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工学部 創造理工学実験教育科 大嶋晃敏先生

【2018年11月1日】

大嶋晃敏先生

宇宙線実験物理学・天文学、高性能計算機システムが専門
地球にも降り注ぐ謎の多い宇宙線を探る

プロフィール

大嶋晃敏(オオシマ アキトシ)先生。大阪市立大学 理学部 物理学科卒業。大阪市立大学大学院 理学研究科 数物系専攻 後期博士課程修了。インド・タタ基礎研究所研究員、国立天文台天文シミュレーションプロジェクト専門研究職員を経て、2013年4月に中部大学に着任。工学部 創造理工学実験教育科准教授。中部大学天文台の副台長も務める。

大阪府出身。趣味は、国内でも海外でも、出張先の街中を歩いて美味しいものや珍しいものを見つけること。好きな食べ物は、ソフトクリーム、インドの果物(マンゴー、パパイアなど)。

大嶋先生を Close Up!

先生の研究内容

大嶋晃敏先生

「皆さんは、宇宙線というものをご存じでしょうか。宇宙空間を飛び交っているエネルギーの高い放射線のことです。宇宙線は、絶え間なく地上に降ってきており、これを地上で捕まえ、宇宙線の性質を詳しく調べること、そして宇宙線を通して宇宙の様子を調べることが私の研究です。宇宙線にはたくさんの謎がありますが、中でも最も大きな謎はその発生源です。どこで、どのように宇宙線がエネルギーを獲得するのか、どのように宇宙線は宇宙空間を伝わってくるのか、まだ解明されていない謎がたくさんあります。謎に満ちた宇宙線を調べるため、現在私は、日本(山梨県の明野ミューオン観測)、インド(GRAPES-3)、アメリカ(テレスコープアレイ)、メキシコ(SciCRT)で、それぞれ別の国際宇宙線観測プロジェクトに参加しています。また、まだ本格的な観測は始まっていませんが、南米ボリビアで進行中の新しい宇宙線観測計画(ALPACA)にも参加しています」

いくつもの国際プロジェクトに参加

インドの宇宙線観測施設

山梨県の宇宙線観測施設(明野ミューオン観測)

山梨県の宇宙線観測施設

インドの宇宙線観測施設(GRAPES-3)

「なぜ、いくつもの国際プロジェクトに参加するのかというと、観測している宇宙線のエネルギーが異なるためです。宇宙線を特徴づけるものに『エネルギースペクトル』というものがあります。宇宙線のエネルギーが10倍になれば、その頻度(宇宙線の数)が約1000分の1になるという、エネルギーについての宇宙線の頻度分布です。宇宙線のエネルギーが異なれば、その発生源や宇宙空間での伝わり方、反応の仕方が違ってくるはずです。異なるエネルギーの宇宙線を研究することで、宇宙線全般について、より詳しく知ることができると考えています。

実は、これらのプロジェクトのうち、山梨県の明野ミューオン観測とインドのGRAPES-3は、本学が拠点となっています。また、アメリカのテレスコープアレイは、私が大学院修士課程2年の時に、初めて本格的に検出器開発に携わった実験です。当時、たくさん試作機を作り、性能試験をして開発した検出器が、現在アメリカのユタ州の砂漠の中で稼働しているのは感慨深いものがあります。

宇宙線の研究は、地味に感じるかもしれません。結果が出るまで何年もかかります。装置の設計、開発、観測、データ解析など全て自分たちで行わなければなりません。それでも、自分たちの研究によって、自然界の謎の一部分でも明らかになれば、それは素晴らしいことだと思っています」

研究を志したきっかけ

5号館屋上に設置した宇宙線観測装置

中部大学5号館屋上に設置した宇宙線観測装置(左下が拡大)

「粒子を加速し、標的にぶつけて素粒子反応の素過程を調べる粒子加速器がありますが、粒子加速器でも作れないほど高エネルギーの素粒子反応が、宇宙線と地球大気の原子核との反応で起こっています。その反応を詳しく調べてみたいと思ったのが、私が宇宙線研究に興味を持つことになったきっかけです。もともとは、宇宙のことを知りたいと思ったわけではなく、素粒子反応を調べたいと思って、宇宙線研究の分野に入りました」

中部大学天文台天体観測所が開所

中部大学天文台天体観測所

中部大学天文台天体観測所

地域の皆さんを迎えての観望会

地域の皆さんを迎えての観望会(セミナー室)

中部大学天文台別サイトにリンクしますは、2017年度に発足した教育・研究組織です。私が中部大学に着任して2年目の年に、天文教育の普及と天文学を通じた理科教育を念頭に、口径15cmの屈折望遠鏡を購入しました。当初は、工学部の建物の屋上で、学生と一緒に太陽観測をしようと考えていたのですが、あまりにも大きな望遠鏡だったため、屋外に観測小屋を作りたいと考えるようになったのが天文台発足のきっかけです。その後、飯吉厚夫先生(学校法人中部大学理事長・総長)をはじめ、多くの方々の協力をいただいて、天文台の発足と、天体観測所の開所が実現しました。現在、天体観測所には、口径30cmの反射望遠鏡が設置され、観望会や授業で活用されています。また、併設のセミナー室を利用して、3Dプラネタリウムの上映会や施設見学会も開催されています。屋上では気象の観測も行われています。

中部大学天文台の活動趣旨には、天文学を通じた理科教育の推進、地域連携の推進、文理融合分野の推進、そして、宇宙・天文・地球に関する自由な研究活動が掲げられています。教育に関していうと、2017年度に、10人の学部生の卒業研究に協力することができました。今後は、より多くの人に中部大学天文台のことを知ってもらい、幅広い分野で教育と研究を進めていきたいと考えています」

メッセージ

大嶋晃敏先生

「大学の4年間はあっという間に過ぎてしまいます。どうか、その間にしかできないことを見つけてください。なんといっても勉強が大事ですが、学生時分にしかできないことや仲間作りも大切です。ただし、いつでもできると思っていることは、いずれできなくなります。後の人生で後悔しないように、楽しい大学生活を送ってください。学生の皆さんは、日頃から、物事を観察する習慣を身に付けることを心掛け、見過ごしてしまいがちな何気ない身の回りの出来事にも目を配るようにしてください。その習慣はきっと役に立つと思います。文系理系に限らず、自分の興味を引き付けるものを見つけたら、とことん突き詰めてみてください。そして、もっと知りたいと思ったら大学院に進むことを考えてください」

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