山本 敦 研究室

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光学分割

19世紀になると科学も進歩し、簡単な有機化合物の合成も可能となってきました。

合成された酒石酸は、ワイン醸造の酒石から得られる酒石酸と似て非なるものとして、葡萄酸と呼んで区別されていました。

1848年のある日、フランスの偉大な細菌学者であるルイ・パスツールは、葡萄酸のアンモニウムナトリウム塩の結晶形に二種類あることに気付きました。

彼はルーペとピンセットを用いてこの結晶を分離しました。

そして、その内の一方の結晶形が天然の酒石酸であることを見出したのです。

このように、ラセミ体の中から鏡像体を分離することを光学分割といいます。

彼は、世界で始めてこの光学分割に成功した科学者でもあるのです。

酒石酸のこの異性体が鏡像異性体であることが明らかになるのは、さらに四半世紀後の化学者ファントホッフによる、炭素結合の正四面体構造という概念の構築まで待たなければなりませんでした。

葡萄酸アンモニウムナトリウムの二種類の結晶
図2. 葡萄酸アンモニウムナトリウムの二種類の結晶

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