中部大学の研究活動

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イカスミにアレルギー抑制効果を発見 ─副作用の低い抗アレルギー剤の開発目指す─ (川本善之准教授、武田湖州恵准教授ら)

【2019年3月6日】

プレスリリース

研究成果のポイント

  • イカスミ色素の主成分であるメラニンに花粉症等のアレルギーを抑制する効果があった
  • 細胞およびマウスを使った実験でマスト細胞を抑制してアレルギー抑制効果を確認
  • 副作用の低い抗アレルギー薬の実現に期待

発表内容

中部大学 生命健康学部 生命医科学科の川本善之准教授別サイトにリンクします武田湖州恵准教授別サイトにリンクしますは、名古屋大学大学院 医学系研究科、愛知学院大学 心身科学部と共同で、イカスミ色素の主成分であるメラニン(*1)に花粉症や食物アレルギーの発症を引き起こすマスト細胞(*2)を抑制する効果があることを、細胞実験と動物実験で確認した。副作用の低い治療薬の開発を目指す。

イカスミはメラニンの表面をたんぱく質が覆った構造をしている。研究チームは酵素でたんぱく質を除去してメラニンを抽出した。実験ではイカスミ由来のメラニン以外に実験室で合成したメラニンを用いた。メラニンは水やあらゆる有機溶媒に溶けにくい性質を持つ。研究チームは様々な中性緩衝溶液を詳細に検討した結果、メラニンがよく溶ける溶媒とpHの組み合わせを独自に開発することにも成功した。

次にアレルギー発症の原因となるヒスタミンを含むマスト細胞を培養し、アレルゲンを加えた。通常、アレルゲンがマスト細胞に結合すると、マスト細胞からヒスタミンなどの炎症物質が飛び出してアレルギーを引き起こす。ところがメラニン溶液をマスト細胞に処理したところ、マスト細胞から出てくる炎症物質の量が顕著に減少した。マスト細胞を顕微鏡で観察したところ、メラニンがマスト細胞を覆い、一部は表面から内部へ取り込まれていることが分かった。代表的な抗ヒスタミン薬であるケトチフェンと同等以上のマスト細胞の活性化抑制効果が確認された。また、マウスを用いたアレルギー実験で、メラニンはマスト細胞の活性化に伴う血管の拡張反応をおよそ75%抑制した。

今回の成果はオランダ学術情報大手エルゼビアの専門誌バイオケミカル・ファーマコロジー(電子版)に掲載された(*3)。抗ヒスタミン薬には眠気などの副作用がある。メラニンには副作用が低いとみて、新たな抗アレルギー薬の開発を目指す。

用語解説

*1 メラニン

動物の皮膚や毛に含まれる黒色の色素。皮膚への光の吸収を促し、増えるとシミやほくろの原因になる。一方で紫外線を遮って肌を守る効果もある。

*2 マスト細胞

造血幹細胞から分化した免疫を担う顆粒細胞。寄生虫に対する免疫効果はあるが、花粉などのアレルゲンに対しても反応を起こしてしまう。膨れた形をしているため肥満細胞とも呼ばれる。

*3 発表論文

Y.Kawamoto et.al.,“Inhibition of mast cell degranulation by melanin”, Biochemical Pharmacology, Volume163, May 2019, pp178-193.
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S000629521930053X

問い合わせ先

川本善之 (中部大学 生命健康学部 生命医科学科 准教授)
Eメール:ykawa[at]isc.chubu.ac.jp ※アドレスの[at]は@に変更してください。
電話:0568-51-7329 (直通)

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