呂鋭研究室

心血管疾患はガンの次に日本の主要な死因であり、動脈硬化症を基盤として発症する。HDLコレステロール(善玉コレステロール)低下は、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)増加とならんで代表的な冠状動脈疾患の危険因子であり、HDL増加により血管壁からのコレステロールの除去等とそれによる粥状動脈硬化の悪化の防御が相当程度期待される。

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HDL粒子の産生には膜蛋白質であるABCA1が必須で、その存在下でapoA-Iなどヘリックス型アポリポ蛋白が細胞リン脂質とコレステロールに反応してHDL粒子を新生する。ABCA1遺伝子変異による活性消失や薬剤probucolによる活性阻害は血漿HDLの消失(Tangier病など)を招き、この反応がHDLの殆ど唯一の産生源であることが分かる。従って、ABCA1の発現と活性の調節は脂質恒常性改善とHDL増加による動脈硬化性疾患予防治療の重要な標的である。

我たちは、食品中のカルシウム様多価イオン栄養因子がABCA1発現に関与する機構を明らかにし、その動脈硬化の発現、進展、予防における役割を明らかにして、食品の成分設計による動脈硬化性疾患の予防および治療のための食育プログラムの開発とこれらを応用した医療技術開発に役立てることを期待する。

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