山本 敦 研究室

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呼気を使った治療薬物モニタリング(TDM)

TDMとは?

患者の体内に投与された薬物は、静脈注射であればそのまま血中へ、錠剤であれば腸で吸収されてから血中へ移行し、最終的に患部で効果を発現します。患者さんは年齢、性別、体形その他がそれぞれ異なりますから、患者さんごとに投与プログラムは存在するはずです。薬物は強い生理活性を持った化合物です。過剰な投与は負の生理活性、すなわち副作用を発現します。投与量が少ないと患部からの排出や肝臓での代謝速度が上回って、治療効果が期待できません。血中での薬物濃度が、有効濃度と中毒濃度の間に入っていることを確認する、これがTDMです。一部の薬物は、このTDMが保険診療適用を受けることができますが、多くは、医師のさじ加減一つです。医師、薬剤師の指示した容量・用法をよく守りましょう。

 

呼気中に薬物って出るの?

病院にお見舞いに行くと、いかにも病室という匂いしませんか?これって患者さんの呼気から排出された薬物(その代謝物も)の匂いかもしれません。肺胞の周りは毛細血管に覆われてガス交換が行われていますが、同時に分子量の小さな薬物も間質を通って気道被覆液に移行します。この薬物を溶かした被覆液が気道中で微細な粒子、エアロゾルになって呼気から排出されると考えています。薬物濃度は、血中に比べて極僅かです。最近の分析技術の進歩は、その微小薬物も測定できるようになっています。TDMは患者さんの血液を採取して行いますが、これって痛みを伴い(侵襲的)、それ以上にストレスを採取、採血側両者に与えます。もし、TDMが呼気で行えるようになれば、採取を医療機関で行う必要はなくなります。さらに、その薬物量を簡単に測定できる装置があれば自宅でのTDMも可能になります。当研究室では、呼気の吸着材を含むモニタリング装置一式の開発研究を行っています。

 

 

 

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