中部大学の研究活動

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長寿命核分裂生成物を短寿命化する新技術 ─質量が電子の約200倍の素粒子ミュオンを活用、20年以内の実用化目指す─ (佐藤元泰特任教授ら)

【2019年11月22日】

プレスリリース

研究成果のポイント

  • 中部大学と東北大学を中心とする研究グループは、常温付近の高密度の水素同位体の中で、素粒子の負ミュオンを利用して核融合を高効率で起こす新しい理論を得て、反応炉方式を提案した特許出願中。進展する研究成果の全体像を、11月30日にプラズマ・核融合学会年会のシンポジウムで発表する。
  • ロケットや超音速飛行体の技術と結合して、コンパクトな中性子源の実用化を図り、LLFP(長寿命核分裂生成物)の短寿命/安定化に大きく貢献することを目指す。
  • この方式の原理を立証するための実験を、大強度陽子加速器施設「J-PARC」のミュオン施設を使って行う。
  • 理論実証に5年、開発期間15年、合計最短20年で初号機完成も視野に入れる。

発表内容

中部大学の佐藤元泰特任教授別サイトにリンクします(創造理工学実験教育科)と東北大学 大学院理学研究科の木野康志准教授らは、電子を質量が約200倍の素粒子「負ミュオン」に置き換えた直径約200分の1の原子「ミュオン原子」の衝突中に起こる「飛行中ミュオン触媒核融合(In-Flight μCF、(略称IFμCF))」理論に基づく新しい核融合システムを発明した。IFμCFで発生する一定の高エネルギー中性子線を原子力発電所で発生するLLFP (長寿命核分裂生成物)に当てることによって、数百万年以上も放射線を出し続けるLLFP を放射線が出ない安定物質に変化させる。

図1は、IFμCF炉の概念を示す。IFμCFは、高温高圧の重水素(D)と三重水素(T)の混合標的でおこる。航空機用エンジンの一種「ラムジェット」を応用して、超音速の気流中に斜め衝撃波をつくり、流体力学的(空力的)に堰き止めることで、密度の高い安定な領域を生成する。ここを標的として、ミュオンビームを入射し、IFμCFを持続させる。ミュオン生存時間2.2μsの間に、これまでの方式より多数の触媒反応を達成、毎秒1019(1000京)回の核融合反応を目指す。

図2は、28MWの熱出力の小型核融合装置の一例である。ミュオンを上流の左又は右側から入射する。核融合の原料となるガスは超音速循環風洞の中に閉じ込められて循環、核融合で発生した無害なヘリウムガスのみを分離回収、原料水素は反応減だけ補充、中性子エネルギーは核融合部を覆う水冷ブランケットで熱として回収し発電に使われる。アルファ粒子(ヘリウム原子核)のエネルギーと中性子によるノズルの発熱は、超音速気流で徐熱される。このブランケット内部にLLFPを設置し、中性子線を当てて核変換によって放射線の発生を低くさせる。ブランケットの外側を鉛とコンクリートで覆うことでガンマ線を含む全ての放射を遮蔽して安全性を確保する。このように新方式は、従来よりも「工学的」見地から熱回収や中性子利用の実用性に優れており、現在、学理的・工学的実証を急ピッチで進めている。

新理論と今後の研究内容について、研究チームが中部大学春日井キャンパスで開催する第36回プラズマ核融合学会のシンポジウムで11月30日に発表する。

(参考)シンポジウムのプログラム
http://www.jspf.or.jp/jspf_annual2019/symp_r.html
 

図1 世界初のラムジェット(ラム圧)利用による制御ミュオン核融合装置概念図

図2 循環風洞式ミュオン核融合炉全体系統の模式図

問い合わせ先

佐藤元泰 (中部大学 工学部 創造理工学実験教育科 特任教授)
電子メール:satomoto[at]isc.chubu.ac.jp ※アドレスの[at]は@に変更してください。
電話:0568-51-4027(創造理工学実験教育科共通室直通)

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