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11月のメッセージを公開します。

【2016年11月27日】

部活引退

 皆さん、こんにちは。今日は雨でした。雨の強弱もあり、雨音が時折気になる一日でした。あと3日で師走だと思うと、残る2016年の一ヵ月を有意義に過ごしたいと新たな気持ちになりました。

 さて、先日コモンズセンターで学生A君から声をかけてもらいました。A君は4年生で、話の内容は“部活を引退”したとの事でした。
 実は、オープンした頃、A君から部活の事で相談を受けました。その時の事を明確に覚えています。A君は3年の春(はじめての面談時)、将来の進路に対して不安だった様です。就職試験の勉強が思った様に進む事が考えられず、不安と焦りから考えた結果が“部活をやめて勉強に専念する”という事を考えた様です。しかし、A君は部活で行っているスポーツを小学生から続けて来て、今でもこのスポーツが大好きなんだと言っていました。ちなみに、このエピソードはA君に許可を得て掲載しています。

 「〇〇に集中したいから△△を辞める」。ひとつの目標を定めたときに、そういうことを言う人は少なくありません。余計な時間が減れば、やりたいことがもっとできる、と考えるのでしょう。しかし、本当にやりますか?前出のA君とは、”部活は本当に勉強の妨げになっているのか?”と話し合いました。その中で、“やりたい”と“やりたくない”という感覚が共存している事が分かりました。「やりたいこと(部活)」をすると、「やらなきゃいけないこと(就活対策・勉強)」にどんな影響をもたらすのかを考えました。A君は「部活で疲れてしまい、勉強ができない」と感じている事もわかりました。また、コモンズセンターで私に相談する前、指導教授の先生と面談をして来たとのことでした。その際、「勉強ができないなら、部活なんて辞めたらどうだ」と言われたそうです。この話を聞いて、私は指導教授の立場では、部活動を言い訳に勉強をしない指導学生を見て、この様な考え方もあるぞと言ったと推測しました。

 しかし、部活が本当に勉強の妨げになっているのか?疑問に思いました。ベネッセ教育総合研究所が2009年に行った「第2回 子ども生活実態基本調査」に、興味深いデータがあります。調査の対象が高校生なので、参考程度ですが、高校1・2年生に「部活動への参加状況と平日の家庭学習時間」を調査したところ、「部活動に参加している」生徒は、「部活動に参加していたがやめた」生徒や、「部活動に参加していない」生徒と比べて、平日に家庭学習を「ほとんどしない」という比率が最も低いことがわかったそうです。このデータから、部活動をやっていない生徒が、勉強を多く時間を割いているわけでは無いと読み取れます。さらに、部活をすると勉強しない、できない、ということではありません。

 A君に、「部活を辞めて時間ができたら有効に使えるか?」と問いました。さらに、時間に余裕があると、「何をしていたのかわからないという無駄な時間が 増えてしまわないか?」と続けて質問しました。そして、反対に「自宅での学習時間が限られていると、時間が無いと焦る気持ちで、集中力が高まるのでは無い か」とアドバイスした記憶があります。単に“勉強時間を確保できるから”という理由で、部活をやめるのはちょっと違うかもしれないと言ったと思います。

 その後、A君は部活を続け、空いた時間にコモンズで勉強している姿を見かけていましたが、A君と話す事はありませんでした。久しぶりに会う事ができ、A君から声をかけてもらいました。その第一声が、「部活を引退しました」でした。次に、「就職も第一希望の所に内定しました」と聞く事ができました。少し照れながら、「色んな事がありましたが、部を無事引退することができ、最高の仲間に逢えたことを嬉しく思います」「とても楽しい思い出ができたことに感謝しています」と伝えてくれました。そして、最後に「あの時、辞めなくて良かった。先生の言葉は大事でした」の一言。本当に嬉しかったです。

 その数日後、当方のゼミ生(B君)も引退を迎えました。最後の試合を観(応援)に行きたかったのですが、どうしても外せない出張が重なり叶いませんでした。当方のゼミ生には部活を推奨しています。真の文武両道について、昨年10月の本メッセージで紹介しましたが、部活で得られる人間力は偉大だと考えています。
 そのB君の言葉がとても印象的です。内容はご紹介できませんが、「自然と出てくる言葉」が温かかったです。「感謝の想い」「引き継いでもらいたい想い」も聞かせてくれました。何より、“B君にしか言えない”言葉で伝えてくれました。たとえ同じ部活をしていても、B君と同じ感じ方、同じ得たものを持つ人は一人もいません。だからこそ、一層温かく感じたのだと思います。
 そしてB君に対して、私は、『努力してきたこと、長く継続してきたこと、辛い練習に耐えたことなど』それがどれだけ素晴らしいことなのかを伝えました。スポーツは結果が全てという思考になってしまいがちです。しかし、スポーツを続けて来て得られたものは結果以外にもたくさんあります。この”努力・継続・我慢”がこれからの人生で必要になります。その時、部活で得た経験がその壁を越える大きな力になるのです。

 

 

 

 多くの4年生が部活を引退する時期です。環境が変わるので慣れるまではしばらく大変だと思いますが、4月からの新生活に向けて、大学生の集大成を飾ってください。そして、1~3年生の皆さん。運動系・文科系に限らず、部活動と言う社会の中で学ぶべき事を多く学び、人間力を育んでほしいと思います。


コモンズセンター長  伊藤 守弘

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