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ハーバード留学記3―アメリカから中国を見る(中国語中国関係学科 講師:大澤 肇)

【2015年2月18日】

中国語中国関係学科の大澤肇です。

私は2014年の8月から、アメリカ・ボストンにて研究に従事しています。さて、前回はハーバード大学やアメリカの大学でどれだけ中国研究が盛んか、そしてボストンでどれだけ中国の存在感があるか、ということをお話ししました。

しかしながら、アメリカの中国、あるいはアジアを見る眼というのは、日本とは若干異なっているといわざるをえません。例えば、テレビで国際ニュースを見ていると、中東情勢が圧倒的に目立ちますし、また英会話の先生などとの雑談で出てくる中国のイメージは「cheap labor, dictatorship」(安い労働力と独裁体制)というもので、近年の経済大国化や社会変動については、一般メディアにおいては、それほど注目されていないように感じます。

一方で、学内で定期的に開催されるセミナーでは、米主要大学の著名な研究者やハーバード内の研究者が講演することも多いのですが、そこでは、日本と同様、中国の将来については二分した評価になっている感を持ちます。すなわち、バブル経済の崩壊や社会格差の拡大により、一波乱あるだろうという見方と、経済成長が減速しながらも21世紀前半に世界の主要国になるだろうという見方が併存しています(ちなみに先月、ハーバードの教員ではありませんが、世界的に著名な経済学者であるスティグリッツが「2015年から中国の時代が始まる」という論旨の文章を書いて話題になりました)。

                              

                             冬のキャンパス                                                 学内講演会ポスター

それでは、ハーバード大学で中国はどのように教えられているでしょうか?その一端をご紹介しましょう。私はこの秋学期、30人ほどの学生が受講している共通教育科目「China's long 20th century」(中国の長い20世紀)を聴講していました。19世紀末から、 現在の習近平体制までの 中国の歩みを歴史学的に振り返るという内容ですが、正直に言うと、私自身が担当している専門科目「中国政治論」とそれほどレベルも変わらねば、やり方もパワーポイントを用いて講義するということで、ほぼ同じスタイルです。強いて言えば、私の講義の方が動画や画像が若干多いでしょうか?

授業を担当しているエリザベス・コール准教授(ハーバード・ビジネススクール所属)によれば、アメリカの高校生は、アジア史について、高校でそれほど詳しくやっているわけではないこと、また中国に興味を持ってもらいたいということで、初歩的なレベルから講義をしているとのことです。受講者は、学部生や近隣の大学(ボストン大、タフト大)からの受講生が多いせいか、真面目な学生は熱心に討論に参加する一方で、後方の学生は、オンラインショッピングをしていたり、フェイスブックをいじっていたりした学生もおりました(笑)。私はいつも一番後ろに座っていたので、丸見えです。

中部大学とあまり変わらないようですが、ひとつ大きな違いは、ほとんどの学生が、ノートブックパソコンやタブレットでノートをとっていることです。授業資料の多くもPDFなどであらかじめダウンロードできるようになっていたりします。

  

              教育補助システム「My Harvard」                                        夏のキャンパス

私はシカゴ経由でボストンに到着しましたが、シカゴからボストンまで飛行機で2時間半かかります。名古屋・セントレアから2時間半飛行機に乗れば、上海に着いてしまいます。こうした物理的な距離の差も、中国、あるいはアジア観の違いに影響するのかもしれません。

一方で、こうした物理的な距離差が研究上のハンディにならないよう様々な措置を講じているのが、ハーバード大学のすごいところです。一方では、中国の様々な電子図書館サービスに加入するなどして、瞬時に情報が手に入るような仕組みを作っています。また一方で中国人の著名な研究者や、世界各国の中国研究者を招待し、ネットワークをつくることで、知識を集積しています。そのなかには、私のような歴史研究者から、中国で人権擁護のため闘っている法律学者まで様々です。アメリカの底力を日々感じています。

            

                 イェンチン図書館内廊下の様子                              ワイドナー図書館入口

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