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平成20年度 大学院 応用生物学研究科 応用生物学専攻 博士前期課程修了 久保壮史さん

【2018年2月28日】

命、地域環境を守り、国土の未来をつくる

道路や橋、河川など私たちの生活がより快適便利で安全であるよう、社会基盤施設は日々整えられている。一方で、場合によってはそれが環境破壊と隣り合わせであるということも忘れてはならない。久保さんの仕事はまさにこの狭間に立ち、より良い環境づくりを目指すことだ。「簡単に言うと、整備事業を進め、自然も守る。この両方を実現させることです。例えば道路建設が計画されている土地で、保護が必要な希少性の高い動植物が生息していないかどうか、周辺の自然環境をくまなく調査します。生息が確認されれば、工事箇所の変更や繁殖期を避けて工事を行うなど、自然環境を保全しつつ、事業も展開できる方策を提案し、報告書にまとめます」。仕事は着工前の環境調査に始まり、案件によっては工事中も経過を見守り、さらに工事終了後に影響がなかったかどうかの調査まで行う。希少性の高い種を把握しておくことや、動植物の生態をよく理解しておくことが重要になる。

現地調査が一番の楽しみ

久保さんは自然環境調査のため、1カ月のうち約半分は山や川に向かう。「やはり現地調査をしている時が一番楽しいです」。気を付けているのは希少動植物を見逃さないこと。また、クマタカなどの猛禽類の場合は巣の位置を特定するため巣を出入りする瞬間を見逃さないことが大事だという。自分たちの調査によって守られるべき自然がある。調査中は天候の急変やケガなどの安全管理にも気を配り、暑さ寒さとの戦い、クマやハチとの遭遇もある。調査活動は長時間に及ぶが、根っからの生き物好きで、鳥のヒナの誕生などを目にした時にはうれしさが込み上げるという。仕事は主に地元岐阜県での調査が多いが、県外への仕事も拡充させていて、これまでには小笠原諸島に1カ月半滞在
し、日本の生態を守るため外来種の植物駆除を行ったこともあった。「雄大な自然の中で仕事ができたことは忘れられず、感動しました」

久保壮史さん

  • 久保壮史さん
  • 株式会社テイコク 環境部
  • 2006(平成18)年度 応用生物学部 環境生物科学科卒業
  • 2008(平成20)年度 大学院 応用生物学研究科 応用生物学専攻博士前期課程修了

苦労を重ねた大学院生時代

大学院生時代は今よりもっと大変だったと振り返る久保さん。岐阜県恵那市にある中部大学研修センターで月に1回、3泊4日の日程で恵那の自然環境調査を行うことが定例だった。プレハブ小屋に寝泊まりし、“ねずみ班”の一員としてアカネズミがどんな環境を好むか調査しようと、土や日当たりを調べた他、仕掛けを用意して8時間おきに確認した。「好きでないとできないことですね。山の歩き方もこの時身に付けましたし、論文としてまとめる時の日本語の使い方なども学び、今の仕事にとても役立っています」

もっともっと勉強を

久保壮史さん

 「知識量がまだ足りないのでもっと勉強したいと思っています。生物のことだけ理解しているのではなく、生息環境も生態に関係しているので川であれば水質や流速に関することなど、幅広い知識を身に付けたいと思っています。論文を読んだり、学会に参加したりもしています。まだまだこれからですね」。小さい頃から変わらず抱いてきた生き物や自然が好きという思いが今、さらに膨らんでいる。

※ウプト205号(2018年2月28日発行)より転載

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