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どうなるアメリカ大統領選挙! ―初の女性大統領、黒人大統領は誕生するか?(国際文化学科 教授:河内 信幸)

【2008年5月2日】

G・W・ブッシュ大統領の支持率は、2001年の“9.11”同時多発テロ直後に約90%を記録したにもかかわらず、イラク情勢の混迷、サブ・プライム問題などが大きく響いて、2008年2月にはついに20%を割る状態にまで落ち込んだ。これは、ギャラップ社などの世論調査から見て、歴代大統領のなかで史上最高から最低の支持率にまで低落したことを表しており、現在共和党のブッシュ政権に対する世論の支持が大きく揺らいでいることが分かる。そのため、ホワイトハウスの奪還を目指す民主党にとって、今年の大統領選挙は絶好の“追い風”状態にあるということができる。

注目される民主党候補

民主党は、上院議員のヒラリー・クリントンとバラク・オバマが、大統領候補の指名争いで史上稀に見るデッドヒートを展開している。ヒラリーが指名されれば初の女性大統領がアメリカで誕生する、オバマが指名されると初めて黒人が大統領に就任する、などの可能性が生まれることになり、今年の大統領選挙はそうした意味でも注目度が高いわけである。昨年まではヒラリー候補の優勢が伝えられたが、今年に入るとオバマ候補が旋風を巻き起こし、2月5日の“スーパーチューズデー”後から指名争いで9連勝するなど、ヒラリーを上回る運動の広がりを見せた。CNNの独自集計によると、現在の獲得代議員数はオバマ 1,635人、ヒラリー1,486人となっており、世論調査の支持率でも、オバマがヒラリーをリードしている状況にある。それでは、オバマ候補の“強み” はどこにあるのであろうか?

"草の根"運動の広がり

組織力からすればヒラリー陣営の方が強固な基盤を持っているが、オバマ陣営はボランティア活動を中心にした“草の根”運動を展開しており、インターネットなどを通じて若者層や無党派層の支持を拡大している。その結果、オバマ候補は演説のたびに支持者を増やしており、全米の遠隔地からわざわざバスを乗り継いで演説会場に足を運ぶ若者層も多く見られた。こうしてオバマ陣営は、若者や無党派層に向けて政治への「参加意識」を刺激しており、冬休みを早めに切り上げ、大学に戻ってオバマ支持の運動に乗り出した大学生グループも現れた。

このような“草の根”運動の広がりは、選挙資金の献金額にも如実に表れている。CNNなどによると、今年2月にオバマ陣営が集めた選挙資金は5,500万ドルにのぼり、ヒラリー陣営の3,500万ドルを大幅に上回った。これまでヒラリー陣営には大口献金が多く、対するオバマ陣営には、インターネットや小規模の集会などを通じて小口の献金が多く寄せられた。このような傾向は3月に入っても変わらず、ヒラリー陣営が約2,000万ドルしか選挙資金を集められなかったのに対して、オバマ陣営へは44万2,000人(うち半数が初めての献金者)から約4,000万ドルにのぼる献金が集まったのである。これまでオバマ陣営が集めた選挙資金は約2億3,400万ドルにのぼっており、民主党候補の指名争いでは史上最高の献金額を記録しているのである。

黒人大統領、女性大統領への期待度は?

CNNなどが行った最新の世論調査によると、黒人大統領を受け入れると国民の76%が回答しており、昨年12月の調査に比べて14ポイントもオバマ候補への期待が高まっている。一方、女性大統領の誕生については、63%の人々が受け入れると答えており、劣勢に立たされているとはいえ、ヒラリー候補に夢を託す声も強い。

しかもヒラリー候補は、3月4日の4州予備選挙でオハイオ、テキサスなど、指名を大きく左右する有力な州で勝利しており、ヒスパニック・女性・高齢者などのヒラリー支持が依然として高いことも明らかになった。特に、これまでオハイオ州を落とした候補者はホワイトハウスの主にはなっておらず、ヒラリー候補を指名争いから「撤退」に追い込むシナリオを描いていたオバマ候補にとって、この日の予備選挙は大きな「誤算」の結果となった。

世論全体の動向からすれば民主党優位の状況に変わりないものの、ヒラリー、オバマ両候補の指名争いが過熱しすぎているため、早々と指名獲得を確実にした共和党のジョン・マケイン上院議員が、11月の本選挙で逆転勝利を収める可能性も否定できない。その証拠に、3月末のギャラップ調査では、オバマが民主党候補になったらマケインに投票すると答えたヒラリー支持者が28%にのぼり、ヒラリーが候補になったらマケインに投票すると表明したオバマ支持者も19%に達したのである。

うるう年は、夏のオリンピックとアメリカ大統領選挙というビッグ・イヴェントが控えている。世界中の人々の熱い眼が、しのぎを削る民主党候補の指名争いとともに、11月に行われるアメリカ大統領選挙の行方に注がれるのである。

2008年5月2日

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