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小さな島の大きな問題(1) 沖ノ鳥島の話 国際関係学科(准教授:加々美 康彦)

【2010年4月29日】

日本の島の数

さて問題です。日本は、大小多数の島からなる島国です。では、どれくらいの数の島からなるかご存じですか?

答えは、6,852島です。内訳は、法律上「本土」とされる本州、北海道、九州、四国及び沖縄本島の計5島と、それ以外の6,847の「離島」からなります。ちなみに、離島のうちわずか422島にしか人は住んでおらず、残りの6,425島は無人島です。言うなれば日本は-無人島大国-かもしれません。

国連海洋法条約と島

たとえ小さくとも、たとえ人が住んでいなくとも、離島はとても大事な国土です。しかも、国連海洋法条約という国際的な合意に従えば、島を基点として200 海里(約370km)までの範囲で排他的経済水域(EEZ)を主張することができます。日本の国土は、陸地面積は約38万?で世界第60位の広さですが、 EEZの面積は405万km2にもなり、世界第6位とも第7位とも言われます。日本のEEZの約6割は、こうした離島が稼ぎ出しているのです。

また大陸棚も同様に、200海里までの範囲で主張できますが、大陸棚が地質学的に200海里よりも遠くまで延びている場合、条約の手続きに従って国連大陸棚限界委員会(CLCS)に科学的データを提出して認められれば、200海里以遠に大陸棚を延長することができます(その提出期限は、日本を含む多くの国にとって2009年5月12日でした)。これらの海域では、沿岸国は生物資源や鉱物資源に対する排他的な開発権を持つことが認められています。

わが国の離島の中で、国際的にも「有名」なのが、沖ノ鳥島でしょう。この島は、高潮時に海面上に顔を出す部分がわずか数センチから数十センチほどの無人島ながら、約40万km2のEEZを稼ぎ出します。しかも、現在CLCSに申請している大陸棚延長が認められれば、その外縁はパラオ共和国の大陸棚と接することになります。しかし、もし沖ノ鳥島が水没してしまえば、同島を基点とするEEZや大陸棚が主張できなくなってしまうおそれがあるのです。

なぜなら、EEZや大陸棚を主張できる「島」であるためには、国連海洋法条約に基づき「自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にある」こと(条約第121条1項)を確保しなければならないからです。さらに、「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない」(同3項)という規定との整合性も問われることになります。

そこで政府は、80年代末より沖ノ鳥島に護岸工事などの手厚いメンテナンスを行ってきました(上記1項との整合性の確保のため)。また、東京都(沖ノ鳥島は行政上、東京都の一部です)や民間団体などが経済活動のアイデアを模索しています(上記3項との整合性の確保のため)。ごく最近では、2010年度の予算案として、国土交通省が沖ノ鳥島をはじめとする離島に港湾を整備するため計7億円を計上しています。これは、第121条3項の「経済的生活の維持」を念頭に、その活動のための基盤を整備することを目的とするものです。

ところが、この港湾整備に対して、さっそくお隣の国から批判が出されました。曰く、沖ノ鳥島での港湾整備は「国際法に反する」、と。次回はそのことについて考えてみましょう。

2010年4月29日

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