大西素子研究室

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プロテインホスファターゼ2Cの阻害剤

世界では多くの製薬会社が、タンパク質のリン酸化・脱リン酸化酵素を新薬の重要な標的の1つとして考えており、これらの酵素の阻害剤を精力的に探しています。

 

例えばサイクロスポリンやFK506は、移植による治療には必要不可欠な有名な免疫抑制剤ですが、これらの薬剤の作用はプロテインホスファターゼ2Bを特異的に阻害することにより発揮されます。

 

また、上のシグナル伝達系の図にものっているリン酸化酵素のp38の阻害剤は抗炎症作用が期待されるため、既にいくつか見つかっているにもかかわらず、関節リウマチなどへの治療薬として、多くの企業がより強力な阻害剤を探しています。

 

プロテインホスファターゼ2C(PP2C)には、特異的な阻害剤の報告がほとんどありません。

 

私達は遺伝子組換え大腸菌を使ってPP2Cの組換えタンパク質を大量に発現、精製し、これらを使って酵素アッセイを行うことにより、微生物抽出液などからPP2Cに対する特異的な阻害剤を探しています。

 

哺乳類のPP2Cにはそれぞれ異なった遺伝子から発現される12種類の分子が知られていますが、PP2Cの特異的な阻害剤を発見できれば、細胞の中でPP2Cがどんな役割を果たしているのかを解明するのに役立つだけでなく、PP2Cの中には癌遺伝子として知られている分子や、神経細胞の細胞死を促進する分子もあるため、乳癌等の治療薬や虚血性脳疾患の治療薬としての効果が期待できます。

 

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