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応用生物学部 環境生物科学科 上野 薫先生

【2011年10月1日】

上野 薫先生

動物・植物・土壌・水 環境問題を研究する専門家!

プロフィール

上野 薫(ウエノ カオル)。宮城県仙台市出身。明治大学文学部を卒業後、お菓子メーカーに就職。営業として名古屋に配属。以前から興味を持っていた生態系の保全について考えるようになり、東京農業大学農学部に編入学。ネズミに関する研究を行い、卒業後は土壌について学ぶために岡山大学大学院に。博士後期課程修了後、名古屋大学で半年間の研究生を経て、2003年10月に本学の生物機能開発研究所の嘱託研究員に。東海丘陵植物保全の研究プロジェクトに携わる。2006年4月から中部大学応用生物学部講師となり現在に至る。休日はスイッチをOFFにして体力充電と(インターネットで)映画三昧。長い休日があれば友人と西表島でのんびりして、毎日美味しいマンゴーを食べたいと語る上野先生。

Close Up 上野 薫先生

研究室にお邪魔すると、書類の山から小柄な上野先生が現れました。周りにはリュックサックなど、フィールドワークで使用しそうなものもたくさん。笑顔が素敵でかわいらしい先生。穏やかな雰囲気でお話してくれました。

幼い頃から自然と触れ合い

上野 薫先生

仙台の実家は山側に建っていたので津波の被害はありませんでしたが、家屋の壁にはたくさんのひび割れがあって、地震の凄まじさを思い知りました。普通の住宅街に生まれ育ちましたが、近くには森や小さな丘など自然も多く、小学生の頃から自宅近くの森で遊んでいて、化石堀りもよくしていました。木や葉、貝などの化石がざくざく採れて楽しかったです。春には裏山から母が採ってくる山菜三昧でした。植物も動物も好きで、その頃の夢は動物園の飼育員になることでした。

新聞記者になりたかった高校時代

上野 薫先生

高校では、生物と地理が好きで、数学、物理や化学は得意ではなく、赤点を取ることもありました(笑)。天安門事件など、世界情勢が目まぐるしく変わる時代で、政治・経済を勉強して新聞記者になるのが夢でした。みんなが知らないで困っていることを、自分が調べてみんなに情報を提供して役に立ちたいと思っていました。そういう意味では、今行っている研究も、根本では通じる部分があるかもしれません。私の父は建設会社に働いていたので、環境保全に携わる私に「自然を開発する方と保全する方でバランスが取れてよかったな。」なんて冗談を言います。

ネズミ、モウセンゴケ、土壌 多岐にわたる研究

現在、中部大学に来てから始めたモウセンゴケやアカネズミの生息環境選好性の研究や、人工林の浸透能保全(森の土における雨のしみ込みを良くする)、底質・水質浄化(河川などの底の泥や水をきれいにする)、最近ではキノコを生産する際に大量に生じる廃棄物から安全な堆肥を作る研究も行っています。森は海の恋人という言葉もありますが、森の土壌機能の問題は河川の問題、沿岸の問題につながっています。大学院では農地や土壌について勉強してきましたが、中部大学に来てからはもう少し広く環境を捉えるようになりました。今年で参加7年目になる森の健康診断はその考え方の原点になっています。
モウセンゴケは、伊勢湾の周りに多い栄養物質が乏しい湿地に生育しています。モウセンゴケが育つ環境を把握することで、これらの保全すべき地域の生物たちや、それを取り巻く環境などの管理の目印を見つけることが目的です。アカネズミの研究も、森林の代表的な生き物として生息環境を把握しています。

モウセンゴケ

モウセンゴケ

湿地調査の様子

湿地調査の様子

東京農業大学時代の恩師の研究のお手伝いで南アルプス(山梨県)でのライチョウ生息環境調査を行ったこともあります。ニホンライチョウは高山環境に生息する生物ですので、温暖化の影響を直接受けます。大量の調査道具をかついでの調査は正直厳しかったですが、足腰の強い学生に助けられて充実したデータ収集ができました。今はできていませんが、状況が許せばぜひ、ライチョウ生育環境の保全に関わる研究もしたいです。

ハイマツ帯での調査風景

ハイマツ帯での調査風景

ライチョウのつがい(左:オス、右:メス)

ライチョウのつがい(左:オス、右:メス)

ネズミの生息調査

中部大学研修センター(岐阜県恵那市)では、8年間連続でアカネズミの生息の観察と記録を行っています。日本にはネズミ科が17種生息していて、これらの種が市街地や里地、森林の深さや標高の違いなどによって棲み分けをしています。これを利用して地域のネズミの生息種の生息状況を調べると、その地域の自然度や生物のせめぎ合いを読み取ることができます。またネズミは物に沿って動く習性があるので、ネズミが移動するトンネルの出口や、岩陰などに餌が入った生け捕り用のトラップを仕掛けます。

アルミ製の生け捕り用トラップ

アルミ製の生け捕り用トラップ

簡単に折りたたむことができる

簡単に折りたたむことができる

ネズミのサンプルを忘れる!?

中部大の山荘がある新穂高(岐阜県高山市)でも調査を行ったことがあります。その時に調査で使用した保存用サンプルを忘れて管理人さんに「なんだこれは」って驚かれてしまったこともあります(笑)。捕獲したネズミは足や胴の長さを比較して見分けます。ヒメネズミはアカネズミと同じ属なので、慣れないと見分けが難しいですが、足の大きさや尻尾の長さで見分けます。

学生によるネズミ調査の様子

学生によるネズミ調査の様子。調査は8時間ごとに行うので、暗闇の森の中でも調査します。

野外で捕獲されたアカネズミ

野外で捕獲されたアカネズミ

研究はお互いに協力し合いながら

調査にはどうしても人手が必要なので、ゼミ生同士助け合いながら研究をします。ネズミの研究をしている学生がモウセンゴケの調査を手伝ったり、その逆ももちろんあります。お互い様の精神でやっているうちに、それぞれの分野に詳しくなっていきます。ネズミの調査は8時間ごとにトラップを確認する作業があるので、本当に体力勝負です。ゼミ生には虫の嫌いな学生もいます。クモはダメとか、ハチがダメとか、それぞれ得意・不得意な分野があるので面白いですよ(笑)。

終わりに

高校生にメッセージ「何かにハマるのは大事なこと!」

上野 薫先生

「勉強に限らず、何かにハマることはすごく大事だと思います。サークル、部活、趣味、友達づくりでも何でもいいです。何かに夢中になった経験が、後の仕事や人生に大いに役立ちます。若いうちは何をやっても良いと思いますが、どんなことでも『満足できた』『楽しかった』という経験が大事です。あと、人とのつながりを大事にして、人の話に耳を傾けてください。『できないだろう』ではなく『できるかも』と思っていろいろなことに挑戦すると、きっと多くのものを得られますよ。」

お知らせ

上野先生も携わっている「第7回森の健康診断」

恵那市の森の健康状態を調査する「森の健康診断」。今年、第7回目を迎える「森の健康診断」は秋の恒例行事になっています。

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