中部大学の研究活動

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切手サイズ、世界最小の超小型衛星搭載用GPS受信機開発 ─打ち上げ約1カ月経過後も正常動作─ (海老沼拓史講師)

【2018年2月27日】

プレスリリース

研究成果のポイント

  • 切手サイズ、衛星搭載用としては世界最小のGPS受信機を開発
  • 東京大学開発の超小型衛星に搭載
  • 1カ月近く経過後も順調に動作

発表内容

 中部大学工学部電子情報工学科の海老沼拓史講師別サイトにリンクしますは、全地球測位システム(GPS)衛星(*1)からの電波を短時間で受信し、高速移動する低軌道衛星でも正確な位置を検出できる小型受信機(写真1、2)を開発した。縦22ミリメートル、横17ミリメートルの切手サイズで、厚さは3ミリメートル。国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が経済産業省から受託した事業で東京大学が開発した超小型衛星「TRICOM-1R(愛称「たすき」)」(*2)に組み込んだ。衛星は同事業でJAXA宇宙科学研究所が開発した小型ロケット「SS-520-5」に搭載して2月3日に内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県肝属郡)から打ち上げに成功。民生カメラを用いた画像取得実験などを進めており、1カ月近く経過後も基幹部品のGPS受信機が正常に動作していることを確認した。
 超小型衛星が太陽電池だけで継続的に動作するため、消費電力は全体で1ワット程度に抑える必要がある。開発したGPS受信機の消費電力は150ミリワットで、同じく衛星に搭載したコンピューターやカメラの動作に影響を与えないほど低い。衛星は90分で地球を1周するが、その間に周波数が大きく変化するGPSからの電波を短時間で捕捉し、誤差10メートル以下で位置を計測できるようになった。
 これまで開発された衛星搭載用のGPS受信機は大型衛星用で消費電力は数ワット~数十ワットと高い。そのため今回と同程度の小型衛星には搭載できなかった。また、従来の小型衛星の位置は地上からのレーダー観測と計算で推定していたが、誤差は数キロメートル~数十キロメートルと大きかった。
 開発費を抑えるため、海外GPS受信機メーカーの協力を得て低価格のカーナビゲーションシステム用を改良した。地上の自動車や航空機の移動速度はせいぜい時速100~1,000キロメートルだが、衛星は時速3万キロメートルに迫る。高速移動によって大きく変化するGPSからの電波も1分以内で捕捉し、正確に位置を計算できるアルゴリズムを独自に開発した。今後打ち上げる小型衛星にも搭載されるよう、さらに改良を進める。

写真1 衛星に搭載した小型受信機(上部)を組み込んだ基板

写真2 GPS基板の表面(左)と裏面。裏面上部が受信機、表面中央部はアンテナ

用語解説

*1 全地球測位システム(GPS)衛星

米国防総省が開発し、現在、地球周辺で31機稼働している人工衛星。同衛星から電波を受ける受信機は、自らの位置を数センチメートル~数十メートルの誤差で測定できる。地上では受信機がカーナビゲーションシステム、スマートフォンなど民生機器にも組み込まれている。宇宙空間では通信や放送、観測用の人工衛星がGPS衛星から受ける電波で位置を認識して働いている。なお代表的な衛星測位システムは米国のGPSだが、日本の「みちびき」など世界で開発が進み、相称して全地球ナビゲーション衛星システム(GNSS)と呼ぶ。

*2 超小型衛星「TRICOM-1R」

アンテナ部分を除く本体が縦横約12センチメートル、長さ約35センチメートル、重さ3.2キログラムの国産小型人工衛星。愛称は「たすき」。経済産業省が国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)に委託した宇宙産業技術情報基盤整備研究開発事業(民生品を活用した宇宙機器の軌道上実証)で、東京大学大学院工学研究科航空宇宙の中須賀真一教授の研究室が中心となって開発した。高度が近地点で180キロメートル、遠地点で1500キロメートルの楕円軌道で飛行する。地上の端末から受信するデータを地上局に転送したり、搭載した民生カメラで地球の映像を撮影したりする実験を進める。

参考資料

問い合わせ先

海老沼拓史 (中部大学 工学部電子情報工学科 講師)
電子メール:ebinuma[at]isc.chubu.ac.jp ※アドレスの[at]は@に変更してください。
電話:0568-51-9320(直通)

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