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アメリカ予備選挙と“スーパー・チューズデー”-オハイオ州からの報告(国際文化学科 教授:河内 信幸)

【2012年3月21日】

 

アメリカの大統領選挙は4年ごと(うるう年)に行われ、まさに今年は、現職のオバマ大統領が再選を賭けた戦いとなる。本選挙は11月に行われるが、その前に民主・共和の両党では、大統領候補を決定する予備選挙や党員集会が重要な戦いとなる。

民主党は現職のオバマ大統領に一本化されているが、共和党は、ミット・ロムニー(Mitt Romney)、リック・サントラム(Rick Santorum)、ニュート・ギングリッチ(Newt Gingrich)などの有力候補が激しい戦いを展開している。

アメリカ予備選挙

民主・共和の両党は、早くから大統領候補の指名準備にとりかかかる。そして、2月から6月にかけて州ごとに順次予備選挙、または党員集会を開催し、有権者の投票が行われる。この予備選挙で両党の全国大会に出席する代議員が選出され、獲得した代議員数によって大統領候補が事実上決定される。なお全国大会は、共和党は7月、民主党は8月に予定されており、副大統領候補(running mate)もこの全国大会で決まる。

政党の大統領候補にならなくても本選挙に名乗りを上げることはできるが、アメリカは二大政党のシステムをとっているため、民主・共和両党の候補になっていない限り、大統領に選出されることは不可能に近い。ただし、党員からの支持と資金力さえあれば、誰もが予備選挙へ参加することができる仕組みになっている。

“スーパー・チューズデー”(Super Tuesday)

予備選挙で最も注目されるのが、2月から3月に設定される“スーパー・チューズデー”である。“スーパー・チューズデー”は、全米の多くの州で予備選挙が行われ、第1位になった大統領候補は1日で最大の代議員を獲得できるからである。

今年は3月6日が“スーパー・チューズデー”となり、全米11州で予備選挙が行われるため、共和党候補にとっては指名を左右する最大の山場を迎えた。大統領候補に指名されるためには、各州に割り当てられた代議員の過半数1144人を獲得する必要があるが、このうち437人の割り振りが6日の“スーパー・チューズデー”で決まるのである。

ロムニー候補は、これまでの予備選挙ですでに200人以上の代議員を獲得していると言われているが、サントラム候補がどこまで食い下がることができるのか、“スーパー・チューズデー”の行方が注目された。その結果、アメリカのメディアによると、ロムニーは、地元のマサチューセッツ州に加え、バーモント州、バージニア州、アイダホ州、オハイオ州、さらにアラスカ州を加えた6つの州で勝利した。

ロムニーの最大のライバルであるサントラム候補は、南部のテネシー州など3州で勝利し、またギングリッチ候補も地元のジョージア州で勝利した。全体的に見ると、保守色の強い中西部や南部でロムニー候補の票は伸び悩み、“スーパー・チューズデー”で他の候補を圧倒的に引き離すという、ロムニー陣営の戦略は成功したとは言いがたい。

オハイオ州の場合

近年のオハイオ州は、大統領選挙でスウィング・ステイト(Swing State)、あるいは「全米の縮図」と呼ばれ、大統領選挙の帰趨を左右する州と見られている。割り当てられている大統領選挙の選挙人の数は全米の538人のうち20人であり、2000年・2004年の大統領選挙では、いずれも共和党のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)を支持した。

またオハイオ州では、1991年以降、州知事のポストは共和党が占め、2006年の中間選挙で民主党のテッド・ストリックランド(Ted Strickland)が当選したものの、2010年の中間選挙では、共和党のジョン・ケーシック(John Kasich)が州知事に当選し、現在に至っている。州議会の構成でも、上院が共和党21議席、民主党12議席、下院が共和党52議席、民主党46議席となっており、共和党が州政治の主導権を握っている。

今回の“スーパー・チューズデー”にあたって、コロンバスなどの都市部で予備選挙の動きが強まったが、オハイオ大学のあるアセンズ近辺では予備選挙の緊迫感はそれほど感じなかった。しかし、オハイオ大学の学生たちが民主党を支持する呼びかけをしており、彼らは共和党主導の州政治の転換を強く求めていた。

“スーパー・チューズデー”の当日、ロムニーが地元マサチューセッツ州に帰郷したのに対して、サントラム候補は、オハイオ川沿いの山間部の旧工業都市ストゥーベンビルに入り、有権者に予備選挙の支持を強く訴えた。その結果、ロムニー候補とサントラム候補が大接戦を演じることになり、得票率で37.95%を得たロムニー氏が、37.09%のサントラム氏をかろうじて振り切った。

このように、共和党の大統領候補としてロムニーが優勢とは言うものの、予備選挙の行方にはまだ大きな山があると思われ、11月の本選挙までに共和党はオバマ政権批判の政治戦略を固めなければならない。

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