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AKB48前総監督 高橋みなみさんから電話でインタビューを受ける(国際関係学科 教授:青木 澄夫)

【2016年7月20日】

 

7月12日夕方、関東地域で放送されているTOKYO FMラジオから、生放送に私に電話でインタビューをしたいという依頼があった。それも翌日の13日のお昼の1時20分からだという。電話の相手は番組構成作家の長沼けい子さんで、要件は、今月に入ってから立て続けに、ニュースで流れるJICAについて説明してほしいというものだった。

今月1日、バングラデシュの首都ダッカで、レストランで食事中だった7名のJICAの関係者の方がテロで命を落とされた。11日にはアフリカの南スーダンの首都ジュバで大統領派と副大統領派の衝突のため、現地在留日本人救出のために小牧から航空自衛隊機が飛び立った。この日本人の人たちもODA(政府開発援助)に携わるJICAの方たちだった。

私は中部大学に着任する2004年まで24年間JICAに勤務し、バングラデシュや2011年に南スーダンが独立するまでのスーダンに調査で訪れたことがあった。しかし、授業で国際協力入門や、国際協力論を教えているとはいえ、既にJICAを離れ12年も経過している。JICA出身や出向中の大学教員は数多く、しかも若くて優秀な人材が多い。この話はお断りして、友人を紹介しようと一度は考えた。

ところが、長沼さんが構成作家として担当するラジオ番組は、AKB48の前総監督高橋みなみさんが月曜日から木曜日の13時~14時55分に出演される、生放送「高橋みなみの『これから、何する?』」で、「今話題のニュースや、モノ、コトを独自の目線で切り取り紹介をしていく、働く女性に向けたラジオプログラム」だ、という。

2年前のインドネシア研修で、ゼミ生とともにAKB48の姉妹グループであるJKT48の生ライブに参戦し、国際関係学部創設30周年記念論集『「国際」と言う夢をつむぐ』に寄せた「私とインドネシア」の中で、「JKT48は日本の救いである」を書いた私にとって、AKB48総監督だった高橋みなみさんは、まぶしい存在である。高橋さん自身、JKT48の仲川遥香さんたちの応援にジャカルタにまで出向いている。

高橋さんと長沼さんは、最近ニュースで流れるJICAの名前を聞いて、改めてJICAっていったいどんな組織なの?と、疑問を持たれたのだという。南スーダンの日本人の中には私のかつての仲間もいる。バングラデシュで亡くなった方たちの想いも伝えたい。私は出演を了解した。

 

予め想定質問はいただいていたので、高橋さんのリードで、私は当日以下のように答えた。

高橋さん:まず、JICAってそもそもどんなことをする組織なんですか?

青木:JICAは、“日本と開発途上国との架け橋”として、日本のみなさんの税金で新興国や開発途上国の人々の暮らしを豊かにすることを目的に設立された独立行政法人です。貧困の削減と経済の成長の両面をサポートします。

仕事は大きく分けて3つあります。

1:有償資金協力といって、経済成長のために、その国で道路や空港などのインフラを作りたいけど、自国だけではできない場合、JICAが銀行より低金利で長期間の償還期間でお金を貸す。実際に工事をするのは、日本や外国の企業。このお金は返ってきます。

インドネシアのジャカルタのものすごい交通渋滞は、高橋さんもご経験されていると思います。現在JICAはインドネシア政府にお金を貸し、日本のゼネコン(建設会社)がMRT(日本の地下鉄のような鉄道)を作って、交通渋滞の緩和に務めています。

2:無償協力と言って、貧困に苦しんでいる人たちのために、小学校、病院などを作ってあげる。人々の福祉向上や生活の改善など、利益の出ないことに日本が援助する。実際に工事をするのは日本の企業です。

3:技術協力。日本から専門家や、技術者を派遣する。向こうから要請があって行きます。ボランティアも技術協力の一部です。現在71カ国に約2,000名が派遣中(女性が6割)です。

開発途上国から技術者を日本に招待し、日本で技術を学んでもらう研修制度もあります。

今回バングラデシュで亡くなられた方は、首都ダッカの都市交通改善のためにJICAの調査団として派遣されていた民間の方たちでした。南スーダンの方たちの詳細はわかりませんが、無償資金協力でナイル河にかける橋の工事などに携わっていた民間の方と思われます。

高橋さん:JICAというと、青年海外協力隊…ボランティアのイメージがあるんですが…、今回、ダッカで亡くなられた方や南スーダンに滞在している方は、ボランティアで行かれているんですか?

青木:20歳以上39歳の日本国籍を持った方であればだれでも応募できるのが、青年海外協力隊です。(40歳から69歳の方にはシニア・ボランティア)それ以外に技術力、交渉能力、語学力、海外経験などが優れた援助のプロの方たちがいます。今回事件にあわれた方たちは、こうした援助のプロの方たちで、民間会社から派遣されています。いずれの方たちも開発途上国への熱意のある方たちです。

高橋さん:私のイメージだとボランティアで行かれていて、あまりお給料も頂いていないのかなと思っていたんですが…

青木:ビジネスで行かれる方は日本で働いているのと同じくらいもらっています。青年海外協力隊の場合は、2年間にわたり現地の人々と同じ生活をするため、1カ月の生活費で5万円くらいです。そのほか、帰国後の生活のためにJICAが日本でも積み立て(月5万円くらい)をしています。

高橋さん:今回のようなニュースが続くと、JICAで向かう場所が危ないというイメージがついてしまうように思いますが 、実際、JICAで働きたいという人は、減ってはいないんでしょうか?

青木:確かに影響は出てくると思います。しかし、JICAの協力は、平和があってのことです。派遣される方の安全が第一ですので、基本的には、青年海外協力隊員の場合には、現地が危険になったら帰国させるか、別の国に振り替えるなど、安全面の配慮を最大限に考慮します。

外国で働くこと、それも開発途上国で働くことには、辛いことや悩むこともあります。しかし、それ以上に楽しいこと、嬉しいこと、そして現地の人から学んだことなどが多いと、経験者は語ります。

今回のような事件はまた、いつどこで起こるか予測できませんが、まだ世界には日本の若い人たちの力を期待している人たちが大勢います。世界の平和と安定のために、志を持った人たちが続いてくれることを期待したいです。

 

わずか5分間の電話インタビューのため、意を尽くせない部分もあったが、高橋さんの的確なリードと絶妙な相の手のおかげで、インタビューは無事終了した。高橋さんは「わかりやすく話していただいた」と、おっしゃって下さったそうだ。

後日、構成作家の長沼さんに、なぜ私を選んだのかを伺った。長沼さんはインターネットなどでJICAや青年海外協力隊について発信している大学教員の中から私に声をかけてくれたそうで、中部大学HPの私の「教員情報」などもご覧になっていた。

インタビューの二日後の7月15日、本学の国際交流センターから「トビタテ留学」第6期募集案内が学部教員にメール配信された。「トビタテ留学」は、文部科学省と民間企業が、意欲ある大学生や高校生の留学など海外体験を支援する、画期的なプログラムである。このプログラムの第一期生には、中部大生も選ばれている。

「トビタテ留学」の応援団は、高橋みなみさんが率いたAKB48で、JKT48 もその一員である。私は久しぶりに、高橋さんたちが歌う「恋するフォーチュンクッキー」の替え歌である「トビタテ!フォーチュンクッキー」のビデオを見ながら、留学生やボランティアなど、同世代の海外での活躍を温かく見守る「高みな」さんに、心の中でエールを送った。

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