発光生物学研究室

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新着情報(2018年度)

 

新着情報2018年度

2018.7.15. チェコの童話Broučciの日本語訳を読みました!

チェコの書店で何冊も見つけた絵本「Broučci」(発音はたぶん「ブロウッツチ」に近い、意味はBeetle)。どうしても内容が知りたかったので調べてみたら、訳本が存在しました!そのタイトルは「ほたるっこ」。1996年初版で、すでに絶版です。

なお、チェコにはLampyris noctiluca, Lamprohiza splendidula, Phosphaneus hemipterusの3種のホタルが知られていますが、この本の主人公はヨーロッパで最も一般的なL. noctilucaではなく、L. splendidulaだと思われます。なぜならば物語のなかでオス成虫がよく飛翔しながら発光しているからです(L. noctilucaのオスは飛翔するがほとんど光らない)。

この物語。成虫が越冬したり、取れた後翅が再生したりと、生物学的には正しくない記述も多いですが、そこは130年前のしかも絵本ですから仕方がありません(注:ただし、アメリカ産Ellychinia corruscaの北部集団は成虫越冬することが知られています)。しかし、ホタルは「人びとのために照らしているのです」ーーなぜ照らすのか?「それは神様がそうお望みだからです」ーーというキリスト教的世界観が色濃い点は気になりました。

でも、このお話が作られたのは130年前です。なすすべもなく訪れる多くの不幸に対し、人びとは「すべては神のみこころ」と信じずに自分の心を支えていられたでしょうか。あらゆる生き物が人びとのために生きているという「間違った」見方でさえ、人びとが神の慈悲深さを信じる仕掛けだと考えれば、仕方がない気がするのです。

この「ほたるっこ」の家族にも、さいごはあっけなくも悲しい出来事が訪れますが、それも神の思し召しなのです。現代に不自由なく生きる我々は、これを「非生物学的だ」と笑うことができるでしょうか。また、東洋の自然観の方がキリスト教的自然観よりも優れていると言い切ることができるでしょうか。そんなことを考えさせられたお話でした。

左はプラハで買ってきたBroučciのパペットアニメーション(1995年)。右がBroučciの訳本。

 

2018.7.14. Eテレ地球ドラマチック「発光生物 神秘の世界」見ましたか?

BBC作成の番組。やはり、日本語で見れるのは安心できていいですね。とにかく映像が素晴らしいので、うちの小さなテレビではなく大画面で見たらもっと素晴らしかったと思います。

内容は、超盛り沢山。失礼ながらこれが日本だったら、これだけのネタがあったら数本の番組を作るでしょう。

私が番組側と何度も議論を重ねて翻訳を検討した箇所もたくさんあります(話を混乱させないために、オリジナルのナレーションと内容を変えた箇所もあります)。よりわかりやすく正しい情報が視聴者に伝わっていれば幸いです(ちなみに、エンドロールでは、「翻訳監修」ではなく「発光生物学監修」になってました!)。

フランス人生物学者のMarcel Kokenさんをどうカタカナで表記するべきなのか(つまりコーケンなのかコークンなのか)については、フランスの学会の時にご本人に聞いて「コークン」であることを確認しました。

再放送は、7/23(月)00:00-00:45(22日の深夜)です!見逃した方はぜひこちらを!!

生物発光の映像としては史上最高のクオリティーであることを私が保証します。

中部大HP別サイトにリンクしますhttps://www.chubu.ac.jp/news/detail-3606.html

Eテレ再放送情報別サイトにリンクしますhttp://www4.nhk.or.jp/dramatic/#schedule-reonair

 

2018.7.11.  プラハから帰ってきました!

はじめてのプラハ。2泊4日の強行スケジュールでしたが、大いに充実したとても素晴らしい旅でした。しかし、充実の理由は、チェコ名物のピルスナー・ウルケルが美味しかったからだけではありません。

チェコといえば絵本ですよね。そこで、私も書店巡りをしてきましたが、いやあ、ありましたよ、ホタルの絵本が。(ジャジャーン)見てください。右から2冊目は、トゥルンカが描いた世界的にも有名な絵本らしいですが、個人的には左から2冊目がお気に入り。

もちろん、FEBS Congressという大きな学会で招待講演をしたことも、今回の旅行が満足できた理由の一つです。実際は、思っていたほど会場の反響が大きくなかったんですが、私のその不満を知ってか知らずか、一緒にセッション座長をやったヤンポルスキーがこんなことを。。。

「この学会は、ヨーロッパで最も大きな生化学の学会だけど、生物発光がまだあまり知名度を得ていない。だから、今回はそれを変える第一歩だ。これからもっと我々の研究をここでアピールしていかないといけない」

うーん、深いお言葉。ごもっともです。ウケのよい小さな学会で喋って満足していた私が間違ってました。また、そんな大事な第一歩の舞台で私を使ってくれたヤンポルスキーにも感謝です。

写真にはありませんが、チェコの国民的人気者クルテク(もぐらくん)の絵本でも、ホタルが登場するものを発見。当然ながら即買いです。クルテクは個人的にかなり好きです。挿絵の雰囲気が素晴らしい。ホタルとは関係ない絵本とDVDも買ってきてしまいました。

 

2018.7.5. 翻訳監修した『ホタルの不思議な世界』が手元に届きました!

自分が携わった本を実際に手にするときの嬉しさは格別です。出来上がりのイメージは校正段階でかなり分かっているつもりですが、やはり、その重量感や手触りなどは手にしてみないと分からないものです。

今回は、表紙に蓄光インキが使われているので、手にしたときの感激は特別でした。さっそく暗室に持ち込んで見ると、なんと、ホタルの部分だけではなく題字も緑色に光っているではありませんか!

実はこの本、原書で買うより翻訳本の方が安いんです!オススメです。

暗室で撮影した『ホタルの不思議な世界』の表紙です

AMAZONから購入できます別サイトにリンクしますhttps://www.amazon.co.jp/dp/4767825032/

 

2018.7.3. 大府東高校で実験をしてきました!

ホタルミミズのハプロタイプをRFLPで解析するという実験を、高校で実施してきました。今日は、その前半のDNA抽出。ここまで本格的な分子生物学実験を高校で実施するのは初めてなので、私も緊張しました。

実験材料に使ったホタルミミズは、今年の春に同高校の敷地内で生徒さんたちに集めてもらったものなので、その採集情報がはっきりわかっているサンプルです。だから、単なる体験学習ではなく、ちゃんと科学的研究に結びついているのが今回の実験のポイントといえます。

ホタルミミズはどこの高校の敷地内にもだいたいいるし、これまでの調査で日本には5つのハプロタイプしか見つからないことはほぼ確かなので、シーケンサーを使わずともRFLPで簡単に多型が調べられるところがこの実験のウリ。うまくできたら、他の高校などでも実験プログラムとして使ってもらえそうな気がします。

 

2018.7.2. サラ・ルイス『ホタルの不思議な世界』いよいよ!

今やホタル研究の世界的第一人者Sara Lewisの著書『Silent Sparks』(2016年/プリンストン大学出版)の日本語版が遂に出ます!今回、私は翻訳監修を担当させていただきました。とても素晴らしい本だと思って以前から注目していたので、その日本語版の出版に携われて光栄です。

著者のサラも「ホタルが深く愛されている日本でこの本が出ることには特別の意味があるわ。ユウイチよろしくね」と言ってたので、監修作業もとりわけ頑張りましたよ!

性選択という進化的な側面を中心にあらゆるホタル学を紹介した素晴らしい内容。ただし、サラの専門が進化生態学であるため、発光の化学や遺伝子に就て説明している部分はちょっと曖昧でしたが、翻訳監修ではそこのところをキッチリ強化しています。

ただし、日本ほどホタルが愛されている国もないでしょうし、ホタルの学術的な研究も日本はなかなか頑張っているのに、このレベルのホタル学の一般書がこれまでなく、翻訳本が先に出てしまったことは少々残念ではあります。

ともかく、良い本ができたことには自信があります(巻末の「北米ホタルの見分け方ガイド」だけは、日本に住む我々にどう関係するのかやや疑問が残りますが)。ちなみに、表紙のホタルの発光写真には蓄光インクが使われていて、光を当てておくと発光するという原書にはないギミックもありますよ。それから、買った人にだけわかるお楽しみもページの片隅に。。。

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2018.6.29. 蛍狩りの五寸皿

印判ですから全く同じデザイン。でも、サイズが違います。左は四寸皿で、5年前に骨董祭で見つけたもの。右は、今回入手した五寸皿です。蛍狩りの図皿はとても珍しいので、迷わず入手してしまいましたが、今回のは、吹き墨で付けた月の図案がいかにも取って付けた感じが満載で、デザイン的はいまいちですね(左側の存在を知らなかったら、そうは思わなかったのかもしれませんが)。

おそらくどちらも大正期のもの。裏側には、中国で富貴の吉祥文様(縁起がいい図柄)とされる蝙蝠が描かれています。

またコレクションが増えてしまいました。

 

2018.6.28. 英BBC作成の発光生物フィルム「Life That Glows」の日本語版が放送されます!

2016年に英BBCが作成したディビッド・アッテンボローの人気いきものシリーズ『Life That Glows』の日本語版が、7月14日と7月22日、いよいよEテレ「地球ドラマチック」で放送されます!世界の発光生物を紹介した番組で、私は日本語訳の監修を担当しました。結構まじめにチェックしたので、自信あります。是非見てください。すごいですよ。

何度も言いますが、このフィルムはスゴいです。私もこれまで様々な発光生物を撮影した映像をたくさん見てきましたが、これを超えるものはありません!と言い切れるくらいスゴいです。こんな見たこともないような素晴らしい映像シーンが始めから終わりまで次々に出てくるのですから、発光生物ファンにはたまりません。私も以前から周囲に「コレはすごいよ」と言い回っていたほどスゴんですが、その翻訳監修のお仕事が私に舞い込むとは思ってもいませんでした。実に光栄なことです。

放送はNHK Eテレ 7/14(土)19:00-19:457/23(月)00:00-00:45(22日の深夜)の2回です!

Eテレ番組HP別サイトにリンクしますhttp://www4.nhk.or.jp/dramatic/x/2018-07-14/31/15515/2340522/

 

2018.6.27. ホタル焼きのホタル猪口

ホタルが描かれた素敵な猪口を手に入れました。おそらく昭和初期のものでしょうか。面白いのは、発光器の部分が薄くなっている、いわゆる「ホタル焼き」になっていること。ホタル焼きの皿や猪口はよくありますが、本当にホタルがデザインされているホタル焼きはほとんど見たことがありません。

写真には見えていませんが、反対側に赤い字で「南郷 宮宗」と書かれています。滋賀の骨董店から入手したものなので、琵琶湖南端の瀬田川ぞいにある南郷のことで間違いないでしょう。おそらく当時の南郷はホタルの名所として知られ、季節になると地元の飲み屋がホタル舟を出していたと思われます。

そのチープな造りは、ホタル鑑賞が庶民の気楽な楽しみだった当時を偲ばせます。安酒を熱燗にして使ってみたい。

ホタルの描かれた浮世絵や染付の磁器など、私は、当時の人々がホタルをどう見ていたかという「文化的背景」が偲ばれる量産品に魅力を感じます。逆に、一点モノの肉筆画や茶碗、蒔絵箱などに対しては、たとえホタルがそこに描かれていても、あまり魅力的には思いません。一点モノとは個人の嗜好で作られた特注品であり、大衆のホタルに対する捉え方がそこから透けて見えてこないからです。

ところで左側の写真に、屋号でしょうか、青い字で文字が3つ書かれています。「○み舟」と読めますが、「○」のところがわかりません。涼み舟?くずし字の読める方、答えを教えてください!

その後、お茶を習われていた高校の先生からくずし字の答えを教えていただきました。答えは「河」。ですから「河み舟」ということになりますね。河に小舟を浮かべて、その中で客にホタルを見せながらこのお猪口でお酒を出していたのでしょう。

 

2018.6.20. ホタルルシフェリン生合成に関する論文がBioorg. Chem.に受理されました!

ホタルルシフェリンがどのように生合成されているのかは、発光生物学の中でもとくに重要な謎です。私たちはこれまでこの問題に対して重要な2つの論文を出してきましたが(Oba et al., 2013 PLoS ONE; Kanie et al., 2016 Sci. Rept.)、今回、シスチニルハイドロキノン(CysHQ)が生合成を解き明かす重要な中間体であることを明らかにすることができました。さらに、ホタルルシフェリンの生合成が成虫ではなくむしろ蛹の段階で行われていることを明確にしました。主著者は、今年の春に学位を取った蟹江くんです。

 おそらく世界の少なからぬ研究室がホタルルシフェリン生合成の全貌解明を目指して研究を進めていると思われます。誰がその全貌を解明するのかは分かりませんが、その基本となる重要な3論文を私たちのグループから報告できたことは大きな喜びです。

久々のケミストリー系雑誌です。査読の返事が来るのに1ヶ月かかりましたが、リバイズから受理までは1日(!)でした。

Unedited PDF別サイトにリンクしますhttps://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S004520681830484X

 

2018.6.19. 「昆虫たちの不思議な性の世界」の本が届きました!

新刊の現物が届きました!この本の「あとがき」にも書きましたが、こうやって並べてみると、本当に前作「遺伝子から解き明かす昆虫の不思議な世界」(悠書館/2015年)の弟のような本です。

ただし、前作の執筆者は11人、一方、今回はたった4人です。わたしたち4人で、よくここまで「昆虫の性」すべてをカバーできたものだと自画自賛したくなります。性決定のメカニズムから不思議な性にまつわる形態や行動まで、あらゆることを学べる、類書のない素晴らしい本だと思います(もちろん、発光生物のこともしっかりたくさん書いています)。ぜひ、地元書店やネット書店で手に入れて読んでいただければ嬉しいです。

ちなみに、本のオビの裏には私が書いた「あとがき」の抜粋が引用されています。この本で私が伝えたかった事は、まさにこれ!

「私たち執筆者はみな、子供の頃から昆虫が大好きでした。しかし、昆虫の何がそんなに魅力的だったんだっけ? 立派なツノのかっこよさ、色とりどりの模様、いつまでも見飽きない不思議な行動、大事に飼うと増えていくのも楽しかった。……そうか、昆虫の楽しさに共通するキーワードは昆虫の〈性〉の多様性だった!」(「あとがき」より)

AMAZONでも買えるようになりました!別サイトにリンクしますhttps://www.amazon.co.jp/dp/4909383034/

 

2018.6.13. ベネッセの『チャレンジ』に光る生き物が登場です!

学習教材のベネッセコーポレーションの進研ゼミ小学講座『チャレンジ2年生』の「はてな?はっけん!ブック」は、発光生物の特集です。内容は、私が監修しましたが、とても面白いものができたと思います。私が3月にフィジーで撮影してきた発光カタツムリの写真も本邦初公開です!

キチンと証明されていない事柄については、「ーといわれているよ」「ーかもしれないね」「ーと考えられているよ」と慎重に書かれている点には好感が持てます(僕が指示したわけではありません)。一般書は(子供向けのものは特に)つい何でもシンプルに言い切ってしまうケースが多いんですが、ベネッセさんはそのへんがしっかりしてらっしゃいます。その生き物がなぜ光っているかなんて、そう簡単に言い切れるほど証明されていないんです。

 

2018.6.11. 新刊情報!「昆虫の性」に関する編著書が出ます!

私が事務局・代表幹事を務めている「昆虫DNA研究会」の中から筆の立つ第一線の若手研究者を集めて作りました!

昆虫の不思議さ・すごさ・面白さって、突き詰めると「進化」の問題か「性」の問題に行き着きます。そこで「進化」に注目して作ったのが前作「遺伝子から解き明かす昆虫の不思議な世界」(大場裕一・大澤省三・昆虫DNA研究会[編]/悠書館/2015年)でしたが、この本が好評だったので、次は「性」ということで。

カマキリのオスが交尾中にメスに食べられてしまう話、昆虫たちの交尾姿勢の話など、昆虫の性の多様さは、これまでもいろいろな本やテレビでも紹介されています。しかし、その多くは興味本位に面白おかしく取り上げたものがほとんど。でも、本当の昆虫の面白さを語るのに、わたしたちは悪ふざけは不要と考えました。一歩先の知識を求める知的読者のために、マジメに昆虫の性を語ったのがこの本です(ちょっとマジメすぎたかもしれないくらい)。

ちなみに私は、ホタルの発光、コオロギの歌声、ガのフェロモンなど、昆虫が異性を呼ぶ「遠隔コミュニケーション」に関する章を担当しています。優雅に見えるこれらの昆虫たちの行動も、性選択の立場から昆虫たちの身になって考えてみると、過酷な生存競争のなかでのギリギリの戦略であることが見えてきます。

6月25日、いよいよ発売です!!

表紙のデザインは、一色出版の岩井さん。真ん中にいるのはオバボタル!成虫になると光らない日陰者のこのホタルが、書籍の表紙のセンターデビューする日が来るとは、オバボタルファンの私としては感無量です!

一色出版HPの宣伝ページ別サイトにリンクしますhttp://www.isshikipub.co.jp/sample-page/science/genes_insectsex/

 

2018.6.3. 国際生物発光化学発光シンポジウムから戻ってきました!

2年に一度開かれている国際生物発光化学発光シンポジウム(ISBC)に行ってきました。今年の開催地は、フランスのナント。

今回は、私たちを含む国際共同チームによる、ホタルゲノム解読の全貌初公開、発光キノコの発光関連遺伝子クラスターの初公開、発光ゴカイ(オドントシリス)のルシフェリンとルシフェラーゼ遺伝子に関する研究の初公開という、3つの大きな発表がありました。聴衆を騒然とさせるほど学界にかなり大きなインパクトを与えられたものと我ながら自負しています。

これらの偉業に主体的に関わった共同研究者たち、イリア・ヤンポルスキー(ロシア)、カシウス・ステヴァニ(ブラジル)、ダリン・シュルツ(アメリカ)、別所学(日本、アメリカ)、ティム・ファーロン(アメリカ)、アレックス・コトロバイ(ロシア)らと再会できたのも嬉しかった。お互い「やったぜ!イエーイ」とは口では言わないけれど、固い握手をして長い努力の結果がようやく実ったことを喜び合いました。

その他の発表で個人的に最もインパクトがあったのは、ジェローム・マレフェ(ベルギー)らによるウミグモの発光の再確認。オオウミグモの発光は大昔の文献で知られていたことですが、その後まったく報告がなかったので誤報だろうと思ってました。しかし、今回オオウミグモの発光の動かぬ証拠である写真が公開され、またマレフェからも直接その発光のようすを聞いて、これが本当だったのだと確信しました。私は鋏角類(クモ、ダニ、カブトガニ、サソリなどのなかま)には発光種が一つもいないと思っていましたが、それは間違いだったわけです。「それって昔から分かっていたことでしょ」という人もいるかもしれませんが、本当かどうかを確かめるのはとても重要なことです。

 

2018.5.27. オドントシリスのルシフェラーゼ論文が出ました!

発光ゴカイOdontosyllis undecimdonta(和名はクロエリシリス)のルシフェラーゼの論文が国際学術速報誌BBRC(Biochemical and Biophysical Research Communications)に掲載されました!

原稿の受け取り(received)が5月14日で、受理(accepted)が5月18日ですから、その間わずか4日間(オンライン公開は5月26日)。しかも、査読者からの修正の指摘は全くなし!唯一、エディターから「サプルメントの図も大事だから本文の図に入れてください」という指示があっただけ。これって、普通ありえないことです(少なくともこんな経験は私は初めて!)。

別にエディターがお友達とかそんなこともないですし(著者の誰とも関係のない人でした)、いくら速報誌とはいえ、早すぎますよね。おかげで、明日からフランスで行われる国際生物発光化学発光シンポジウム(ISBC)に間に合いました!

富山までなんども通って採りに行ったかいがありました。お世話になった魚津水族館の皆さまに感謝いたします。

BBRCの記事別サイトにリンクしますhttps://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006291X1831204X

 

2018.5.25. オドントシリスのルシフェラーゼ遺伝子論文が公開になりました!

10月はじめのわずかな時期の、日没1時間後のたった30分間だけ出現する不思議な富山湾産発光ゴカイOdontosyllis undecimdonta。このルシフェラーゼ遺伝子が遂に決定され、その論文がバイオ系プレプリントbioRxivに登場しました!

日本とアメリカとロシアの共同研究です。主著者は、以前私のラボに来ていて現在はMBARIのハドック(Steve Haddock)研にいるシュルツ(Darrin Schultz)くんと、モスクワのアレクセイ(Alexey Kotlobay)さん。二人とも優秀な若手発光生物研究者です。論文はすでに国際学術雑誌にアクセプトになっています。

ちなみに、論文の最後にこんなことが書いてあります。「遂に長年の謎が解けました。でも、ルシフェリンに細胞透過性がないので、たぶんこの遺伝子はあまり何の役にも立たないでしょう」。(ビバ!基礎研究!)

時差がものすごいこの3カ国共同の研究は、私が明け方4時頃に仕事をする習性に助けられました。この時刻だと、モスクワもカリフォルニアも普通の人は起きている時間なので、リアルタイムでメールや原稿修正のやりとりができました。スムースな国際共同研究は、夜明け前に起き出してやるのが勝負のようです。うーん、今日も眠い。

bioRxiv別サイトにリンクしますhttps://www.biorxiv.org/content/early/2018/05/24/329631

 

2018.4.25. FEBS Congressで招待講演します!

生化学の分野では権威あるFEBS(Federation of European Biochemical Societies)の国際学会で7月に招待講演をします!学会場はプラハ(チェコ)です。チェコは、シブい昆虫分類の論文がコンスタントに出てくる不思議の国。一度は行ってみたかったので嬉しいです。

The FEBS Congress 2018別サイトにリンクしますhttps://2018.febscongress.org

 

2018.4.19. 写真家の宮武健仁さんが訪問されました!

発光生物や火山の写真を得意とするプロ・フォトグラファーの宮武健仁さんが、研究室を訪問されました。宮武さんとは、宮武さんがナショジオ写真展グランプリを受賞してすっかり有名人になる前からの知り合い。一緒に発光生物の写真集を出させていただいたり、私の関わるテレビや雑誌関係でもたびたび写真と動画を協力していただいています。すごいフォトグラファーなんだけど、その気さくな性格のおかげで、つい私もリラックスして長話してしまいます。

発光生物の写真はまさに発光している瞬間を撮るわけですから、いい写真を撮るためにはカメラ技術だけではなく、その生物がどの場所のどの時期に出現し、どのタイミングで光るのかを知り尽くすことが必要です。宮武さんは、私なんかよりも圧倒的な時間を野外観察に費やしていますから、そこで宮武さんが見たこと気付いたことのひとつひとつは、学術的にも重要なヒントが盛り込まれた宝の山です。

宮武健仁さんのHP別サイトにリンクしますhttp://miyatake-p.com

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