中部大学の研究活動

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角度1度以下の視線の動き、AIで瞬時にキャッチ ─運転の注意力向上に応用─ (情報工学専攻博士後期課程1年惠本序珠亜さん、平田豊教授)

【2018年2月8日】

プレスリリース

研究成果のポイント

  • 人の注意(アテンション)の状態を反映する微小な目の動きを捕らえる技術を開発
  • 高速度カメラと人工知能(AI)で角度1度以下の無意識で瞬時な目の動きを検出
  • 訓練で注意力向上。自動車運転や運動の能力アップに応用

発表概要

 中部大学大学院工学研究科情報工学専攻博士後期課程1年惠本序珠亜さんと工学部ロボット理工学科平田豊教授別サイトにリンクしますは、人の注意の状態を反映する微小な目の動きをリアルタイムで精度良く検出する技術を開発した。人はどこか一点を見ていても、 微小(眼球の回転角度で1度以下)で急速な目の動きを無意識のうちに発生させる。この微小急速眼球運動はマイクロサッカード(MSC)(*1)と呼ばれ、これまでの研究により、人の注意の状態を反映することが知られている。通常、人は注意を向ける対象に視線も向けるが、視線を向けていないものにも注意を向けられる。例えば、友人を見ながら話をしている際、隣にいる娘に視線を向けず注意だけ向けられる。MSCは、こうした状況で隣の娘に注意を向けているかどうか、どのくらい注意をしているか、という情報を反映することが知られている。しかし、その微小で急速 という性質から、高速度カメラを用いた高性能視線計測装置を用いてもMSCを精度良くリアルタイムで計測することは極めて困難であった。今回開発した技術は、AI(人工知能)を使い、ノイズを含んだ眼球角度データ(視線の向きの時間データ)からも、ノイズとMSCをうまく区別し、MSCのみを高精度かつリアルタイムで検出できる。このAIはディープニューラルネットワーク(*2)で構成され、6人の学生から計測された1万個以上のMSCとそれ以外の眼球角度データを用いて学習させたものである。詳細は、電気・電子・情報系国内最大の学会である電子情報通信学会の論文誌最新号に掲載した。
 この技術により、これまで不可能だったMSCを利用した注意力向上トレーニングなどが可能となる。例えば、惠本さんらは、自分では発生したかどうか自覚できないMSCの発生をこの技術で捕らえ、即座に音や図形の大きさとして本人に知らせてやるバイオフィードバック(*3)システムを開発した。既に予備実験では、このシステムの使用により、実験参加者のMSCの発生回数が増加し、同時に自動車運転中の歩行者の飛び出しなどに対する反応が早くなることを示している。
 現在、開発したAIに入力する眼球角度データの計測には、約300万円する視線計測システムを用いているが、平田教授らの研究グループは愛知県「知の拠点あいち重点研究プロジェクト」(*4)で、個人の眼鏡に脱着可能な数万円のシステムを開発している。今後、事故防止に繋がると考えられる自動車ドライバの注意力向上トレーニングや、スポーツ選手の能力向上トレーニングにも応用できる可能性を持つ。

用語解説

*1 マイクロサッカード(MSC)

視線の周囲に別の物が現れた時、無意識に視線が素早く移動する眼球の運動。眼球の中心に対して動く角度が1度以下と小さいため、向かい合った人にはわからない。自動車を運転中に横から人が飛び出したり、前を向いて歩いている時に好きな食べ物があると瞬間的に目が動いたりする。注意力の指標になり、訓練することで能力を高めることができる。

*2 ディープニューラルネットワーク

近年注目されている人の脳を参考にした人工知能技術。高い検出・識別性能を実現できることから、様々な分野で実用化が進められている。

*3 バイオフィードバック

視線、脈動、呼吸など通常は自覚しない体の動きや変化を検出し、目、耳、鼻、肌などでわかるようにフィードバックすること。医療や運動機能改善などに利用されている。

*4 知の拠点あいち重点研究プロジェクト

「知の拠点あいち」は愛知県が2005年日本国際博覧会(愛・地球博)の開催跡地に整備した次世代モノづくり技術の創造・発信拠点の呼称。同拠点では現在、公益財団法人科学技術交流財団が中心となって産学官連携で約30の研究プロジェクトを進められている。プロジェクトは大きくロボット・自動車安全技術、水素エネルギー利用技術、先進材料・加工技術の3つに分かれる。平田豊教授は自動車安全技術分野で「眼球運動を指標としたドライバ状態検知技術の実用化」研究のリーダーを務める。同研究には中部大のほか東海理化電機製作所、ナックイメージングテクノロジー、あいち産業科学技術総合センターが加わっている。

問い合わせ先

平田豊 (工学部ロボット理工学科教授)
電子メール:yutaka[at]isc.chubu.ac.jp ※アドレスの[at]は@に変更してください。
電話:0568-51-9476(直通)

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