山本 敦 研究室

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生化学素材を使った危害因子の微量測定

食品中の危害因子

食品中には本来存在しない化学物質が含まれることがあります。農作物の生産に欠くことのできない農薬が残留することがあります。農産物の保存・流通中にカビが生えてカビ毒が産出されることもあります。これらは非意図的に食品中に残留するもので、国は毒性試験の評価を元に、それぞれの危害因子に残留基準値を定めています。消費者の安全を守るため、行政は流通する農産物に対し、基準値の順守に努めています。

残留農薬は法律が改訂され、流通している全ての農薬が測定対象となっています。その数は数百におよびます。我国で規制されているカビ毒数は十個にもおよびませんが、今後その数は増えていくでしょう。これら多数を一斉に測定するため、質量分析計という分子量を測定する装置が用いられています。多成分を一斉に測定できる利点がありますが、夾雑成分と呼ばれる不純物の影響を強く受けて測定値の誤差が大きくなるという欠点があります。そのために、精製工程によって夾雑成分を徹底的に取り除く必要があります。

血清アルブミン

血清アルブミンは血中に最も多く含まれるたんぱく質で、ポケットにいろんな薬物を詰め込む輸送たんぱく質として機能しています。そのポケットにカビ毒がスポッと収まることが知られており、この性質を利用して上述の精製工程に応用できないか検討しています。

糖鎖加水分解酵素

農産物中の危害因子測定のためには、一般的に有機溶媒を使った抽出工程が必要となります。物理的にミキサーやホモジナイザーで農産物を細切しても、組織内深くに取り込まれた危害因子が有機溶媒で完全に抽出されるかは疑問です。そこで、農産物を糖鎖加水分解酵素(セルラーゼやペクチナーゼ)によって可溶化すれば、危害因子の抽出が容易になるのではと考えています。

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