手嶋忠之先生最終講義「物質の究極の姿を求めて」
【2014年3月12日(水)15時〜16時】
日時 | 2014年3月12日(水曜日) 午後3時〜4時 |
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場所 | 9号館2階 922講義室 |
話題提供 |
工学部共通教育科 教授 手嶋 忠之 先生 |
概要 |
Extended Standard Model in Multi-Spinor Field Formalism
-- Bright World versus Dark World --
多重スピノール場の形式による標準模型の拡張
―― 明世界と暗世界 ――
LHC実験によって、ヒッグス粒子の存在が確認された。これにより、素粒子の
標準模型は、自然界の一部分を記述する理論形式として確立されたと考えられる。
しかし、この形式は宇宙を構成する主成分である暗黒物質の存在を説明すること
ができない。また、標準模型は、通常の物質の構成要素である基本フェルミオン
が“三つの家族”を構成することを仮定するが、その根拠を明らかにすることが
できない。今回のセミナーでは、標準模型が抱えるこれらの限界を越える試みと
して提唱された“多重スピノール場の理論”を詳しく紹介する。この理論は基本
フェルミオンとして、通常の“三つの家族”と共に、暗黒物質の主要な構成要素
となる“もう一つの付加的な家族”を含んでいる。暗黒物質と同定される基本的
フェルミオンの特性と観測方法を説明し、素粒子物理と宇宙物理の融合を論じる。
曽我見郁夫
昨年,物質の質量を生み出すヒッグス粒子が発見され,物質の究極の姿「素粒子の標準理論」は,ほぼ完全に明らかにされました。私は,1960年代半ばクォークの存在がいわれ始めた頃,この素粒子の構造について非常に興味を持ち,この方面の研究を始めました。その後,本学の院生と一緒に,ニュートリノ振動について調べ始め,その延長として素粒子物質であるクォーク・レプトンの質量と混合について研究を続けてきました。そして現在,標準理論においては不問にされているクォーク・レプトンの世代に対する対称性に対して,一つのアイディアを持つに至っています。この50年近くの私の研究の足跡を,紹介したいと思います。
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