中部大学の研究活動

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動物が未来を予測して眼を動かすために小脳が不可欠であることを発見 (情報工学専攻博士後期課程3年三木俊太郎さん、平田豊教授)

【2018年11月29日】

プレスリリース

研究成果のポイント

金魚が、一定時間間隔で繰り返し与えられる視覚刺激に対し、予測して眼を動かせることは以前から知られていた。今回の研究では、金魚が刺激の開始と終了のタイミングを別々に予測できることを新たに示した。また、刺激の開始ならびに終了の予測には小脳が必要であることを実証した。人工小脳を構築することにより、未来を予測して行動可能なロボットの開発にもつながる。

発表概要

 中部大学大学院工学研究科情報工学専攻博士後期課程3年の三木俊太郎さんと工学部ロボット理工学科の平田豊教授別サイトにリンクしますは、金魚が刺激の始まるタイミングと終わるタイミングをそれぞれ別々に予測して眼を動かせることを確認した。
 実験では円筒形の水槽の中央に金魚の頭を固定。水槽の壁面に光の点状のパターン(視覚刺激)を投影して回転させ、視運動性眼球運動(OKR)(*1)と呼ばれる反射的に起こる眼球運動を誘発した。具体的には、一定時間定速で右回転、その後一定時間停止する視覚刺激を繰り返して点状パターンを3時間金魚に見せ、その時のOKRによる眼の動き(回転角度)を計測した。その結果、金魚が、視覚刺激が動き出す約2秒前に眼を動かし始め、視覚刺激が止る約2秒前から眼の動きを減速し始めることが明らかになった。また、刺激の回転時間か停止時間のいずれかをランダムにして、刺激の開始または終了タイミングの一方を予測不能にしたところ、金魚は刺激の終了または開始のいずれか一方だけでも予測して眼を動かせることが判明した。
 次に、研究チームは運動の学習を担うことが知られている小脳を切除する手術を施した。その結果、3時間の学習で予測性眼球運動を獲得した後に小脳を切除すると、正常なOKRは誘発されるものの、予測性の眼の動きは消失した。また小脳を切除してから金魚に同様の学習をさせたところ、3時間たっても一向に予測して眼を動かせるようにはならなかった。このことから、予測性の眼の動きの獲得と記憶の両方に小脳が不可欠であると断定した。
 平田研究室では2015年に、霊長類や魚類で共通の基本構造を持つ小脳の神経回路網を数式で記述した人工小脳を開発し、神経回路の専門誌Frontiers in Neural Circuits(*a)に掲載された。これに今回発見した予測性OKRの機能を獲得する機構を実装することにより、現在のロボットでは困難な、外界の環境変化のパターンを学習し、未来を予測して行動するロボットの実現に繋がるものと考えている。研究の詳しい内容は北米神経科学会論文誌Journal of Neuroscience(*b)に掲載された。

*a http://www.jneurosci.org/content/38/48/10371?etoc
*b http://www.jneurosci.org/content/early/2018/10/24/JNEUROSCI.1375-18.2018

図 金魚に刺激を与える様子のイメージ(左)と視線の動きを捉えたデータ

用語解説

*1 視運動性眼球運動(OKR)

視野の広範囲が一定方向に動いた場合(例えば、頭を左右に動かした時など)に、その視野の動きを低減するために誘発される反射性の眼球運動。頭を右に振って、視界が左に流れる時には、眼球も左に回転し、視界の流れを追従し見ているものがブレないようになる。人を含め、ほとんどの脊椎動物でこの反射性眼球運動がみられる。

問い合わせ先

平田豊 (工学部ロボット理工学科教授)
Eメール:yutaka[at]isc.chubu.ac.jp ※アドレスの[at]は@に変更してください。
電話:0568-51-9476(直通)

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