中部大学の研究活動

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筋肉の収縮を説明する数理モデルを開発 ─1つのモデルで人と昆虫の横紋筋の動きを再現─ (新谷正嶺助教ら)

【2019年7月1日】

プレスリリース

研究成果のポイント

  • 人や昆虫の横紋筋の動きを正確に再現できる数理モデルを開発
  • アルゴリズムを一般公開
  • 心不全の事前予知など医療への応用に期待

発表概要

中部大学 生命健康科学部 生命医科学科の新谷正嶺助教別サイトにリンクしますは、東京大学発ベンチャーのUT-Heart研究所(東京・世田谷、久田俊明会長)、東京大学大学院理学研究科物理学専攻の樋口秀男教授、東京大学フューチャーセンター機構の鷲尾巧特任研究員らと共同で、人や動物の骨格筋や心筋、鳥や昆虫が羽ばたく時に使う飛翔筋など、激しく伸縮を繰り返す横紋筋の動きを統一的に再現できる数理モデルを開発した。あらかじめ測定した硬さなど約30のパラメーターを入力すると、筋肉の動きを忠実に再現できた。筋肉の動きから硬さなどを逆算することもできた。心不全の事前予知など、医療技術の向上に貢献すると期待している。

骨格筋や心筋、飛翔筋などの横紋筋は複数の階層構造からできている。その中で収縮する器官が筋原線維、それを構成する直列につながったユニットをサルコメア(筋節)と呼ぶ。サルコメアはアクチン、ミオシンと呼ぶたんぱく質が積み重なって個々に伸縮する仕組みになっている。筋肉は伸びた力が出ない状態から始まり、アデノシン三リン酸(ATP)がアデノシン二リン酸(ATP)に加水分解する際のエネルギーを利用してミオシンが首振り運動してサルコメアを収縮させる。サルコメアは自ら収縮と伸長(弛緩)を繰り返す自励振動状態になる性質を備えている。この現象を自励的振動収縮と呼ぶ。

研究チームはミオシンがどのように自励的振動収縮の収縮リズムを生み出しているのか突き止める数理的に解析する研究を行ってきた。これまでにミオシンが力学的負荷を受けた時に逆向きの動力を引き出すと仮定し、2017年に自励的振動収縮の現象を説明できることを数理モデルで証明した。

今回、隣り合うサルコメア間で格子間隔を揃えようとする力とサルコメアの長手方向と垂直方向の歪みの逆関係を保とうとする力が収縮中のサルコメア内のミオシンにかかる力学的負荷を増大させる効果を考慮して数理モデルを補正した。その結果、サルコメアが振動のタイミングをそろえる際に伝播する波を忠実に再現することができた。この数理モデルを使ったところ、人の心筋の自励的振動収縮と、それより動きが約5万倍も速いカブトムシが羽ばたく際の飛翔筋の自励的振動収縮も同じ数理モデルで説明できた。

今回の成果は6月27日付の英科学誌サイエンティフィック・リポーツ(電子版)で発表した。さらに論文の補足情報として数理モデルを一般公開した。
T. Washio, SA. Shintani et al.,”Effect of myofibril passive elastic properties on the mechanical communication between motor proteins on adjacent sarcomeres”, Scientific Reports 9, Article number: 9355 (2019)
https://www.nature.com/articles/s41598-019-45772-1#Sec12

問い合わせ先

新谷正嶺 (中部大学 生命健康科学部 生命医科学科 助教)
電子メール:shintani[at]isc.chubu.ac.jp ※アドレスの[at]は@に変更してください。
電話:0568-51-9180(直通)

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