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2019.09.19

中部大学のワイン『白亞』2019の裏ラベルを読み解く
―フリーラン果汁と圧搾果汁(プレス果汁)―

三輪錠司(ワインエキスパート)

   2019年の中部大学ワイン『白亞』の裏ラベルには次のように書かれています。
「中部大学のワイン『白亞』2019は山梨県牧丘産の甲州を適熟期に収穫し、贅沢なフリーラン果汁100%を用いて低温発酵したものです。『白亞』の原料となる甲州の栽培や収穫には、「中部大学ワイン・日本酒プロジェクト」が協力しております。『白亞』2019は「柑橘系の心地よい香りとフレッシュな酸味」・「生き生きとした新鮮な味わい」をもつ“やや甘口”のワインです」。

<フリーラン果汁(ジュース)>について

 ワインの勉強をはじめてすぐ、フリーラン果汁という文言にでくわすことになった筆者は、最初「えっ、フリーランス果汁?」、「何じゃ、それは?」と反応したのを覚えております。現在はネット情報が豊富ですので、“フリーランス果汁”とインプットして検察にかけてみましたとろ、最初のページですでに7つほどのまじめそうなタイトルが出現しました。まじめなタイトルの中で単純に最初に目に留まったタイトルのホームページに入ってみました。
 タイトル名が『【ミルドドットコム】用語辞典[フリーランジュース]』http://miludo.com/1601-1926.html です。用語辞典を銘打っているだけあってかなり適切な解説がされています。引用しますと、「読み:フリーランジュース 英語:Free-run Juice 解説のテキスト:白ワインの製造において、破砕時に果粒から自然に流れ出た果汁のこと。また、赤ワインでは発酵、浸漬後に発酵槽から抜き取ったワインはフリーランワインと呼ぶ。
 いずれも果皮や種子などに、まだ多くの果汁またはワインが含まれており、この後に圧搾行うことによって、さらに果汁やワインを得る。フリーラン果汁は繊細な風味を持つため、エレガントなスタイルの表現において高比率で使用される。」と記述しています。なかなかスマートな解説ですね。念のため、もうひとつのタイトルを見てみましょう。タイトル名『ワインはこのように造られる!赤ワインの醸造方法とは?』は、輸入業のエノテカが公開しているサイトです。サイトに入ってみると、フリーランジュースについては、何も記述されていません。赤ワインの醸造方法がステップごとに説明されており、その中で「フリーランワイン」という用語が使われている箇所に遭遇します。ブドウジュースが発酵を終わると、発酵槽(発酵タンク)からその時はすでにワインとなった液体をタンクの下部から抜き取ります。このとき圧力なしで、“自重”で自然に流れ出たワインを「フリーランワイン」といいます。上記、最初に引用したサイトの用語解説にもありましたように、フリーランワインはワインの醸造工程上ほぼ白ワインに限定されています。
 何故、フリーランジュースが白ワイン限定になるかといえば、白ワインの醸造では、ほとんどの場合ジュースのみを発酵させるからです。これに対し、赤ワインの醸造では、ジュースだけでなく果皮、果肉、種、場合によっては梗も含めて発酵させます。これら醸造工程から、白いブドウだけでなく黒いブドウからも白ワインが醸造できることがわかるでしょう。いわゆる、ブラン・ド・ノアール(Blanc de Noir)「黒ブドウから白ワインを造る」ということです。

<圧搾果汁(プレス果汁)>について

 フリーランジュースがわかると、圧搾(プレス)ジュースはおのずとわかると思います。要するに、フリーランジュースを採取後、圧力をかけて絞り取ったジュースが圧搾ジュースあるいはプレスジュース(英:Press Juice)というわけです。
 白ワインの醸造工程では、除梗・破砕して直ぐジュースを発酵します。赤ワインの醸造工程では、破砕・除梗から発酵に入り、しかる後に圧搾します。白ワイン、赤ワインの醸造方法をイラストレーションの力を借りてみてみましょう。イラストでは、株式会社ファインズのミニ知識が抜群です。
https://www.fwines.co.jp/knowledge/manufacture.html

『白亞』2019について

 『白亞』2019は甲州のフリーランジュースを贅沢にも100%使って醸造してあります。甲州の特徴とされる柑橘系の香りを、またフレッシュで酸味の効いた味わいをできるだけ保持するようにと造られております。普段あまりワインに縁のないひとたちにも親しめるようにと、ほどよい甘味をもったワインに仕上がっているのも嬉しいポイントです。
 上質で品格の高い、ともするとお高くとまった『白亞』2018とは一味も二味も異なる、優しく柔らかで親しみやすい『白亞』2019は、誰でも素直に受け入れることができるワインとして推奨できるのではないかと考えます。

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