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神経細胞の成長を説明する数学モデルを開発 (津田一郎教授、渡部大志研究員ら)

【2020年7月31日】

プレスリリース

研究のポイント

  • ニューロン(神経細胞)が分化する過程を説明する数学モデルを開発
  • 数値を入れる実験でモデルが正しいことを証明
  • 生体全体の機能分化を解明する研究への発展に期待

発表内容

中部大学創発学術院の津田一郎教授別サイトにリンクしますと渡部大志研究員らは、脳などのニューロン(神経細胞)(*1)が複雑な網目構造に成長する“分化”過程を説明できる数学モデルを開発した。「ニューロンは入力情報を減衰させないで最も効率よく伝達するよう分化する」、言い換えると「入力情報のネットワーク内での伝搬を最大化する」と仮定した数学モデルを考案。このモデルに数値を入力したところ、ニューロンが実際の神経細胞の活動を模擬したスパイキングニューロンモデル(*2)が得られ、そのネットワークも脳に近い構造に分化する様子を観測することができた。

これまでニューロンの分化を生物学的に考察した研究はあるが、メカニズムまではほとんど解明されていない。従来から提案されてきたニューラルネットの数学モデルでは、ニューロンを働きが分かった部品として定義し、それらを相互作用によってつなぐという考え方に基づいていた。しかし実際の分化を証明することはできなかった。

津田教授らは今回、従来とは逆の発想で、働きが決まっていない部品からなるシステムにおいて情報伝搬を最大にする部品としてニューロンが自己組織化(*3)する数学モデルを考案し、そのモデルが正しいことを証明した。今回の成果をベースとして、より複雑な生体機能の分化が解明されたり、人工知能(AI)の活用で環境変化に適合するニューロンの分化の研究に弾みがついたりすることを期待している。

研究成果の詳しい内容はオランダの学術出版大手エルゼビアが発行する神経科学専門誌「ニューロサイエンス・リサーチ」に掲載された。出版に先立ちオンライン版は公開されている。
H. Watanabe et.al., “A mathematical model for neuronal differentiation in terms of an evolved dynamical system”, Neuroscience Research,156 (2020) 206-216.
https://doi.org/10.1016/j.neures.2020.02.003

用語解説

*1 ニューロン(神経細胞)

脳や体に張り巡らされた神経の構成単位である細胞。本体である「細胞体」、他の神経細胞から電気信号を受け取るアンテナ役の「樹状突起」、出力する電気信号を伝える「軸索」、軸索の先端にあり神経伝達物質を放出するシナプス小胞を含むシナプス前終末などからなる。神経細胞間のつなぎ目をシナプスと呼ぶ。およそ数百億個のニューロンが脳を構成し、1個の神経細胞には数千から数万のシナプス結合がある。哺乳類の脳では、細胞体の大きさはおよそ0.002ミリメートルから0.01ミリメートルのものまである。

*2 スパイキングニューロンモデル

神経細胞が何らかの刺激に応じて細胞膜に生じる一過性の電位を人工的に再現し、時間的な波形として再現しようとする仕組み。人工知能(AI)の研究で用いられている。

*3 自己組織化

外部からの意図的な制御無しに、基本的な物理法則にのっとって時間的・空間的秩序が形成されること。例えば体の中でタンパク質や核酸などの生体分子が自発的に集まって機能や構造をもつ生体組織になるように、無秩序な状態から秩序を生む現象。自然界では雪の結晶の成長や、脳内での神経回路の形成などいたるところでみられる。

問い合わせ先

研究に関すること
津田一郎 (中部大学 創発学術院教授)
Eメール:tsuda[at]isc.chubu.ac.jp ※アドレスの[at]は@に変更してください。
電話:0568-51-9520(創発学術院直通)

渡部大志(中部大学 創発学術院研究員)
Eメール:hwata[at]isc.chubu.ac.jp ※アドレスの[at]は@に変更してください。

報道に関すること
中部大学 学園広報部広報課
Eメール:cuinfo[at]office.chubu.ac.jp ※アドレスの[at]は@に変更してください。
電話:0568-51-7638(直通)

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