のたわみを無くし、理想的な圧迫ができることを実験で確認した。

メスで体を開く外科手術に代え、心臓や脳、肝臓などの血管から直径が1、2mmほどしかない細い管状のカテーテルを挿入する治療法であるインターベーションは近年目覚ましく進歩している。日本では虚血性心疾患の患者が年間約20万人もこの方法で治療を受けている。ところが治療中には、致死性不整脈や心肺停止が少なからず起こる。このような事態では前者には速やかに電気刺激や薬剤で正常な状態に戻す除細動、後者には胸部を圧迫する心臓マッサージを行う必要がある。しかもマッサージ中もカテーテルによる治療を中断することはできず、両方を同時に行う緊迫した状態となる。

インターベンション中に患者内部の血管構造を詳細に映しだすため、カテーテルテーブルはCアーム型X線装置に組み込んだ仕組みになっている。そのためテーブルはカンチレバー構造で片側しか固定されておらず、心臓マッサージ中は上下にたわむ。研究チームは、心臓マッサージの時に手で押さえる力の一部がテーブルのたわみに使われ、肝心のマッサージには十分に使われていないと考えた。

この問題を解決するため、今回、テーブルの固定されていない側をX線装置の定位置からわずかにずらし、下に安定化棒を装着して固定することで上下にたわまないようにする方法を考案した(写真)。安定化棒の有無によって実際に押す力のどの程度がマッサージに寄与しているか、胸骨圧迫のトレーニングを十分に受けた救急救命士を目指す12人の学生が参加してマネキンを使う心肺蘇生(CPR)トレーニング装置で胸部圧迫の質をスコア評価するとともに、ハイビジョンのカムコーダーでテーブルの上下動を動画撮影した。

実験の結果、安定化棒を装着しない場合のトレーニング装置に表示されるスコアは平均47.7%で、心臓マッサージの質は不良であると示された。この時のテーブルのたわみは平均6.6mmで圧迫深さは平均40.8mmだった。一方、安定化棒を装着するとスコアは平均79.6%まで顕著に高まり、胸部圧迫の質はほぼ良好と示された。テーブルのたわみは0mmで圧迫深さは平均47.3mmまで増えた。たわみの減少分と圧迫深さの増加分がほぼ一致した。

このようにテーブルのたわみがCPRの質を低下させており、安定化棒で固定すると質が高まることが実験でわかった。今回の結果を受け、患者が心臓カテーテル検査・治療中に心肺停止した場合に安定化棒でカテーテルテーブルのたわみを抑える方法を提案する。

詳しい研究成果は世界的な学術出版社ワイリーが発行する心臓インターベンション専門誌Journal of Interventional Cardiologyに掲載された。
T. Yamada et. al., “Effect of Using a Cardiac Catheterization Table-Stabilizing Stick on the Quality of Cardiopulmonary Resuscitation in the Cardiac Catheterization Laboratory: A Simulation-Based Study.”, Journal of Interventional Cardiology.
https://www.hindawi.com/journals/jitc/2019/6303978/

写真 マネキンを使って心臓マッサージのトレーニングを行っている様子
カテーテルテーブルの、患者の頭部側をCアーム型X線装置の定位置からわずかにずらし、安定化棒を装着することで上下のたわみを無くした

問い合わせ先

伊藤守弘 (中部大学 生命健康科学部 生命医科学科 教授)
電子メール:m-ito[at]isc.chubu.ac.jp ※アドレスの[at]は@に変更してください。
電話:0568-51-7054(直通)

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