中部大学の研究活動

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中部大学製の超小型衛星用受信機、準天頂衛星「みちびき」で測位に成功 ─日本・米国・ロシアの測位衛星の電波を巧みに使い分け─ (海老沼拓史准教授)

【2019年3月29日】

プレスリリース

研究成果のポイント

  • 秒速7kmで飛行中、切手サイズの受信機でGNSS衛星からの信号を利用して測位
  • 準天頂衛星「みちびき」初号機を利用した人工衛星の測位に世界で初めて成功
  • 高速信号探索アルゴリズムにより電源投入から40秒で測位を開始

発表内容

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の超小型衛星「RAPIS-1」(*1)に搭載した切手サイズの中部大学製受信機(写真1)が、全球衛星システム(GNSS)(*2)である日本製「みちびき」、米国製「GPS」、ロシア製「GLONASS」から同時に電波を受信して測位できることが確認された。

中部大学工学部宇宙航空理工学科の海老沼拓史准教授別サイトにリンクしますが開発した小型受信機「Fireant」は縦22mm、横17mmの切手サイズで厚さ3mm。アンテナなど周辺回路と組み合わせても52mm角で厚さ11mmと小さい。消費電力は150mWと低く太陽電池だけで継続的に動作する。従来の大型衛星用受信機は十数cmと大きく、消費電力は数ワットと高いため、小型衛星での利用は難しかった。Fireantと同タイプの小型受信機は昨年1月に打ち上げた東京大学の超小型衛星「TRICOM-1(愛称「たすき」)」に搭載して測位に成功している。しかしこの時は、どのGNSSから電波を受けたか区別できなかった。今回、初めて測位に利用した電波発生源を区別できた。併せてRAPIS-1が日本上空を飛行する際、2010年9月に打ち上げた「みちびき」初号機が初めて衛星の測位に利用できたことを確認した。

超小型衛星RAPIS-1(写真1、図1)(*2)は1月18日にJAXAの内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県肝付町)から打ち上げた「イプシロンロケット4号機」に搭載され、約52分後に分離されて軌道に乗った。Fireantの動作試験は2月11日に実施され、地上からのコマンドで受信機の電源を入れたところ、約40秒後には測位が開始された。秒速約7kmの高速度で飛行する衛星でGNSSの信号を受信するには電波のドップラー効果による周波数変動を考慮する必要があるが、海老沼准教授が独自開発したアルゴリズムにより周波数変動を高速に探索し、期待した以上に短時間で測位が始まった。解析したデータ(図2)から、みちびき、GPS、GLONASS合わせて60機のうち、平均で16機からの電波を同時に受信して、飛行中の緯度と経度を刻々と測定していることが確認された。


写真1 中部大学が開発した小型受信機「Fireant」を組み込んだ受信システム。52mm角で厚さ11mm。消費電力は150mW(JAXA提供)

 


写真2 JAXAの超小型衛星「RAPIS-1」。縦1m、横1m、高さ1mの立方体で重さ約200kg。高度約500kmで地球を約95分で周回する(JAXA提供)

 


図1 RAPIS-1が太陽電池を広げたイメージ(JAXA提供)

 


図2 超小型衛星RAPIS-1から地上に届いた測位データ。標準的なGNSS出力フォーマット「GPS-NMEA monitor」で表示。みちびき、GPS、GLONASS合わせて16機のGNSS衛星からの信号を利用して測位している。

用語解説

*1 超小型衛星「RAPIS-1」

正式名は「小型実証衛星1号機」でイプシロンロケット4号機に搭載して打ち上げた革新的衛星技術実証1号機の7機の衛星の1つ。国内の企業、大学、研究機関が開発した機器や部品の宇宙での動作実証がミッションになっている。実証課題は7つで、中部大学以外に、日本電気、慶應義塾大学、一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構、東京工業大学、JAXAが異なる別のテーマを担当する。

*2 全球測位衛星システム(GNSS)

物体特に移動体の位置を正確に測定するために利用する人工衛星のネットワーク。もともと米国が航空機や船舶の航法支援用に開発したGPSが最もよく知られている。GPS以外に日本の準天頂衛星「みちびき」、ロシアのGLONASS(グロナス)、中国のBeiDou(ベイドゥ=北斗)、欧州のGalileo(ガリレオ)、インドのNavIC(ナビック)がある。GPSは高度約2万kmに32機、GLONASSは同約1万9千kmに24機、みちびきは同約3万3千~3万9千kmに4機配備されている。現在、GNSSは航空機や船舶だけでなく、自動車、スマホ、腕時計など様々な機器で利用している。

問い合わせ先

海老沼拓史 (中部大学 工学部宇宙航空理工学科 准教授)
電子メール:ebinuma[at]isc.chubu.ac.jp ※アドレスの[at]は@に変更してください。
電話:0568-51-9320(直通)

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