中部大学の研究活動

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日本企業開発の観測ロケットが初めて宇宙に到達 位置計測に中部大学の小型GPS受信機 (海老沼拓史准教授)

【2019年5月7日】

プレスリリース

研究成果のポイント

  • 日本の民間企業が単独で開発した観測ロケット(*1)が初めて宇宙に到達
  • ロケットに実装した中部大学発の小型GPS受信機で宇宙到達成功を確認
  • 急速な速度変化でも正確な飛行位置をリアルタイムで地上に送信

発表内容

国内ベンチャーのインターステラテクノロジズ株式会社(北海道大樹町、稲川貴大社長)(*2)が開発した小型の観測ロケット「MOMO(モモ)(*3)」(参考資料a)の3号機が5月4日の5時45分、同社の実験場から発射(写真1)。約120秒のエンジンの燃焼を正常に終え、約240秒後に地上100キロメートルの宇宙(*4)に到達した。その後、発射位置から数十キロメートル離れた海面に着水して飛行実験に成功した。国内企業単独で開発した観測ロケットが宇宙空間に到達したのは初めて。

ロケットには中部大学工学部宇宙航空工学科の海老沼拓史准教授別サイトにリンクしますが開発した全地球測位システム(GPS)用の受信機「Firefly(ファイアフライ)」(写真2)が搭載された。速度を大きく変えながら飛行しているロケットの位置を正確に計測し、MOMO3号機が高度100kmに到達したことをリアルタイムで地上の管制局に知らせることに成功した。

開発したGPS受信機は縦22ミリメートル、横17ミリメートルの切手サイズで厚さ3ミリメートルと小さい。利用拡大のため、低価格のカーナビテーションシステム用を改良。ロケットの速度が急激に変化してもGPS衛星からの電波を正確にとらえるアルゴリズムは独自に開発した。

従来は地上からレーダーでロケットの位置を計測していたが、民間企業が独自に高価なレーダー局を建設し、維持し続けることは難しい。超小型衛星の打ち上げ需要の増加にともない、民間企業による小型ロケットの開発競争が激化する中、中部大学が開発した小型GPS受信機は、従来の地上レーダーに取って代わる技術として期待されている。
 

写真1 MOMO3号機打ち上げの瞬間(インターステラテクノロジズ株式会社提供)

写真2 中部大学が開発したGPS受信機(右の長方形部分)を取り付けた回路基板(インターステラテクノロジズ株式会社提供)

用語解説

*1 観測ロケット

宇宙空間を飛びながら落下するまで各種の観測を行うロケット。人工衛星などの打ち上げに使うロケットと区別する。

*2 インターステラテクノロジズ株式会社

実業家の堀江貴文氏らが1997年に創業したロケット開発のベンチャー。
http://www.istellartech.com/

*3 観測ロケット「MOMO(モモ)」

インターステラテクノロジズ株式会社が開発する観測ロケット。全長約10メートル、直径約0.5メートル、重さ約1.2トン。2017年7月30日に1号機を打ち上げたが途中で地上局での受信が途絶え、エンジンを停止させた。高度20キロメートル近くまで上がった後に落下し、目標である高度100kmには届かなかった。2018年6月30日に打ち上げた2号機は、発射直後に推力が途絶え、地上に落下し炎上した。設計を見直し改良した3号機で初の宇宙到達に臨んだ。

*4 宇宙

厳密には地球を含むすべての天体を包む空間。一般には国際航空連盟(FAI)が海抜100キロメートルを大気圏の上端である「カーマンライン」と定義し、それより上空を宇宙と呼ぶ。

参考資料

a ISTサウンディングロケット「モモ」ユーザーズガイド

http://www.istellartech.com/technology/momo

b 中部大学リリース(2019年3月29日)

中部大学製の超小型衛星用受信機、準天頂衛星「みちびき」で測位に成功 ─日本・米国・ロシアの測位衛星の電波を巧みに使い分け─別サイトにリンクします

問い合わせ先

海老沼拓史 (中部大学 工学部宇宙航空理工学科 准教授)
電子メール:ebinuma[at]isc.chubu.ac.jp ※アドレスの[at]は@に変更してください。
電話:0568-51-9320(直通)

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