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2019年度 国際関係学部学位記授与式

【2020年3月23日】

学位記の授与ならびに優秀卒業論⽂賞の表彰が挙⾏されました

午前10時過ぎより、3011講義室にて2019年度国際関係学部学位記授与式が挙⾏されました(新型コロナウイルス感染予防対
策のため短縮・簡略化して実施されました)。太⽥明徳学部⻑の送辞のあと、国際関係学科、国際⽂化学科、中国語中国関係
学科、そして今回が第1期⽣となる国際学科から合計129名が国際学⼠の学位記を受け取りました。
また、恒例となる2019年度国際関係学部⻑賞優秀卒業論⽂賞の発表・表彰式も⾏われました。
受賞論⽂のタイトルは以下のとおりです:

太田明徳学部長の送辞

太⽥明徳学部⻑を囲んで受賞者の記念撮影

<最優秀論文>
 日本の大学における留学生受け入れに関する研究  ー中部大学等を例にしてー

<優秀論文>
 日系自動車メーカーの中国進出 ー現在までの変遷と今後の展望ー
  Transition to the present and future prospects of Japanese automaker's expansion in China

<部門賞>
  【国際政治経済部門賞】
   東海道新幹線システムの海外展開について

【国際社会文化部門賞】
アフリカの教育用言語
 ー日本人として多言語社会のボーダーを考えるー

以下は審査委員による各賞の講評です:

■最優秀論文賞

 現在の日本では、多様な国籍や出自を持つ人々の居住が進んだためか、「留学生」は当たり前の存在となり、以前よりも関心を向けられなくなっているようにも思える。しかしながら留学生は、依然として大学の国際交流や研究の発展に必要な存在であるだろう。

 この卒業論文は、1980年代以降の、揺れ動く日本政府の留学生政策を丹念に追い、その成果と問題点について考察を加えた。さらに中部大学を含む複数の大学の留学生受け入れ施策を比較検討し、これをもとに中部大学における留学生受け入れの提案にまで至る、完成度の高い論文である。

 特に、自身が中部大学において経験した、留学生寮のRA(レジデント・アドバイザー)で得た「問い」について、先行研究を踏まえ、具体的なデータを駆使し緻密に追究している点、また文献研究にとどまらず、現実の大学の留学生受け入れ制度の事例分析を行い、提案にまで至った点は高く評価される。また文章表現、構成、引用手法、図表や脚注の示し方なども申し分ない。


 他方、良く調べてはあるものの、分析の切り口がやや曖昧なところがあり、事例研究の調査範囲についても十分とはいえない。留学生受け入れ制度の研究としての側面が強いためかもしれないが、肝心の留学生個人の姿が見えないようにも思う。提案内容についても、着実であるが、改善策にとどまっているのはやや残念である。

 とはいえ、本論は国際関係学部の卒論としてふさわしい良好なテーマ設定であり、何よりも読んだ者に留学生をどのように捉えるべきなのかを再考させる。最優秀論文賞を得るに値する好論文である。
(澁谷 鎮明)

■優秀論文賞
  本論文は、経済発展著しい中国市場において、日系自動車メーカーはどのようなポジションなのか、というテーマのもと、これまでの歴史・市場としての中国国内の社会事情・メーカー別戦略・セグメント単位での中国自動車市場の分析・ドイツメーカーやアメリカメーカーとの比較などを通して明らかにしようとした意欲作である。自身の留学経験をもとにして執筆している点や、中国語資料を駆使した点、さらに説得力のある文章表現や論理性に高い評価を与えることができる。

 ただし、テーマが大きく概説的・総花的でオリジナリティが目立たず分析が弱い、書誌情報の書き方に問題がある、日本語の表現としておかしな箇所が残念ながら複数ある、事実認識の誤り、などの弱点も存在する。このようなミスは時間的な余裕を持って書き上げることができたのならば、あるいは「卒業研究」の授業において指導教員とコミュニケーションをしっかり取り、きちんと指導を受けたのであれば、防げたはずのものであり、非常に惜しい。

 とはいえ、審査委員の一人は、論文を通して感じられる「情熱」に大きな評価を与えていた。文章は人を表すという。この論文からは大学の4年間を通して、「中国」という大きな対象に自分なりに真摯に向き合い、格闘し、成長した筆者自身の一端が見えたように思う。
以上より、本論文は国際関係学部長賞優秀論文に該当すると判断した。おめでとうございます。 
(大澤 肇)                                      

■国際政治経済部門

今回の国際政治経済部門への応募は2点あった。いずれも、日本企業の海外進出をテーマとする力作であった。

 日系自動車メーカーの中国戦略を扱った「日系自動車メーカーの中国進出―現在までの変遷と今後の展望」は、自動車産業が日中の経済交流を大きく左右する要因であると捉えた上で、変革期にある中国自動車産業界に対して「誇れる日本車とはなにか」を探ろうとする意欲的論考である。筆者自身の中国留学中の見聞を織り交ぜ、また中国語文献をも駆使した点で一歩抜きんでた評価を獲得し、優秀論文賞の選考へとコマを進めた。
 
 もう一方の論考は、日本の新幹線システムそのものの海外展開を論じた「東海道新幹線システムの海外展開について」である。筆者が「ガラパゴス・システム」と呼ぶ日本独自の新幹線システムだが、その海外展開の成功例として台湾高速鉄道を検討した。他方、計画途上のアメリカ展開にも触れ、テロ対策などの点でハードルの高さを指摘する興味深い論考となっている。フォントの使い方にも垣間見られるように、筆者の細部へのこだわりとテーマに対する情熱が伝わる論考であった。こちらが、僅差ではあるが部門賞獲得となった。

 両論文ともに真摯な取り組みが審査員に伝わり、評価は総じて高かった。しかし、審査の過程で課題も見つかった。すなわち、両論文は、調査は十分でも分析は不十分ということである。言い換えれば、学問的軸足を定めずに論じ、結論を導いてしまっているのである。もし両論文が、たとえば経済学の手法を用いて分析を加えていたならば、さらに深い議論が期待できたであろう。

とはいえ、これは応募者の課題というよりも、「国際関係」「国際文化」「中国語中国関係」の3学科を統合することで学問的専門性より学問的多様性を重視した「国際学科」で指導を受けた最初の卒業生が、教員に示した課題といえよう。
(加々美 康彦)

■国際社会文化部門

国際社会文化部門への応募は14点であった。

 応募論文のテーマには、まず中国料理の地域別進化、雲南省の少数民族と観光、トンパ文字の仕組みと魅力、世界遺産からみる中国の非物質文化遺産、チベット仏教や『山海経』を取り上げたものがあった。次に、光州民主化運動やアメリカの黒人や女性への差別を取り上げたもの、ハリー・ポッターや映画の予告編に着目したもの、美味しいワインの香りと条件について考察するものもあった。そして、日本の大学における留学生の受け入れやアフリカの教育用言語、韓国人の日常生活をブログを題材に分析する事を試みたものなど、応募点数が多い分、非常に多岐にわたるものであった。

 応募論文の全体的な特徴として、いずれのテーマにも国際学科での学びが十分に生かされていた。積極的にフィールドワークを行い、自らの観察や経験に基づいたデータを検討しようという、ひたむきな姿勢や行間から溢れ出る情熱には、強く感銘を受けた。  
一方で、貴重なフィールドワークの成果でありながら、旅行記や体験記の域を超えられていないようなまとめ方になってしまっていたもの、時間的な制約もあり、分析や考察が十分でないものも見受けられた。

そのような中、部門賞に輝いた論文「アフリカの教育用言語 −日本人として多言語社会のボーダーを考える−」は、アフリカでのフィールドワークを踏まえ、自らの体験からアフリカの教育用言語や多言語社会のボーダーについて問いかけようとした、意欲的な論文である。分析や考察がやや羅列的になってしまった点、誤字脱字や段落など文章表現において完成度が欠ける点があったのは残念であるものの、その他の応募論文で不足していた、徹底した文献資料調査を行っていた点も高く評価された。
 
 卒論を書く上で学んだフィールドワークを通したコミュニケーションのあり方や資料の扱い方、文章表現の方法は、社会に出た後も生かされていくものだと思います。
4年間の学びを糧に、空高く羽ばたいていってください。ご卒業、おめでとうございます。

ウダパニウイタン イミバニウイタン(丈夫な羽が生えた 小さな羽が生えた)
初めは小さかった羽も次第に丈夫になり大空高く舞い上がることができる
                                                   ー沖縄県宮古島西原の聖地で歌われる神歌より~
(平井芽阿里)

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