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7月のメッセージを公開します。

【2016年7月19日】

熱中症

皆さん、こんにちは。スーマートフォンのお天気アプリの情報によると、最高気温34度を記録したとのこと。青色一色の空は夕暮れ時まで続き、さすがに暑いと感じました。昨日のニュースでこの地方の「梅雨明け」宣言。“本当に?”と思いましたが、今日の天気で納得しました。最近、クマゼミの鳴声が目立っている様に感じます。いやー、盛夏本番です。

レスキューナウニュース (7月13日(水曜日)10時30分配信)によると、『“熱中症”7月4日から10日の7日間で4659人搬送 前年の3.5倍』とのこと。本情報によると、総務省消防庁は12日、7月4日から10日の7日間における熱中症による救急搬送状況(速報値)を公表したそうです。詳細は、同期間における全国の救急搬送者数は4659人で、前年同期との比較で約3.5倍の増加、前週と比べても約1.5倍の増加となったとのことです。

コモンズセンターから見える夏の空。

『熱中症』とは、暑さによって生じる障害の総称で、熱失神、熱疲労、熱痙攣(けいれん)、熱射病などの病型があり、屋内・外を問わず高温や多湿などが原因となって起こります。日本医学会による熱中症の定義は、『暑熱障害による症状の総称』とされています。熱中症は、日常生活の中で起きる“非労作性熱中症”と、スポーツや仕事などの活動中に起きる“労作性熱中症”に大別されます。
全国で熱戦が続く夏の高校野球、地方大会。新聞等の記事によると、7月14~17日にかけて、選手の熱中症による「没収試合」が相次いでいます。このように、運動時には大量の熱が産生され、その産生された熱エネルギーが高温環境と相まって放熱できなくなり、体温上昇を招き、暑熱障害を引き起こします。この上昇した体温を発汗により下げています。そのため、体温調節には身体の水分量が重要な因子となってき
ます。
昨年、当研究室の学生が硬式野球部にご協力頂いて調査した研究(卒業研究:佐藤大樹[現在、東京消防庁勤務])によると、夏場の練習前後で、発汗による水分喪失は1~2kg程度という結果になりました。体重の2~3%の水分を発汗で失うと身体活動のパフォーマンスが低下すると言う報告もあります。20年程前まで、「“部活中”に水を飲むな!」と指導されていました。今では考えられない指導法です。こまめに水分を摂取するのが常識で、これは科学(医学)的に実証されています。

そもそも、熱中症はいつ頃から言われ始めたのでしょうか。熱射病や日射病とは違う意味で使われていたのでしょうか。 興味深い事に、文献によると、Hitzschlag(ドイツ語)の訳語に『熱中症』とあてたのは明治の文豪・森鴎外とされています(今泉, Sportsmedicine 2016 No.180)。この熱中症の初出は「衛生新篇」で、日本初の近代的衛生学教本として知られています。森鴎外と言えば、国語の教科書で出会う事の方が多いのでは無いでしょうか。「舞姫」が有名ですよね。その森鴎外がこれほど大きな功績を衛生学で残している事に驚いています。調べたところ、この「衛生新篇」は明治29年に南江堂から刊行されています(国立国会図書館デジタルコレクションで参照可能)ので、明治時代から熱中症はあった事になります。 ちなみに、南江堂は現在も医学出版社として信頼できる、正しい、新しく質の高い情報を提供して頂いています。たまたまですが、私の大学院時代に(階は異なりますが)同じ建物で過ごした友人(Hさん)が南江堂で頑張っておられ、今回のメッセージを書いているのが嬉しくなりました。

第69回西日本学生陸上競技対校選手権大会 (西京極総合運動公園陸上競技場)にて
大型スクリーンにて注意喚起(7月1日~3日)

最後に、熱中症を引き起こす条件は、“環境”、“からだ”と“行動”にあると、環境省から発表されています。全く普段と気温や場所、体調などが同じであっても、この3つの条件バランスが崩壊すると、熱中症の危険性が高まります。良く注意して、生活してください。特にスポーツだけでは無いと言う認識をしてください。
不幸な事故も多いようです。これからますます暑くなります。想像するだけで嫌になりますが、予防対策をしっかりして、夏を乗り越えてください。


コモンズセンター長  伊藤 守弘

 

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