発光生物学研究室

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新着情報(2018年度)

 

新着情報2018年度

2019.2.6. 下村脩博士の自伝『Luminous Pursuit』(2017)を読みました

下村脩博士の『Luminous Pursuit: Jellyfish, GFP, and the Unforeseen Path to the Nobel Prize』(World Scientific, 2017)を読んだ。内容はほぼ日本語の自伝『クラゲに学ぶ』(2010)と同じだが、この本にしか書いてないことも結構あった。

下村博士の研究者としての姿勢は、タイトルにあるPursuit(追い求めること)とUnforeseen(思いがけない)という単語に集約されているだろう。(私を含め)研究者ならば「私だって追い求めている、ただ毎日忙しいだけだ」と言い訳するかもしれないが、この本を読むとそれが生半可なPursuitではないことがよく分かる。それは、数年後に旧帝大の教授職を約束されているポジションを捨てて一研究者としてアメリカに帰る覚悟があるか、研究時間が惜しいから馴れ合いは無駄と考えて学会に出ない覚悟はあるか、ということだ。いい出世の話か金づるのチャンスでもないものかと学会や懇親会にせっせと顔を出す研究者たちの「あたりまえ」の態度を恥じ入るばかりである。

ところで、「クラゲに学ぶ」同様に、この本にも私の恩師の中村英士先生のことが出てくる。「そのとき彼が一を習えば十を知るという調子で」と高く評価されているのだが(下村博士よりも下の年代の研究者でこれほど高く評価されている人物はこの本には中村先生以外には出てこない)、そのあとに「クラゲに学ぶ」には書いてない一節を見つけて驚いた。

“and hoped that he would carry on my work after I retired”(私が退職した後は彼が私の仕事を続けてくれるものと期待していた)

なんとこれほどまでに将来を期待されていたとは!さらに続けて

“he picked up some specimens from my lab just one month before his accidental death”(彼が亡くなるちょうど1ヶ月前に私の研究室から生物材料を持って行ったところだった)

ちょうど1ヶ月前といえば、私が中村先生の研究室に着任した数日前ではないか!私は中村先生から下村先生が何の生物材料を受け取ったのか残念ながら聞いていなかった。そして、下村博士も亡くなってしまい、とうとうそれが何であったのか、聞くチャンスを失ってしまった。今も、「それ」は私の研究室の冷凍庫のどこか奥深くに埋もれているのだろうか。

「クラゲに学ぶ」には書かれていない最後の部分は、ノーベル賞受賞後にロスアラモス研究所(原爆を開発した米国立研究所)に招待されたときの出来事と、下村博士と奥様の経験した凄惨な長崎での原爆体験が綴られている。英語版でこの本を出した意図はまさにここにあったのだろう。

I wish to have the world without any war. And I wish to have a world with no nuclear weapons.

日記を朗読するかのように淡々と生涯が語られる本書の本当におわり近くで、この文章に出会い私は衝撃を受けた。

GFPの発見がもたらした科学の革命的発展と、この発見に与えられたノーベル化学賞は「unforeseen」だったかもしれないが、この願い(wish)は間違いなく下村博士自身の心からの声なのである。

 

2019.2.2. 知立市でホタルミミズイベント

知立市でホタルミミズ観察会のイベントをやってきました。前々日に雨が降ったので絶好のホタルミミズ日和だと思ったのですが、どうやら朝に冷え込んで霜柱が出たようで、糞塊は思いのほか少なかった。それでも、なんとか参加者全員が自分でホタルミミズを掘り出して、みんな発光する様子を観察してもらうことができました。大成功!

小学生の親子連れ約30人が参加がありましたが、みなさんこんな身近な場所にこんな不思議な生物がいることに驚いて、その発光するようすに関心を持ってもらえたようでした。

冬場でしたらホタルミミズのイベントどこでもやります。ぜひお声をお掛け下さい。発光生物の魅力を通じて科学の面白さを子供たちに伝えるのが私のできる役目のひとつだと思っています。

 

2019.1.31. 気づいてしまった

私の『御茶水螢』が、復刻版であることに気づいてしまいました。今年1月8日の新着情報に書いたとおり、なんか私の思う「御茶水螢」と違うなあという感じがしてたのと、当時のものにしてはキレイすぎるというのがずっと気になってたんです。それで、美術館収蔵の作品画像と細かく見比べていたところ、違いに気が付いてしまいました。つまり、摺りが違うのではなく、版木から違ったのです。

ちなみに、浮世絵の傑作には「復刻版」というのがある場合があります。これは複写(コピー)ではなく、同じデザインのものを後からプロの職人が版木から彫り直し、ちゃんと浮世絵の手法で摺ったものです。ですから、本物の浮世絵です。でも、小林清親の同時代に作られたものではありません。購入したとき「真作保証」とあったのですが、確かにニセモノ(印刷物)ではないわけです。

復刻版ならば、値段的にも、状態の良すぎることにも納得がいきました。でも、やっぱり清親の当時の本物が欲しくなってしまいました(もちろん、復刻版も大事にしますが)。

勉強になりました。

 

2019.1.30. おかざき自然体験の森でホタル幼虫採集をしてきました(空振り)

おかざき自然体験の森でホタルの幼虫採集にトライしました。もちろん、岡崎市の許可を得ています。5人で2時間半くらい頑張りましたが、残念ながら空振り。1匹も取れませんでした。まあ、真冬の昼間の調査ですから、心づもりはしてましたが。

普段はドライなお付き合い(研究手法が水仕事のない「ドライ」という意味ですよ)をしている基礎生物学研究所の共同研究者の皆さんと、ドロ水に手を突っ込んでの作業は、気分転換にとても楽しいものでした。

ホタルの幼虫はいなかったけれど、ヨシノボリ、メダカ、ドジョウ、シジミ、カワニナ、ヤゴ、ミズムシ(等脚類のやつ)、ドジョウ、トビケラの幼虫、ヌマエビなどなど、いろいろなものが採れて楽しかったです。もちろん、全部逃がしてきました。

 

2019.1.11. 広島ホームテレビ 5upで、ホタルミミズが紹介されました!

広島の情報テレビ番組でホタルミミズが紹介されました。下関市の幼稚園で運動場の地面が夜光ったという怪現象の情報があり、その原因究明をするという内容。出演は、豊田ホタルの里ミュージアム学芸員の川野敬介さん。川野さんがミュージアムのすぐ目の前で「いました、これです」とすぐに採って見せたあと、私の電話インタビューと私が撮った発光映像が流れました。

ホタルミミズの発光動画は、実は撮ったことがなかったので、今回のために撮りました。昨年フィジーでも活躍したNIKON D500を使っていい画像が撮れました。

それにしても、幼稚園の運動場が光っていたという情報は面白いですね。戦前や戦中にはそういう形でのホタルミミズの報告もあったようですが、最近では真っ暗な場所も少ないし、そもそもそんな真っ暗な場所を人が歩き回ることも少ないので、最近では珍しい報告例だと思います。

広島ホームテレビ「5up!」2019.1.9.放送別サイトにリンクしますhttps://www.home-tv.co.jp/chikyuha/program/

 

2019.1.8. 清親の螢

いつか手に入れたいと長いあいだ夢見ていた浮世絵をついに手に入れてしまった。清親の『御茶水螢』である。陰影のあるモダンな「光線画」で人気の高い「最後の浮世絵師」「明治の広重」こと小林清親(1847-1915)の作品。浮世絵に詳しくなくても清親の光線画は好きだという人も多い。

清親がホタルを描いた浮世絵には、『天王寺下衣川』と『御茶水螢』の2つが存在する。うち、前者は5年前に手に入れた。これも素晴らしいのだが、どちらかというと後者の方が好みで、ことあるごとに探していたのだが、なかなか売っていない。図録で見て気に入ったのが最初で、その後、美術館でも何度か見た。それが、とうとう自分のものになったのである。

しかも本当に素晴らしいコンディション。ほとんど美術館クラスと言っていいだろう。はっきり言って、このクオリティーなら実際に買った値段の5倍出しても惜しくなかった。実にいい買い物をした。

あの東京の御茶ノ水に明治時代まではこんな風景が存在したのである。しかし、単なる郷愁ではない。右上にちらっと見えるのはおそらく電柱である。忍び寄る近代文明の波。清親の光線画は、懐かしさとモダンが交錯する明治の東京なのだ。そこがまたいい。

一番欲しかった作品が手に入って、これで私のホタル浮世絵探しの旅もおしまい。と言いたいところだが、そうは問屋が卸さない。実は、浮世絵には同じ版木を使いながら摺りの段階で配色や濃淡の異なる「摺り違い」が存在し、清親の光線画ではその違いが与える印象の差が顕著なのである。そして、私のもっとも理想とする『御茶水螢』は、もっと濃くて真っ暗に近い摺り違いなのだ。

 

2019.1.1. 新年の抱負に代えて

元旦だけは意識して仕事をしなかった。代わりに読みたいと思っていたショーン・キャロルの『セレンゲティ・ルール』(紀伊国屋書店/2017)を読んだ。隣の部屋で歌番組やお笑い番組のテレビが鳴り響く中で読むのは大変であったが、なんとか読み終えた。

エボデボの現役スターが何を考えていて何故この本を書いたのかがとにかく知りたかった。その内容を一言で紹介すると、「ヒトの内部でも、自然環境でも、どちらでも抑制やネガティブフィードバックが調整機能を果たしており、それが破綻すると病気になったり多様性が損なわれたりするという<ルール>を科学史的視点でまとめたもの」と言っていいだろう。いい本であったが、内容の批評はここでの本題ではないのでやめておこう。問題は、なぜキャロルがこの本を書いたのか?

キャロルと言えば、蝶の斑紋形成と進化に関する華々しい研究成果の数々は、生物学者を目指していた私にとって全くスーパースター的存在だった。その天才的な発想力で、喫緊の課題とは無縁な知的好奇心を揺さぶる謎を次々と解明してゆく姿に魅了された。その彼が、あるとき蝶の研究を一切やめて、ショウジョウバエの研究に移った。その時も驚いたが、「蝶では研究に限界があることを見切ったのだろう」と納得した。しかし、今度の本は、医学や薬学や動物保護や環境がテーマである。キャロルが研究してきた主題とは基本的に関係がない(システムに抑制やフィードバック機構が重要という共通点はあるが)。むしろ、あのキャロルがこれまでの研究とは真逆ともいうべき喫緊の世界問題に焦点を当てているところが不思議だった。

「短く刺激的な本を書いて欲しい」という出版社の依頼で書いたというが(著者の謝辞より)、どうみてもキャロルは本気である。奥さんが現在アフリカに移る準備を整えている(著者の謝辞より)というのも、意味深で本気を感じさせる。天才は何にでも興味を持てるということか?誰しも年を取ってくると健康のこととか地球のこととかを考えたくなるということか?しかし、私にとってのスーパースターであるチャールズ・ダーウィンもスティーヴン・ジェイ・グールドも下村脩も、医学とか環境に役立つことを積極的に取り組んではいなかった。

しかし、そういえばグールドは宗教的無知や人種差別と戦っていた。下村先生は原爆の悲惨さを訴えるメッセージを多く残している。そう思うと、私がスーパースターだと思っている知的好奇心にまっすぐな天才たちは、やはりなにかしら世界の大事なことについても考えて行動していたという共通点に初めて気づかされた。つまり、様々な世界的問題が渦巻く中で、キャロルがフォーカスしたものが、動物保護や自然環境だったということなのかもしれない。これは、好奇心の赴くままに研究してきた私にとって、衝撃的な発見であった。

だとすると、年齢的に私もそろそろ「何か」をしなければならないのだろうか。いや、天才ではない私にスーパースターたちの真似事はどうもできそうにない。しかも、私が選ぶべき「何か」が何なのかも未だよくわからない。次の十年くらいで考えればいいことなのか(キャロルと私はちょうど十歳違いである)。それとも、発光生物のことで僅かながらも学問に貢献できればそれが身の丈ということなのか。

正月早々、科学者としての自分の将来を占う刺激的な良い読書ができた。

AMAZON別サイトにリンクしますhttps://www.amazon.co.jp//dp/4314011475

 

2018.12.26. ホタルゲノムの成果報告会が開催されます!(1月10日)

先にご紹介したホタル全ゲノム解読は、基礎生物学研究所の共同利用研究のサポートにより達成されました。この成果報告会を2019年1月10日(木)に基礎生物学研究所の1階会議室において開催いたします。プログラムは以下のとおり。

一般参加もできますので、興味ある方はぜひご参加下さい!

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14:00〜14:35 大場裕一(中部大学)
  研究代表者挨拶「ホタルの不思議な世界」
 
14:35〜15:10 重信秀治(基礎生物学研究所)
  「The firefly genome」
 
15:10〜15:45 別所学(米・モントレー湾水族館研究所)
  「ホタルゲノムが明らかにする発光性甲虫の平行進化」
 
15:45〜16:00
  コーヒーブレイク
 
16:00〜16:35 池谷治義(桐蔭学園高等学校)
  「ヘイケボタルの累代飼育:Ikeya-Y90系統のこれまでとこれから」
 
16:35〜17:10 大場裕一(中部大学)
  「ホタルゲノムプロジェクト:ここまでの経緯と今後の展望」
 
17:10〜17:30 重信秀治(基礎生物学研究所)
  総合討論および閉会の挨拶

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基礎生物学研究所のHP案内別サイトにリンクしますhttp://www.nibb.ac.jp/event/event/18/12/post_1049.html

ホタルゲノムのプレスリリース内容はこちら別サイトにリンクしますhttp://www.nibb.ac.jp/press/2018/10/16.html

 

2018.12.24. ホタルミミズの北限記録更新:秋田魁新報に紹介されました!

先月(11月21日)、北大時代の先生で現在は秋田大学の教授をされている藤原憲秀先生(生物有機化学)のご招待で、講演をしてきました。そのときに、秋田大学キャンパス内でホタルミミズを見つけましたが、北限記録更新だったので、新聞記事に紹介していただきました。ちなみに、今回載せていただいた秋田魁新報さんは、秋田県でもっともシェアの高い有力地方紙。

当日は雨降りだったので手がかりの糞塊が見つからず、勘を頼りに掘ってみましたが、何ヶ所か掘ってみて見事発見。初めて秋田に行ったよい思い出になりました。

ところで、秋田のホタルミミズの特徴は、とにかくデカい!新聞記事の写真を見ると「小さいじゃん」と言われそうですが、ホタルミミズとしてはどの個体もすごく大きかったんです。たぶん、11月の時点ですでにすべて成長し終わっている感じがしました。なお、11月だと名古屋のホタルミミズには小型の幼体がかなり混ざっています。北限のホタルミミズは本当に寒くなる前に成長を終えてしまうのかもしれませんね。

現在アクセスランキング1位です!

秋田魁新報の記事別サイトにリンクしますhttps://www.sakigake.jp/news/article/20181224AK0002/

 

2018.12.1. ハイデラバード大学から大学院生が来ました!(さくらサイエンスプラン)

JST(科学技術振興機構)の日本・アジア青少年サイエンス交流事業「さくらサイエンスプラン」に採択されて、インドの名門ハイデラバード大学から大学院生ソニカ・カーさんが来日しました!今日から19日間、私の研究室に在籍します。短い期間ではありますが、今後の私の研究室と彼女の所属する研究室(バラサブラマニアン・センチルクマラン教授)との交流のきっかけ、ひいては日本とインドの科学交流の懸け橋となることでしょう。

 

2018.11.30. ありがとうベノさん!

私の大事な研究フィールドである八丈島。生物学者ヴィクトール・ベノ・マイヤーロホ先生が、この島に住むようになったのは、4年前でした。そもそものきっかけは、2013年7月に八丈島で開催した発光生物研究集会の際、特別ゲストとして私がドイツからご招待したのは始まり。それが、まさか島に移住してくることになるとは。

それ以来、ずっと遠い存在だった大先生が、「ベノさん」と呼べる親しい間になり、研究のことから日々の不満まで、ずいぶんいろいろな話をしました。研究環境としては決して恵まれたものではなかったかもしれませんが、八丈島の身近な生物を使って実にたくさんの論文を書かれたのは、さすがです。トップジャーナルに論文を出して有名になりたいなんて俗な欲望を持たず、ただただ生物の研究が楽しくて仕方がない。しかも、膨大な知識とアイデアの豊富さで、そこらへんの生き物からあっという間に新しい発見をしてしまう。ベノさんこそ、そんな真の生物学者なのです。

あれから4年。とうとうベノさんが日本を離れる日が来てしまいました。12月から、アンドン大学(韓国)昆虫学教室の教授職が決まったのです(すごいなぁ、なんでそんなにポンと教授職が見つかってしまうんだろう)。我々としては寂しい気持ちがしますが、世界の国々を軽やかに渡り歩いてきたベノさんにとっては、日本の4年間も楽しい世界探訪のひとつなんでしょうね。

八丈島の発光キノコバエを詳細に記録した論文(Fang et al., 2018)は、まさにベノさんの私たちへの置き土産です。ちなみに、筆頭著者の方さんは、発光生物が大好きで写真がうまくて親切で優しい、台湾に住む私たちの友人です。

Fang, H.-T., Oba, Y., and Meyer-Rochow, V. B. (2018) Focusing on Keroplatus nipponicus Okada, 1938 (Diptera: Mycetophiloidea: Keroplatidae) and its adults. Entomologie heute 30, 45-53.

 

2018.11.27. 発光キノコのルシフェラーゼ遺伝子が解明されました!!

なんという快挙でしょう。発光キノコのルシフェラーゼ遺伝子が解明されました!

ルシフェリンが3-ヒドロキシヒスピジンであることが決定したのが2015年、そして早くも2018年11月、発光キノコのルシフェラーゼも特定されてしまったのです。私も著者の一人に入っているのでこう言っては変ですが、何といったらよいか、スゴすぎます。これは本当に歴史に残る大発見ですし、実際、歴史を変えるかもしれません(なんでScixxxxがこれをリジェクトしたのか、全く理解できません)。

今回の国際チームを率いたのは、ロシア科学アカデミーのヤンポルスキー博士。では、どうやってルシフェラーゼ遺伝子を特定したかというと、ずばり「発現クローニング」です。つまり、発光キノコが持っている遺伝子を網羅的に酵母細胞に発現させて(タンパク質を作らせて)、そのコロニーにルシフェリンをかけて、光ったコロニーをピックアップする。それだけ。正直、そんな「常法」で永遠とも思われた深い謎があっさり解けてしまうとは思ってませんでした(←また著者の一人らしくない発言)。

驚くのはまだ早い。なんと、ルシフェラーゼと同じ遺伝子座位にはルシフェリンの生合成酵素群がタンデムに並んでいました。つまり、まるで発光バクテリアのLuxオペロンのように、発光するのに必要なセット一式が連なっていたのです。そして、このセット一式の遺伝子を異種生物の細胞にブチ込むと、なんと光ってしまいました!細胞がもともと持っていた単純な材料からルシフェリンが作られて、ルシフェラーゼと反応して光ったのです。はい、これでルシフェリン生合成酵素の解明も完了。いろいろな応用の可能性も無限に広がります。アンビリーバブル!スゴすぎるー。

さらにさらに、この発光遺伝子セット一式は、分類群を超えたあらゆる発光キノコに共通していました。そして、発光しないキノコにはちゃんとこの発光遺伝子セットが欠落している。つまり、発光キノコの進化の謎まで解けてしまいました。

ルシフェリンの構造は2015年に既に発表済みですから、今回の成果は誰かがやろうと思えばできる研究でした。なので、他の誰かに先を越されないか、査読に時間がかかったりリジェクトされたりするあいだ、正直ずっとハラハラしてました。私が関わった論文が一番乗りになって欲しいということ以上に、やはりルシフェリンの構造を決めたヤンポルスキーのグループがルシフェラーゼの構造も決めて欲しかったですからね。そして、実際そうなったわけです。

先ほどから驚きっぱなしであることからもお分かり頂けるとおり、いちおう私も著者には入ってますが、私の今回のコントリビューションは大きくありません。しかし、この歴史的偉業に加わった大勢の研究者リストに私が入れたことは(著者40人中31番目)、本当に光栄です。

実は、19日に亡くなられた下村脩先生は、発光キノコの発光メカニズム解明に大変努力され、その解明をロシア科学アカデミーに託しておられました。ヤンポルスキー博士は、その期待通りの成果を成し遂げたわけです。いや期待以上の成果と言っていいかもしれません。

ちなみに、ヤンポルスキー博士は、下村先生の訃報に触れて「彼は研究者として私の一番の理想だった」と言ってました(私信)。うらやましいことに、あなたのその理想、もうだいぶ近くまで来てますよ。

写真は、今回の論文の主著者アレクセイ・コトロバイ(左)とボスのイリア・ヤンポルスキー(右)。ちょうど1年前にモスクワを訪れたさいに撮影。すごいぞ、ロシア!

PNAS article別サイトにリンクしますhttp://www.pnas.org/content/early/2018/11/21/1803615115

 

2018.11.9. ジョゼ君の研究が英「The Economist」誌に紹介されました!

博士課程院生ジョゼ・パイティオ君がDeep Sea Biology Symposium(2018年9月・モントレー)で学会発表した内容が、イギリスの権威ある雑誌「The Economist」に紹介されました!記事のタイトルは"Invisibility cloaks"ーそう、ハリーポッターに出てくる「透明マント」ですね。

現在CRESTプロジェクトで進めているハダカイワシDiaphus wataseiに関する研究です。ハダカイワシの仲間は、腹側にたくさんの発光器が並んでいて、海の上から差し込む太陽光にその発光の強さと色を合わせることで自分の影を消して、下から敵に見つかりにくくしているのです。専門的には「カウンターイルミネーション」というんですが、それを「透明マント」に例えたのは実にうまい!さすがThe Economistです(この発想は思いつかなかった)。

ハダカイワシが発光をカウンターイルミネーションに使っていることは以前から分かっていたのですが、ハダカイワシの発光器と目を詳しく調べてみると、そこにはカウンターイルミネーションを発揮するための実に巧みなしくみがたくさん見つかったのです。詳しくは、The Economistの10月8日号を見てください。MBARIのハドック先生も紹介されてます。

The Economist 2018 Oct 8別サイトにリンクしますhttps://www.economist.com/science-and-technology/2018/10/06/sea-creatures-fight-bioluminescence-with-the-blackest-materials-known

 

2018.11.8. イカサマ発光生物学会にご注意!

アメリカの友人から「この学会、ユウイチは参加するかい?」というメールが来ました。なになに、生物発光と発光生物のための国際会議?おお、これは放ってはおけぬ。しかも、場所は観光名所のバリです。でもなんか変だぞ。第21回って?

よく調べてみたら、なんとイカサマ学会であることが判明。WASETいう怪しい団体が主催しているようです。まあ、ちゃんと開催されているケースもあるみたいなのでフェイク学会とは言いませんが、善良なる発光生物学ファンの皆さんは、こんなイカサマに参加してはいけません!!(どの辺がイカサマなのか、いろいろあるので書きませんが、興味のある方は「WASET 国際学会」で検索してみるといろいろ面白いですよ)

さっそく友人に「この学会、どうもヤバイよ」という連絡をしたら、「Damn - Thanks for the heads up」という感謝の返事が来ました。あまりに魅力的な学会名と開催場所に、危うく私も騙されるところでした。

それにしても、こんなタイトルのイカサマ学会が計画されるとは、発光生物もメジャーになったなぁー。いやいや、どう考えても参加しそうな人が世界に少なすぎでしょ。悪徳商売としてはテーマ設定のミスだと思います。

イカサマ学会ですからリンクはしません

 

2018.10.30. 中日新聞に大府東高校STEMの活動が紹介されました!

今年7月にPCRまでやった実験のつづきです。やわらかい寒天ゲルにわずか数マイクロリットルの液(PCR産物を制限酵素で切断したもの)を入れるという細い作業でしたが、高校生の皆さんはじつに上手にやってくれました(ひょっとしたら大学生よりうまいかも‥)。

新聞記事をちょっと補足しますと、私たちがやっているのはホタルミミズのハプロタイプ(遺伝子型)の解析です。日本のホタルミミズには全国で複数の系統があることはわかっていましたが、一つの場所にも複数の系統が混在しているのかどうかはわかっていませんでした。しかし、今回の実験でなんと、たった1メートル四方くらいの場所にも複数のハプロタイプ型がいることがわかりました。詳細は「科学三昧inあいち」で報告します。

私たちは、ホタルミミズの発光現象に興味を持っていますが、もしホタルミミズと呼ばれている種が実は複数種からなっていて、それが1箇所にいくつもいるとしたら、それをまぜこぜにして研究しても意味がないのです。まずはそれをきちんと調べてみようというのが今回の研究の目的です。

ただの遺伝子実験の体験もいいんですが、せっかくならばどんな小さなことでもいいから新発見につながる実験を体験させてあげたいと私は思います。なぜならば、科学実験の面白さとは、作業そのもではなく、実験によって今まで誰も知らなかったことがわかるということなのですから。

2018.10.27. 中日こどもウィークリーにホタルミミズ!

中日新聞の「中日こどもウィークリー」10月27日号にホタルミミズが紹介されました!写真は、友人のプロ写真家の宮武健仁さんと、写真が超絶うまい勢戸研二さんです。

記事にちょっと補足しますと、ホタルミミズは冬のミミズで、11月から3月までくらいによく見つかります。校庭や公園のすみっこの土が露出しているところが狙い目です。探す時の最大のポイントは、ミミズのフンを見つけること。地表に細かい砂つぶの山があったらそれがホタルミミズのフンなので、その真下を掘ってみましょう。掘った土の中を丁寧に探すと、きっとホタルミミズが見つかります。

ヤコウチュウは小さいので、波打ち際が光っているところを金魚用の目の細かい網ですくって採ります。風船のように透明で丸くふくらんだ1ミリくらいの粒がヤコウチュウです。

 

2018.10.25. 恐竜は○○○○を見たか?

ホタルゲノムのプレスリリースでやりとりしていた中日新聞の知り合いの方から、「そういえば、『恐竜はホタルを見たか』のタイトルって『恐竜はメネシスを見たか』から来てるんですか?」と言われてハッとしました。

『恐竜はホタルを見たか』は、私が2016年に岩波科学ライブラリーから出した本です。いろいろ考えた中でフッと浮かんだタイトルだったんですが、そういえばそんなタイトルの本があること知っていたような気がしてきました。それで、当時、無意識にこのタイトルが頭に浮かんだのかもしれません。

さっそく『恐竜はメネシスを見たか』(1987年)を古書で買ってみました。どうやら、読んだことはなかったようです。でも、読んでみたらこれが、古いどころか凄く面白かった。

内容は、アルヴァレス父子が白亜紀最後の地層にイリジウムが大量に含まれていることから恐竜の絶滅が巨大隕石の衝突によるものであると提唱し、さらにこの本の著者・リチャードミュラーが、白亜紀末を含めた大絶滅が周期的に起こっていることの理由として未知の星(太陽の伴星)「メネシス」が2600万年ごとに太陽系に接近して巨大隕石を降らせているという説を提唱した、という研究プロセスのドラマです。

読んでみたら、これが実に面白かった。アルヴァレス父子のイリジウムの話は有名ですから結論だけは知ってましたが、そこに至るまでの長いドラマを全く知らなかった。しかし、その結論に至るまでにはスゴい天才たちが大勢関わって、知的な議論が繰り返されていたのです。次々に新しいアイデアが頭に浮かび、すぐに計算してみると可能性がないことがわかり、また仮説を立てて、また計算してみる。その勢いがものすごいのです。学会で仮説を聞いて、パッと手元で計算してみて、この仮説はだめだ、とか。同じ科学でありながら、もはや私には想像を完全に超えた世界です。

実は、「メネシス」はまだ発見されていません。しかし、その存在は2010年の時点でも「ない」「いや、ないとは言えない」という議論が続いているようです(下URL参照)。

恐竜がホタルを見たのは間違いないんですが(←ネタバレ)、メネシスを見たのかは未だに誰も分からないのです。

翻訳本は、なんと手塚治虫氏監訳別サイトにリンクしますhttps://www.amazon.co.jp/dp/4087730824/

2010年のメネシスの話題別サイトにリンクしますhttps://wired.jp/2010/07/15/「周期的な大量絶滅の原因、死の星ネメシス」説/

 

2018.10.21. 下村脩先生、逝去のニュース

発光生物の化学の巨人が19日に故郷の長崎で亡くなられました。私は、下村先生の弟子でもなんでもないけれども(ちなみに下村先生は、師匠とか弟子とかそういう関係を好まれなかったようです、研究者はみな対等という考え)、とても寂しい気持ちがします。

下村先生は、まだノーベル賞を受賞されるだいぶ前、2000年に私の先生(中村英士先生)が亡くなられたとき、追悼記念講演会にアメリカから来てくださいました。下村先生が日本で本を出された時(『光る生物の話』朝日選書/2014年)、私の著作『ホタルの光は、なぞだらけ』(くもん出版/2013年)を引用文献に入れてくださいました。ロシア科学アカデミーのヤンポルスキー博士らと発光キノコの発光物質と特定したとき(2015年)、ヤンポルスキー博士は下村先生から「私の長年の謎を解いてくれてありがとう」というメールを受け取ったそうです。2018年10月17日に私たちが発表した「ホタル全ゲノム解読」のニュースは見てくれたでしょうか。まあ、たとえ見てくださったとしても、あまり興味を持ってもらえなかったかもしれませんね。下村先生の信念は、発光生物の化学的理解ですから。

私と下村先生の関係はせいぜいこんなものですが、それでも私の携わる学問の最も大きな柱をなくした喪失感がぐるぐるとめまいのように駆け巡ります。

ところで、新聞各紙を見ると「オワンクラゲからGFPを発見してノーベル賞を受賞した人物」として紹介されているものがほとんどですが、下村先生の科学者としての真価は「生物発光の化学を生涯追求して、さまざまな発光生物の発光メカニズムの解明に多大な貢献をした科学者」として評価されるべきだと思います。

写真は、下村先生が名古屋大学に講演に来られた2007年のようす(ノーベル賞受賞以前)。著書にサインをいただいてご満悦の私。下村先生のサイン入り『Bioluminescence』は私の宝です。

参考:ノーベル賞受賞時に下村先生のことを書いた私のエッセイ「役にたつとは思っていなかった」(『化学と生物』掲載)別サイトにリンクしますhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/47/4/47_4_290/_article/-char/ja/

10月23日付けの中日新聞朝刊コラム「中日春秋」は、まさに我が意を得たり!一読の価値ありです。別サイトにリンクしますhttp://www.chunichi.co.jp/article/column/syunju/CK2018102302000106.html

 

2018.10.17. ホタル全ゲノム解読の論文がようやく出ました!新聞各紙

 長い道のりでした。ホタルゲノムで科研費に何回申請しても全く当たらず(←イヤミ)、基礎生物学研究所に共同研究として出資していただいたことで、やっと軌道に乗ってここまでたどり着きました。さらに途中からMITチームとの共同研究になり、いよいよビッグプロジェクトへと発展。論文は、10月16日付のオンライン科学誌eLifeに掲載されました(査読プロセスまで公開されるという気難しい気鋭雑誌です)。

 ともかく、今回のヘイケボタルゲノム解読が成功したのは、桐蔭学園高校の池谷治義先生のおかげ。池谷先生が30年近くも前から飼育維持されていたヘイケボタル近交系統(このたびIkeya-Y90と命名)がなければ、この研究は達成できませんでした。最近このヘイケボタルは、ホタルとしては世界唯一のモデル系統としてMITにも正式に譲渡され、現在その子孫たちがボストンですくすくと育っています。

 新聞記事の見出しに踊った「遺伝子コピーミス」という表現は面白いですね。さいしょ見たときは「ん?」と思ったけど、よく考えると間違ってない。今回の発見の要点「ルシフェラーゼ遺伝子の祖先であった脂肪酸CoA合成酵素遺伝子が遺伝子重複を繰り返し、その中のひとつがルシフェラーゼへと進化した」ことをうまく言い当てています。記者会見にも来ていた共同通信さんが考えたうまいキャッチです。ちなみに、共同通信のこの女性記者さんは、大学時代に分子系統解析もやっていたらしく、本当によくわかっていらっしゃる。

大学HP別サイトにリンクしますhttps://www3.chubu.ac.jp/research/news/24273/

 

2018.9.25. 記者会見してきました!

プレスリリースについて「記者会見」というものを初めて体験してきました。会場に入ると、マイクがずらっと並んでて、報道陣のフラッシュがバチバチ。

‥‥というのが私の記者会見のイメージだったんですが、全然そういう感じじゃなくて「あれ、コンセントどこだ?」とか言いながら自分でプロジェクターをセッティングしたりして、なんだか(よく言えば)長閑な雰囲気でした。まあ、ホタルの話ですからね。どうでもいいといえば、どうでもいい。

情報解禁までもう少し日にちがかかりますが、新聞紙面に登場するのをどうぞお楽しみに!でも、誰か日本人がノーベル賞を今年受賞してしまうと、タイミング的に我々の「大発見」の存在感が完全に薄れてしまうような。。。

 

2018.9.23. チェコのホタル童話Broučciの日本語訳をもう一冊発見!

プラハで見つけてきたホタルの童話Broučciの日本語訳がもう一冊存在しました。日本語タイトルは「ほたるの子 ミオ」。メルヘン社から1981年に出版されたものです。私がプラハの書店で手に入れたのと同じトゥルンカの美しい水彩イラストが入ったヴァージョンです。さっそく手に入れて、ようやくその内容を知ることができました。

内容はほぼ原作どおりですが、子供向けにだいぶ短縮されているので、展開が速すぎてかえって分かりにくかった(しかも、ショッキングな悲劇の結末は省略されていました)。自分で読むなら、先に紹介した「ほたるっこ」(ドン・ボスコ社/1996年)の方がいいかな。子供の読み聞かせ用にはいいかもしれないけど。

表紙の絵のとおり、ヨーロッパで見られるイラストでは、ホタルは必ず手に四角いランタンを掲げています。日本やアメリカでは見かけない表現ですね。

メルヘン社のHP別サイトにリンクしますhttp://www.meruhen.co.jp/01_ehon/01_c_mio.html

 

2018.9.3. チュラロンコン大学からトウ君がメンバーに加わりました!

タイ王国の名門校チュラロンコン大学から博士後期課程のトウ君が、博士学位の研究をまとめるために半年間、私の研究室に滞在することになりました。入国手続きから宿舎の手配と、ここまでいろいろ大変でしたが、研究熱心でまじめで明るいトウ君を見ていると、来てもらえたことに感謝したい気持ちになります。

さっそく、トウ君の研究テーマである発光ミミズを探しに東幡豆の海岸へ。私だったら絶対に探さないような場所で掘り始めてあっというまに発見!このミミズのハビタットに関する知識に私は強い自信があったんですが、あっさり負けました。。。

 

2018.8.18. 『なりきり!むーにゃん生きもの学園』見ましたか?

面白いのでいつも子供とよく見ているEテレのテレビ番組『なりきり!むーちゃん生きもの学園』。今日は「光の妖精 ホタルになりきり!」で、私は内容の監修と写真の提供をしました。

15分の短い番組ですが、あきる野市までちゃんとヘイケボタルのロケに行っているし、蛹の発光のことや雌雄の発光パターンの違いなど詳しい説明もあって、なかなか濃い中身でした。ちなみに、ホタルの卵と幼虫と蛹の発光している写真は、私が提供しました。

 

再放送は、8月23日(木)午後3時45分からです。見逃した発光生物ファンの皆さんは是非見てください!

番組再放送の案内別サイトにリンクしますhttp://www4.nhk.or.jp/munyan/2/

 

2018.8.8 『世界の何だコレミステリー』見ましたか?

発光マニアには鉄板な発光生物しか紹介されてなかったですねー。もっとマニアックなネタもたくさん撮影したんですが、ちょっと残念。まあ、それだけ発光生物が世の中にあまり知られないってことなんでしょうね。このホームページでは、さらにディープな発光生物ネタを提供しています!

自慢の発光カタツムリの映像が「なんか微妙‥」と言われたのはショックでした(笑)。やっぱり辺り一面ワーっと光ってないと感動してもらえないのかなぁ。一見ふつうのカタツムリが光るってスゴいびっくりだと思うんですが。。こういうパっと見光らなそうなのに光る生物(タカクワカグヤヤスデとかヒラタヒゲジムカデとかイソミミズとか)が、私は好きです。テレビではまず使ってもらえないですけどね。

ともかく、人気テレビ番組の影響は絶大ですね。子供の保育園の先生がたが皆さん見ていたようで「すごいですねー」と大変ほめていただきました。「平日からネクタイもしてないし、この人ちゃんと仕事してんのかなぁ」と思われてたのが、これでようやくちゃんと仕事をしている人だと認めてもらえたに違いありません。

次は、Eテレ「なりきり!むーにゃん生きもの学園」(8月18日(土)朝7時15分から)です。ホタルの特集で、内容を監修しました。私は出演しませんが、こちらもぜひ見てくださいね。

ヌートリアの話題では、五箇公一さんが出てましたね。五箇さんに名古屋で会った時「やーどうも、馬場さん!」と言われたのを思い出した。馬場ではなく大場です。

 

2018.8.4. 知多市立中央図書館で講演してきました!

「不思議な光る生きものの世界ー見てみよう、探してみよう」のタイトルで講演してきました。対象は小学生とその保護者の方々。実は、講演開始の15分前に、用意していたパワーポイントがクラッシュ!直前に思いついて、重たい動画を貼り付けようとしたのが失敗でした。とりえあず、先日の千種図書館用に作ったパワーポイントに大急ぎで手直しをして、なんとか時間通りにスタート。無事うまくいきました。我ながら、私の講演もだんだん芸の域に入ってきたかな?

今回は知多での講演ということで、知多出身の童話作家である新美南吉について下調べをしていきました。全集を丁寧にめくってみると、南吉の作品(とくに俳句)にはホタルが結構多く出てくることがわかります。知多半島には川が少ないので、ゲンジボタルはおそらくいませんが、愛知用水のおかげで田んぼや沼が多いので、ヘイケボタルは今も昔も多かったようです。南吉も、半田にいた頃にはときどきこのヘイケボタルを見ていたのかもしれません。また、幼い頃から病弱がちで結核により29歳の若さで亡くなっている南吉は、自分が短命であることを悟り、儚いホタルに我が身を重ねていたのかもしれませんね。

一つ葉の露吸ひ螢の別れかな (昭和12年ころの作。南吉は、この前年に2度目の喀血に倒れ帰郷している)

知多の情報や当日のもろもろでは、研究員の平田秀彦さんにお世話になりました。ありがとうございました。

 

2018.8.3. フジテレビ「世界の何だコレ!?ミステリー」の放送は8月8日です!

次回のフジテレビの人気番組『世界の何だコレ!?ミステリー』(8月8日(水)午後7時から)に、発光生物の研究者として「密着取材」で登場します!

VTRゲストは、つるの剛士さん。わざわざ中部大学まで来ていただき、トークしました。いろんなことを知っているし、頭の回転も早くて、話していて楽しい方でした。セミの話に脱線して盛り上がったシーンは放映されるかな?

ぜひ見てください!

番組HP別サイトにリンクしますhttp://www.fujitv.co.jp/sekainonandakore/index.html

 

2018.7.31. 千種区図書館!

やっと体調が回復してきました。そんな中、今日は千種区図書館での講演会。私が名古屋に移り住んで以来ずっと住んでいる愛着ある千種区の図書館で講演させていただくのは、格別の気分です。とか言いながら、あやうく遅刻しそうに!ほんとに近所なので、つい気が緩んでしまいました。。

私の講演はいつもの調子で、子供たちが飽きないようにこまかくジョークを挟んだりしてやるわけですが、今回驚いたのは、公演後に子供たちから質問がとめどなく出てきたこと。質問できるというのは、すごいことですよね。さすが、文教地区のキッズたちです。

写真は、プラハで買ったホタル絵本をさっそく自慢しているところ。

 

2018.7.24. なんかへん?

なんだか体調が変です。高熱が続くので、病院に行ったら「疲労です、とにかくよく寝てくださいよ」と言われました。寝てると仕事がたまっていくだけなんですが、健康には代えられません。

寝転がりながらちょうど届いた「Fireflies in the Night」(初版は1963年)というアメリカの子供向けの絵本を見てました。そうしたら、こんな記述が!

日本では、ホタルの提灯がお庭を照らします。まあ素敵!」(In Japan, the gerdens are lighted at night by firefly lanterns. That must be nice!)

なんか変だなぁ。知らないぞ、そんな日本の庭園。

*ただし、ホタルの発光器のことを”lantern”ともいうので、単に「日本の庭園にホタルが飛び交っていて、まあ素敵」という意味だとしたらまんざら間違いじゃないですが、このイラストですからねー。やっぱり変ですよね。

 

2018.7.22. 昆虫DNA研究会に参加してきました!

私が代表幹事を務めている「昆虫DNA研究会」の第15回目が伊丹市で行われたので参加してきました。代表幹事であるということもありますが、この会にはこれまですべて皆出席している愛着ある会です。

基本的には、昆虫の採集と遺伝子解析により、その昆虫の種同士の関係や集団の関係を論じるような研究発表が多いです。そのほか、進化発生学的な研究もありますが、ポイントは「自分の好きな昆虫を、趣味的な視点で、遺伝子解析技術を使って研究する」という点です。

昆虫愛好家は、対象への愛着が強いほど、こうあってほしい(たとえば、私が見つけたこの個体群は見た目がこんなに違うんだから別種扱いにされるべきだ、とか)という思いが前面に出てしまうものですが、遺伝子解析はそんな思い入れには無頓着に結果を出してきます。我々はその結果を受け入れて、科学的な説明をしなくてはいけない。だから、どの発表にも対象への熱い思い入れと解析結果の冷静な判断が垣間見えて、聞いていていとても面白いんです。私にとって、こんなに面白く聞ける研究会は本当にここしかありません。

次回(来年)の昆虫DNA研究会は、なんと中部大学で引き受けてきてしまいました!準備のことを思うと今から心配ですが、今回の伊丹大会に負けないくらい良い会にしたいと思います。

懇親会の様子。昆虫を趣味とし、研究では日本の分子生物学の最先端を走った重鎮の方々の顔がちらほら。これがこの会のすごいところです。

 

2018.7.20. 勢水丸に乗船してきました!

学生さんたちと三重大学の勢水丸に乗った松坂湾の航海実習に参加してきました!

「発光生物の8割以上は海にいる。だから海の中は闇の世界ではなく光の世界だ!」と言い続けている私ですが、実は船が大の苦手。広島大学の豊潮丸に乗った時は、沖に出る前からもうゲロゲロで、夕飯の鶏モモ肉を見てトイレに駆け込みました。MBARIのウェスタンフライヤー号に乗った時は「こんなに海が凪いでいるのは珍しい」とまで言われた静かな航海だったのに、ひとりだけ気持ちが悪くて、英語がぜんぜん聞き取れません。そういえば、修士課程のときに中村先生に連れられてオキアミ漁船に乗ったときも、まったく役立たずで、ただ迷惑をかけただけでした。

しかも困ったことに、船酔いすると著しく知的好奇心が失われるというか、自分でも「おまえの科学に対する熱意はこの程度だったか」と思ってしまうほど、なにもかもやる気がなくなり、不愉快な顔をしてただ寝転がっているという状態になります。

そして今回!2泊3日で伊勢湾内をちょっと廻ってきただけで、ほとんど停泊してましたが。。かろうじて大丈夫でした。これは、船が苦手という意識というか思い込みをひっくり返えす強い自信につながりました!でも、頭痛はします。ちなみに学生たちに「頭痛する?」と聞いてみたらみな「ぜんぜん」と言ってました。

ところで、今回の発光生物の収穫は‥‥ベントスネットでウミサボテンの一種(アカウミサボテン?)の小さいのが2個体採れました。発光も確認できて、とりあえず満足。そもそも、野外調査ではそう多くを期待してはいけません。

 頭痛の中、頑張って撮影したウミサボテンの発光。大きさは3センチくらいです。

 

2018.7.16. ミシェル・アンクティル『LUMINOUS CREATURES』が届きました!

生理学者Michel Anctil博士が書いた発光生物学の歴史に関する著作『LUMINOUS CREATURES: The History and Science of Light Production in Living Organisms』(2018年/McGill-Queen's University Press)が届きました。発光生物学の歴史をまとめた本としてはハーヴェイの『A Histroy of Luminescence』(1957年)以来であり、しかもハーヴェイの本は1900年までの歴史しか扱っていませんから、今回の本は重要です。

実は、私もこの本の原稿段階で目を通していたのですが、八丈島のマイヤーロホ先生は原稿にかなり多くのコメントをつけて著者に返しています。まあ、私のコメントは大した量じゃなかったのでいいんですが、マイヤーロホ先生の名前は少なくとも謝辞に入れて欲しかったなぁ(ただし、カヴァー裏にマイヤーロホ先生の推薦文が出ています!)。

内容は、ちょっと偏ってる部分もあるなぁというのが正直な感想ですが、私の知らないようなこともたくさん書いてあったので、総体としては素晴らしく価値のある本だと思います。羽根田弥太先生の来歴がかなり詳しく書いてあったのも、ポイントが高い。

噂に聞く「バック vs ロイド」の激しいバトルのことや、発光ヤスデの研究で有名なダヴェンポートが「短気で偉ぶった人物」だったとか、「羽根田は英語が得意じゃなかったから、日系のツジと組んだんだ」とか、本当?と思ってしまうような裏話も赤裸々に書かれていて面白い。

ちなみに、私の業績は、原著論文が1報(Oba et al., 2009 BBRC)と総説が1報(Oba and Scultz, 2014)引用されていました。ああこれが私の主な業績なんだなぁと、客観的に思った次第です。発光キノコのルシフェリンを決定した論文(Purtov et al., 2015)も引用されていました。ともかく、発光生物学の歴史書に僅かながら自分の足跡を残せたことは幸いでした。

マイヤーロホ先生には「いい本だから、ユウイチが翻訳して日本で出したらどう?」と言われましたが、ちょっとマニアックで一般受けするかなぁという感じです。もっとも、日本に羽根田弥太という「日本の発光生物学の父」がいたこと、そのほか渡瀬庄三郎や神田左京など世界に認められた研究者が日本にもいたこと等を日本の人たちにも知ってもらう、という意味では翻訳出版もありなのかも。

アマゾンでも買えます別サイトにリンクしますhttps://www.amazon.co.jp/dp/0773553126/

 

2018.7.15. チェコの童話Broučciの日本語訳を読みました!

チェコの書店で何冊も見つけた絵本「Broučci」(発音はたぶん「ブロウッツチ」に近い、意味はBeetle)。どうしても内容が知りたかったので調べてみたら、訳本が存在しました!そのタイトルは「ほたるっこ」。1996年初版で、すでに絶版です。

なお、チェコにはLampyris noctiluca, Lamprohiza splendidula, Phosphaenus hemipterusの3種のホタルが知られていますが、この本の主人公はヨーロッパで最も一般的なL. noctilucaではなく、L. splendidulaだと思われます。なぜならば物語のなかでオス成虫がよく飛翔しながら発光しているからです(L. noctilucaのオスは飛翔するがほとんど光らない、P. hemipterusのオスは翅が退縮して飛べない上に発光しない)。

この物語。成虫が越冬したり、取れた後翅が再生したりと、生物学的には正しくない記述も多いですが、そこは130年前のしかも絵本ですから仕方がありません(注:ただし、アメリカ産Ellychinia corruscaの北部集団は成虫越冬することが知られています)。しかし、ホタルは「人びとのために照らしているのです」ーーなぜ照らすのか?「それは神様がそうお望みだからです」ーーというプロテスタント的世界観が色濃い点は気になりました。

でも、このお話が作られたのは130年前です。なすすべもなく訪れる多くの不幸に対し、人びとは「すべては神のみこころ」と信じずに自分の心を支えていられたでしょうか。あらゆる生き物が人びとのために生きているという「間違った」見方でさえ、人びとが神の慈悲深さを信じる仕掛けだと考えれば、仕方がない気がするのです。

この「ほたるっこ」の家族にも、さいごはあっけなくも悲しい出来事が訪れますが、それも神の思し召しなのです。現代に不自由なく生きる我々は、これを「非生物学的だ」と笑うことができるでしょうか。また、東洋の自然観の方がキリスト教的自然観よりも優れていると言い切ることができるでしょうか。そんなことを考えさせられたお話でした。

チェコの人々にとって、この宗教的物語のシンボルとしてホタルが使われ、ずっと語り継がれている点に興味が湧きました。

左はプラハで買ってきたBroučciのパペットアニメーション(1995年)。右がBroučciの訳本。

 

2018.7.14. Eテレ地球ドラマチック「発光生物 神秘の世界」見ましたか?

BBC作成の番組。やはり、日本語で見れるのは安心できていいですね。とにかく映像が素晴らしいので、うちの小さなテレビではなく大画面で見たらもっと素晴らしかったと思います。

内容は、超盛り沢山。失礼ながらこれが日本だったら、これだけのネタがあったら数本の番組を作るでしょう。

私が番組側と何度も議論を重ねて翻訳を検討した箇所もたくさんあります(話を混乱させないために、オリジナルのナレーションと内容を変えた箇所もあります)。よりわかりやすく正しい情報が視聴者に伝わっていれば幸いです(ちなみに、エンドロールでは、「翻訳監修」ではなく「発光生物学監修」になってました!)。

フランス人生物学者のMarcel Kokenさんをどうカタカナで表記するべきなのか(つまりコーケンなのかコークンなのか)については、フランスの学会の時にご本人に聞いて「コークン」であることを確認しました。

再放送は、7/23(月)00:00-00:45(22日の深夜)です!見逃した方はぜひこちらを!!

生物発光の映像としては史上最高のクオリティーであることを私が保証します。

中部大HP別サイトにリンクしますhttps://www.chubu.ac.jp/news/detail-3606.html

Eテレ再放送情報別サイトにリンクしますhttp://www4.nhk.or.jp/dramatic/#schedule-reonair

 

2018.7.11.  プラハから帰ってきました!

はじめてのプラハ。2泊4日の強行スケジュールでしたが、大いに充実したとても素晴らしい旅でした。しかし、充実の理由は、チェコ名物のピルスナー・ウルケルが美味しかったからだけではありません。

チェコといえば絵本ですよね。そこで、私も書店巡りをしてきましたが、いやあ、ありましたよ、ホタルの絵本が。(ジャジャーン)見てください。右から2冊目は、トゥルンカが描いた世界的にも有名な絵本らしいですが、個人的には左から2冊目がお気に入り。

もちろん、FEBS Congressという大きな学会で招待講演をしたことも、今回の旅行が満足できた理由の一つです。実際は、思っていたほど会場の反響が大きくなかったんですが、私のその不満を知ってか知らずか、一緒にセッション座長をやったヤンポルスキーがこんなことを。。。

「この学会は、ヨーロッパで最も大きな生化学の学会だけど、生物発光がまだあまり知名度を得ていない。だから、今回はそれを変える第一歩だ。これからもっと我々の研究をここでアピールしていかないといけない」

うーん、深いお言葉。ごもっともです。ウケのよい小さな学会で喋って満足していた私が間違ってました。また、そんな大事な第一歩の舞台で私を使ってくれたヤンポルスキーにも感謝です。

写真にはありませんが、チェコの国民的人気者クルテク(もぐらくん)の絵本でも、ホタルが登場するものを発見。当然ながら即買いです。クルテクは個人的にかなり好きです。挿絵の雰囲気が素晴らしい。ホタルとは関係ない絵本とDVDも買ってきてしまいました。

 

2018.7.5. 翻訳監修した『ホタルの不思議な世界』が手元に届きました!

自分が携わった本を実際に手にするときの嬉しさは格別です。出来上がりのイメージは校正段階でかなり分かっているつもりですが、やはり、その重量感や手触りなどは手にしてみないと分からないものです。

今回は、表紙に蓄光インキが使われているので、手にしたときの感激は特別でした。さっそく暗室に持ち込んで見ると、なんと、ホタルの部分だけではなく題字も緑色に光っているではありませんか!

実はこの本、原書で買うより翻訳本の方が安いんです!オススメです。

暗室で撮影した『ホタルの不思議な世界』の表紙です

AMAZONから購入できます別サイトにリンクしますhttps://www.amazon.co.jp/dp/4767825032/

 

2018.7.3. 大府東高校で実験をしてきました!

ホタルミミズのハプロタイプをRFLPで解析するという実験を、高校で実施してきました。今日は、その前半のDNA抽出。ここまで本格的な分子生物学実験を高校で実施するのは初めてなので、私も緊張しました。

実験材料に使ったホタルミミズは、今年の春に同高校の敷地内で生徒さんたちに集めてもらったものなので、その採集情報がはっきりわかっているサンプルです。だから、単なる体験学習ではなく、ちゃんと科学的研究に結びついているのが今回の実験のポイントといえます。

ホタルミミズはどこの高校の敷地内にもだいたいいるし、これまでの調査で日本には5つのハプロタイプしか見つからないことはほぼ確かなので、シーケンサーを使わずともRFLPで簡単に多型が調べられるところがこの実験のウリ。うまくできたら、他の高校などでも実験プログラムとして使ってもらえそうな気がします。

 

2018.7.2. サラ・ルイス『ホタルの不思議な世界』いよいよ!

今やホタル研究の世界的第一人者Sara Lewisの著書『Silent Sparks』(2016年/プリンストン大学出版)の日本語版が遂に出ます!今回、私は翻訳監修を担当させていただきました。とても素晴らしい本だと思って以前から注目していたので、その日本語版の出版に携われて光栄です。

著者のサラも「ホタルが深く愛されている日本でこの本が出ることには特別の意味があるわ。ユウイチよろしくね」と言ってたので、監修作業もとりわけ頑張りましたよ!

性選択という進化的な側面を中心にあらゆるホタル学を紹介した素晴らしい内容。ただし、サラの専門が進化生態学であるため、発光の化学や遺伝子に就て説明している部分はちょっと曖昧でしたが、翻訳監修ではそこのところをキッチリ強化しています。

ただし、日本ほどホタルが愛されている国もないでしょうし、ホタルの学術的な研究も日本はなかなか頑張っているのに、このレベルのホタル学の一般書がこれまでなく、翻訳本が先に出てしまったことは少々残念ではあります。

ともかく、良い本ができたことには自信があります(巻末の「北米ホタルの見分け方ガイド」だけは、日本に住む我々にどう関係するのかやや疑問が残りますが)。ちなみに、表紙のホタルの発光写真には蓄光インクが使われていて、光を当てておくと発光するという原書にはないギミックもありますよ。それから、買った人にだけわかるお楽しみもページの片隅に。。。

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2018.6.29. 蛍狩りの五寸皿

印判ですから全く同じデザイン。でも、サイズが違います。左は四寸皿で、5年前に骨董祭で見つけたもの。右は、今回入手した五寸皿です。蛍狩りの図皿はとても珍しいので、迷わず入手してしまいましたが、今回のは、吹き墨で付けた月の図案がいかにも取って付けた感じが満載で、デザイン的はいまいちですね(左側の存在を知らなかったら、そうは思わなかったのかもしれませんが)。

おそらくどちらも大正期のもの。裏側には、中国で富貴の吉祥文様(縁起がいい図柄)とされる蝙蝠が描かれています。

またコレクションが増えてしまいました。

 

2018.6.28. 英BBC作成の発光生物フィルム「Life That Glows」の日本語版が放送されます!

2016年に英BBCが作成したディビッド・アッテンボローの人気いきものシリーズ『Life That Glows』の日本語版が、7月14日と7月22日、いよいよEテレ「地球ドラマチック」で放送されます!世界の発光生物を紹介した番組で、私は日本語訳の監修を担当しました。結構まじめにチェックしたので、自信あります。是非見てください。すごいですよ。

何度も言いますが、このフィルムはスゴいです。私もこれまで様々な発光生物を撮影した映像をたくさん見てきましたが、これを超えるものはありません!と言い切れるくらいスゴいです。こんな見たこともないような素晴らしい映像シーンが始めから終わりまで次々に出てくるのですから、発光生物ファンにはたまりません。私も以前から周囲に「コレはすごいよ」と言い回っていたほどスゴんですが、その翻訳監修のお仕事が私に舞い込むとは思ってもいませんでした。実に光栄なことです。

放送はNHK Eテレ 7/14(土)19:00-19:457/23(月)00:00-00:45(22日の深夜)の2回です!

Eテレ番組HP別サイトにリンクしますhttp://www4.nhk.or.jp/dramatic/x/2018-07-14/31/15515/2340522/

 

2018.6.27. ホタル焼きのホタル猪口

ホタルが描かれた素敵な猪口を手に入れました。おそらく昭和初期のものでしょうか。面白いのは、発光器の部分が薄くなっている、いわゆる「ホタル焼き」になっていること。ホタル焼きの皿や猪口はよくありますが、本当にホタルがデザインされているホタル焼きはほとんど見たことがありません。

写真には見えていませんが、反対側に赤い字で「南郷 宮宗」と書かれています。滋賀の骨董店から入手したものなので、琵琶湖南端の瀬田川ぞいにある南郷のことで間違いないでしょう。おそらく当時の南郷はホタルの名所として知られ、季節になると地元の飲み屋がホタル舟を出していたと思われます。

そのチープな造りは、ホタル鑑賞が庶民の気楽な楽しみだった当時を偲ばせます。安酒を熱燗にして使ってみたい。

ホタルの描かれた浮世絵や染付の磁器など、私は、当時の人々がホタルをどう見ていたかという「文化的背景」が偲ばれる量産品に魅力を感じます。逆に、一点モノの肉筆画や茶碗、蒔絵箱などに対しては、たとえホタルがそこに描かれていても、あまり魅力的には思いません。一点モノとは個人の嗜好で作られた特注品であり、大衆のホタルに対する捉え方がそこから透けて見えてこないからです。

ところで左側の写真に、屋号でしょうか、青い字で文字が3つ書かれています。「○み舟」と読めますが、「○」のところがわかりません。涼み舟?くずし字の読める方、答えを教えてください!

その後、お茶を習われていた高校の先生からくずし字の答えを教えていただきました。答えは「河」。ですから「河み舟」ということになりますね。河に小舟を浮かべて、その中で客にホタルを見せながらこのお猪口でお酒を出していたのでしょう。

 

2018.6.20. ホタルルシフェリン生合成に関する論文がBioorg. Chem.に受理されました!

ホタルルシフェリンがどのように生合成されているのかは、発光生物学の中でもとくに重要な謎です。私たちはこれまでこの問題に対して重要な2つの論文を出してきましたが(Oba et al., 2013 PLoS ONE; Kanie et al., 2016 Sci. Rept.)、今回、シスチニルハイドロキノン(CysHQ)が生合成を解き明かす重要な中間体であることを明らかにすることができました。さらに、ホタルルシフェリンの生合成が成虫ではなくむしろ蛹の段階で行われていることを明確にしました。主著者は、今年の春に学位を取った蟹江くんです。

 おそらく世界の少なからぬ研究室がホタルルシフェリン生合成の全貌解明を目指して研究を進めていると思われます。誰がその全貌を解明するのかは分かりませんが、その基本となる重要な3論文を私たちのグループから報告できたことは大きな喜びです。

久々のケミストリー系雑誌です。査読の返事が来るのに1ヶ月かかりましたが、リバイズから受理までは1日(!)でした。

Unedited PDF別サイトにリンクしますhttps://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S004520681830484X

 

2018.6.19. 「昆虫たちの不思議な性の世界」の本が届きました!

新刊の現物が届きました!この本の「あとがき」にも書きましたが、こうやって並べてみると、本当に前作「遺伝子から解き明かす昆虫の不思議な世界」(悠書館/2015年)の弟のような本です。

ただし、前作の執筆者は11人、一方、今回はたった4人です。わたしたち4人で、よくここまで「昆虫の性」すべてをカバーできたものだと自画自賛したくなります。性決定のメカニズムから不思議な性にまつわる形態や行動まで、あらゆることを学べる、類書のない素晴らしい本だと思います(もちろん、発光生物のこともしっかりたくさん書いています)。ぜひ、地元書店やネット書店で手に入れて読んでいただければ嬉しいです。

ちなみに、本のオビの裏には私が書いた「あとがき」の抜粋が引用されています。この本で私が伝えたかった事は、まさにこれ!

「私たち執筆者はみな、子供の頃から昆虫が大好きでした。しかし、昆虫の何がそんなに魅力的だったんだっけ? 立派なツノのかっこよさ、色とりどりの模様、いつまでも見飽きない不思議な行動、大事に飼うと増えていくのも楽しかった。……そうか、昆虫の楽しさに共通するキーワードは昆虫の〈性〉の多様性だった!」(「あとがき」より)

AMAZONでも買えるようになりました!別サイトにリンクしますhttps://www.amazon.co.jp/dp/4909383034/

 

2018.6.13. ベネッセの『チャレンジ』に光る生き物が登場です!

学習教材のベネッセコーポレーションの進研ゼミ小学講座『チャレンジ2年生』の「はてな?はっけん!ブック」は、発光生物の特集です。内容は、私が監修しましたが、とても面白いものができたと思います。私が3月にフィジーで撮影してきた発光カタツムリの写真も本邦初公開です!

キチンと証明されていない事柄については、「ーといわれているよ」「ーかもしれないね」「ーと考えられているよ」と慎重に書かれている点には好感が持てます(僕が指示したわけではありません)。一般書は(子供向けのものは特に)つい何でもシンプルに言い切ってしまうケースが多いんですが、ベネッセさんはそのへんがしっかりしてらっしゃいます。その生き物がなぜ光っているかなんて、そう簡単に言い切れるほど証明されていないんです。

 

2018.6.11. 新刊情報!「昆虫の性」に関する編著書が出ます!

私が事務局・代表幹事を務めている「昆虫DNA研究会」の中から筆の立つ第一線の若手研究者を集めて作りました!

昆虫の不思議さ・すごさ・面白さって、突き詰めると「進化」の問題か「性」の問題に行き着きます。そこで「進化」に注目して作ったのが前作「遺伝子から解き明かす昆虫の不思議な世界」(大場裕一・大澤省三・昆虫DNA研究会[編]/悠書館/2015年)でしたが、この本が好評だったので、次は「性」ということで。

カマキリのオスが交尾中にメスに食べられてしまう話、昆虫たちの交尾姿勢の話など、昆虫の性の多様さは、これまでもいろいろな本やテレビでも紹介されています。しかし、その多くは興味本位に面白おかしく取り上げたものがほとんど。でも、本当の昆虫の面白さを語るのに、わたしたちは悪ふざけは不要と考えました。一歩先の知識を求める知的読者のために、マジメに昆虫の性を語ったのがこの本です(ちょっとマジメすぎたかもしれないくらい)。

ちなみに私は、ホタルの発光、コオロギの歌声、ガのフェロモンなど、昆虫が異性を呼ぶ「遠隔コミュニケーション」に関する章を担当しています。優雅に見えるこれらの昆虫たちの行動も、性選択の立場から昆虫たちの身になって考えてみると、過酷な生存競争のなかでのギリギリの戦略であることが見えてきます。

6月25日、いよいよ発売です!!

表紙のデザインは、一色出版の岩井さん。真ん中にいるのはオバボタル!成虫になると光らない日陰者のこのホタルが、書籍の表紙のセンターデビューする日が来るとは、オバボタルファンの私としては感無量です!

一色出版HPの宣伝ページ別サイトにリンクしますhttp://www.isshikipub.co.jp/sample-page/science/genes_insectsex/

 

2018.6.3. 国際生物発光化学発光シンポジウムから戻ってきました!

2年に一度開かれている国際生物発光化学発光シンポジウム(ISBC)に行ってきました。今年の開催地は、フランスのナント。

今回は、私たちを含む国際共同チームによる、ホタルゲノム解読の全貌初公開、発光キノコの発光関連遺伝子クラスターの初公開、発光ゴカイ(オドントシリス)のルシフェリンとルシフェラーゼ遺伝子に関する研究の初公開という、3つの大きな発表がありました。聴衆を騒然とさせるほど学界にかなり大きなインパクトを与えられたものと我ながら自負しています。

これらの偉業に主体的に関わった共同研究者たち、イリア・ヤンポルスキー(ロシア)、カシウス・ステヴァニ(ブラジル)、ダリン・シュルツ(アメリカ)、別所学(日本、アメリカ)、ティム・ファーロン(アメリカ)、アレックス・コトロバイ(ロシア)らと再会できたのも嬉しかった。お互い「やったぜ!イエーイ」とは口では言わないけれど、固い握手をして長い努力の結果がようやく実ったことを喜び合いました。

その他の発表で個人的に最もインパクトがあったのは、ジェローム・マレフェ(ベルギー)らによるウミグモの発光の再確認。オオウミグモの発光は大昔の文献で知られていたことですが、その後まったく報告がなかったので誤報だろうと思ってました。しかし、今回オオウミグモの発光の動かぬ証拠である写真が公開され、またマレフェからも直接その発光のようすを聞いて、これが本当だったのだと確信しました。私は鋏角類(クモ、ダニ、カブトガニ、サソリなどのなかま)には発光種が一つもいないと思っていましたが、それは間違いだったわけです。「それって昔から分かっていたことでしょ」という人もいるかもしれませんが、本当かどうかを確かめるのはとても重要なことです。

 

2018.5.27. オドントシリスのルシフェラーゼ論文が出ました!

発光ゴカイOdontosyllis undecimdonta(和名はクロエリシリス)のルシフェラーゼの論文が国際学術速報誌BBRC(Biochemical and Biophysical Research Communications)に掲載されました!

原稿の受け取り(received)が5月14日で、受理(accepted)が5月18日ですから、その間わずか4日間(オンライン公開は5月26日)。しかも、査読者からの修正の指摘は全くなし!唯一、エディターから「サプルメントの図も大事だから本文の図に入れてください」という指示があっただけ。これって、普通ありえないことです(少なくともこんな経験は私は初めて!)。

別にエディターがお友達とかそんなこともないですし(著者の誰とも関係のない人でした)、いくら速報誌とはいえ、早すぎますよね。おかげで、明日からフランスで行われる国際生物発光化学発光シンポジウム(ISBC)に間に合いました!

富山までなんども通って採りに行ったかいがありました。お世話になった魚津水族館の皆さまに感謝いたします。

BBRCの記事別サイトにリンクしますhttps://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006291X1831204X

 

2018.5.25. オドントシリスのルシフェラーゼ遺伝子論文が公開になりました!

10月はじめのわずかな時期の、日没1時間後のたった30分間だけ出現する不思議な富山湾産発光ゴカイOdontosyllis undecimdonta。このルシフェラーゼ遺伝子が遂に決定され、その論文がバイオ系プレプリントbioRxivに登場しました!

日本とアメリカとロシアの共同研究です。主著者は、以前私のラボに来ていて現在はMBARIのハドック(Steve Haddock)研にいるシュルツ(Darrin Schultz)くんと、モスクワのアレクセイ(Alexey Kotlobay)さん。二人とも優秀な若手発光生物研究者です。論文はすでに国際学術雑誌にアクセプトになっています。

ちなみに、論文の最後にこんなことが書いてあります。「遂に長年の謎が解けました。でも、ルシフェリンに細胞透過性がないので、たぶんこの遺伝子はあまり何の役にも立たないでしょう」。(ビバ!基礎研究!)

時差がものすごいこの3カ国共同の研究は、私が明け方4時頃に仕事をする習性に助けられました。この時刻だと、モスクワもカリフォルニアも普通の人は起きている時間なので、リアルタイムでメールや原稿修正のやりとりができました。スムースな国際共同研究は、夜明け前に起き出してやるのが勝負のようです。うーん、今日も眠い。

bioRxiv別サイトにリンクしますhttps://www.biorxiv.org/content/early/2018/05/24/329631

 

2018.4.25. FEBS Congressで招待講演します!

生化学の分野では権威あるFEBS(Federation of European Biochemical Societies)の国際学会で7月に招待講演をします!学会場はプラハ(チェコ)です。チェコは、シブい昆虫分類の論文がコンスタントに出てくる不思議の国。一度は行ってみたかったので嬉しいです。

The FEBS Congress 2018別サイトにリンクしますhttps://2018.febscongress.org

 

2018.4.19. 写真家の宮武健仁さんが訪問されました!

発光生物や火山の写真を得意とするプロ・フォトグラファーの宮武健仁さんが、研究室を訪問されました。宮武さんとは、宮武さんがナショジオ写真展グランプリを受賞してすっかり有名人になる前からの知り合い。一緒に発光生物の写真集を出させていただいたり、私の関わるテレビや雑誌関係でもたびたび写真と動画を協力していただいています。すごいフォトグラファーなんだけど、その気さくな性格のおかげで、つい私もリラックスして長話してしまいます。

発光生物の写真はまさに発光している瞬間を撮るわけですから、いい写真を撮るためにはカメラ技術だけではなく、その生物がどの場所のどの時期に出現し、どのタイミングで光るのかを知り尽くすことが必要です。宮武さんは、私なんかよりも圧倒的な時間を野外観察に費やしていますから、そこで宮武さんが見たこと気付いたことのひとつひとつは、学術的にも重要なヒントが盛り込まれた宝の山です。

宮武健仁さんのHP別サイトにリンクしますhttp://miyatake-p.com

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