中部大学の研究活動

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光るサメの光る仕組みを解明―不思議に満ちた発光サメ、その謎をとく発光物質を特定―(大場裕一教授ら)

【2021年9月15日】

プレスリリース

概要

中部大学応用生物学部環境生物科学科の大場裕一教授別サイトにリンクしますらの研究グループは、高知大学 理工学部 生物科学科との共同研究で発光するサメの光る仕組みを解くカギとなる物質を特定しました。

この「発光するサメ」は、深海に住んでいるので、私たちの前に姿を見せることはめったにありません。そのため、まれに発光する姿が撮影されると、「サメが光る」という珍しさもあって、ナショナルジオグラフィックをはじめとする多くのメディアに取り上げられます。しかし、その発光の役割や発光の仕組みなど、未だにわからないことの多い謎に満ちた生物でした。

この「発光するサメ」は、深海に住んでいるので、私たちの前に姿を見せることはめったにありません。そのため、まれに発光する姿が撮影されると、「サメが光る」という珍しさもあって、ナショナルジオグラフィックをはじめとする多くのメディアに取り上げられます。しかし、その発光の役割や発光の仕組みなど、未だにわからないことの多い謎に満ちた生物でした。

研究に使ったのは、「フジクジラ」というサメです(写真左)。サメと言っても、30センチくらいの大きさです。全身は真っ黒ですが、ちょっと藤色をしているのでフジクジラと言います。なぜクジラなのかはわかりません。日本全域の海で見られますが、いつもは深さ250~860メートルの深海にいるのでまとまって漁獲されることはなく、水族館で長期飼育された例もないので、珍しいサメと言っていいでしょう。しかも、更に珍しいことにこのサメは腹側全体を青色に発光させることができます

フジクジラの発光の役割は、基本的には自分の姿を消すためです。深海のど真ん中に暮らす深海魚には隠れる場所がありません。そのため、深海までわずかに降り注ぐ太陽光のせいでできる自分の影ができると、敵に見つかってしまい命取りになります。そのため、フジクジラは降り注ぐ太陽光の強さに合わせてお腹を光らせて、下から敵に見上げられた時のシルエットを消しているのです。このやり方を、専門的には「カウンターイルミネーション」と言います。

一方で、このサメがどういう仕組みで光っているのかも大きな謎のひとつでしたが、これまで世界の研究者たちがその解決に取り組んでも、何の手がかりも得られず「解けない謎」とまで言われていました。

今回、私たちの研究グループは、そのカギとなる物質(生物発光基質)をついに明らかにすることに成功しました。それは、セレンテラジンという物質(写真右の化学構造)で、下村脩博士(2008年ノーベル化学賞)がオワンクラゲから見つけた物質と同じでした。ハダカイワシという魚もこのセレンテラジンを使って発光しています。なぞの鍵は、実は私たちの知っているところにあったのです。

この結果は、フジクジラの発光する仕組みを解明するだけではなく、深海における食物連鎖やペプチド様分子の取り込みメカニズムの解明につながることが期待されます。

今回明らかにしたセレンテラジンという化学物質は、フジクジラが自分で作っているわけではなく、ハダカイワシなどの発光する魚類を食べ、そこから手に入れていると考えて間違いありません。つまり、深海では食物連鎖によって光る生物を食べることで光る生物がいるということを、今回の成果は物語っています。さらに、セレンテラジンは、3つのアミノ酸が組み合わさってできたペプチド様の分子です。すなわち、「食べた魚に含まれていたセレンテラジンが胃の消化酵素で分解されずにそのまま選択的に吸収されて腹側の発光器に輸送される」という、まだ未知のメカニズムをフジクジラは持っていることになります。したがってこれをさらに研究すれば、これまで難しかったペプチド医薬品の経口投与の実現への応用可能性が開けます。

なお、本研究はJST戦略的創造研究推進事業CREST JPMJCR16N1の支援を受けて実施されました。

発表雑誌

雑誌名

バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochemical and Biophysical Research Communications)電子版
(オランダ学術出版大手エルゼピアが発行する国際科学雑誌 11月5日発行号の誌面に掲載される予定)

論文タイトル

Etmopterus lantern sharks use coelenterazine as the substrate for their luciferin-luciferase bioluminescence system.

著者

Gaku Mizuno, Daichi Yano, José, Paitio, Hiromitsu Endo, Yuichi Oba
Biochemical and Biophysical Research Communications Vol. 577, 5 November 2021, pp. 139-145. doi.org/10.1016/j.bbrc.2021.09.007
水野雅玖(中部大学応用生物学部・博士前期課程2年生)、矢野大地(中部大学応用生物学部・CREST研究員)、ジョゼ・パイティオ(中部大学応用生物学部・博士特別研究員)、遠藤広光(高知大学理工学部・教授)、大場裕一(中部大学応用生物学部・教授、連絡著者)

図1図2
 

本学の問い合わせ先

研究に関すること
大場裕一 (中部大学 応用生物学部環境生物科学科 教授)
Eメール:yoba[at]isc.chubu.ac.jp ※アドレスの[at]は@に変更してください。
電話:0568-51-9332 (研究室直通)

報道に関すること
中部大学 学園広報部 広報課
Eメール:cuinfo[at]office.chubu.ac.jp ※アドレスの[at]は@に変更してください。
電話:0568-51-7638(直通)

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