中国連携推進プロジェクト

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2016年度「さくらサイエンスプラン」活動報告

【2016年8月20日】

この活動は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の平成28年度「日本・アジア青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプラン)」の支援を受けて実施しました。

中部大学では、2016年7月29日から8月6日の9日間、中国の同済大学浙江学院の学生11名、引率教員2名、嘉興学院の学生10名、引率教員1名を招聘し「持続可能社会を実現するための環境、省エネルギー、生物応用等の先進的科学技術の交流発展」をテーマに「2016年度 同済大学浙江学院・嘉興学院中部大学研修」を実施した。

到着後の記念写真
到着後の記念写真

活動の概要

1日目 ― 7月29日(金曜日) ―

中部国際空港に到着後、大学がチャーターしたバスに乗り込み、中部大学にほぼ予定通り到着した。記念撮影の後、約1週間のプログラムにのオリエンテーション、中部大学の紹介、同済大学浙江学院・嘉興学院の参加者および中部大学関係者の紹介を行った。

その後、伝統的な建物を移築・復元した茶室・書院、図書館、中部地区の大学ではあまり設置されていない民族資料博物館などを中心に学内見学を行った。

夕刻には、歓迎会が行われ、研修参加者と中部大学の教職員が懇談した。興味のある研究分野の教員と熱心に話しこむ者も見られ、参加者の意気込みの強さを感じた。

また、初日より、過去に本研修に参加し、その後中部大学の工学研究科に進学した同済大学浙江学院出身の留学生が、通訳を行ったり、参加者に実体験を交えたアドバイスをしたりするなど、積極的に研修に関わっている。

附属三浦記念図書館を見学
学内見学の様子(附属三浦記念図書館)

歓迎会の様子
歓迎会の様子

2日目 ― 7月30日(土曜日) ―

2日目は中部大学の工学部および応用生物学部を知ることを主な目的として、講義および施設見学を行った。

はじめに、後藤英雄教授(工学部副学部長、電気システム工学科)が工学部の概要および各学科・大学院の概要について機械工学科(機械工学専攻)、電気システム工学科・電子情報工学科(電気電子工学専攻)、建築学科(建設工学専攻)、応用化学科(応用化学専攻)、情報工学科(情報工学専攻)、ロボット理工学科、および創造理工学専攻の順に説明をした。都市建設工学科(建設工学専攻)については、武田誠教授(都市建設工学科)が説明を行った。

その後、ちょうどこの日、中部大学を会場として開催されていた「CU Robocon 中部地区予選会」を見学した。普段見られないようなロボットコンテストを目の当たりにして興味を持った学生も多く、その後の見学の後、昼食の前にもう一度見学することになった。

国際GISセンターでは、NASAなどと協働して制作したデジタルアースの概念を紹介するビデオを見た後、4月の熊本地震の後の地形の変化を解析したり、実際にインドでの調査の様子や調査データの解析の様子などの説明を受けた。

午後は、長谷川浩一准教授(環境生物科学科)による応用生物学部(応用生物化学科、環境生物科学科、食品栄養科学科)全体の説明を行った。

その後、工学部の施設見学として、松尾直規教授(学監、地域・国際教育研究センター長、都市建設工学科)の説明により、CAD教育施設、デジタルラボ、建築資料製作室を見学した。続いて、応用生物学部の施設見学として、長谷川浩一准教授(環境生物科学科)の説明により温室を、山田邦夫教授(環境生物科学科)により植物工場を見学した。

工学部の説明
工学部の説明

GISセンターの見学
GISセンターの見学

植物工場を見学
植物工場を見学

3日目 ― 7月31日(日曜日) ―

3日目は、環境都市を標榜する名古屋の街において、名古屋駅前、名古屋城、中心商業地区を中心に、公園、街路、河川(堀川)の環境整備状況を見聞した。

まず最初に、社会見学として人気の高いトヨタ産業技術記念館を訪問し、繊維機械館と自動車館からなる展示物を見学した。この記念館では、ものづくりに重要な内容について、実際に機械を動かして見ることができ、学生達は新鮮な印象を持ち、大いなる刺激を受けていた。

記念館見学終了後は、数グループに分かれ、名古屋市内の各地を見学した。例えば、名古屋駅前は高層ビルの建築ラッシュであり、土木・建築系の学生には大いに参考になったようだ。

なお、3日目の活動には、今回来日している同済大学浙江学院の先輩にあたる留学生や本学国際関係学部の学生にも参加してもらい、双方の機関の学生同士の交流の機会にもなった。 

トヨタ産業技術記念館を見学
トヨタ産業技術記念館での記念写真

OBの大学院生や国際関係学部生と一緒に見学
OBの大学院生や国際関係学部生と一緒に見学

4日目 ― 8月1日(月曜日) ―

8月1日(月曜日)の午前中は、引率教員と代表の学生たちが山下興亜学長と飯吉厚夫理事長・総長をそれぞれ訪問した。その他の学生たちは、その時間を利用して、分析計測センターの見学を行った。

その後、全員でスマートグリッドの施設見学を行った。中部大学が取り組んでいる全学規模の電力コントロールの仕組みや太陽光を利用した発電・蓄電システムに関する説明を受けた。

次に見学した超伝導・持続可能エネルギー研究センターでは、超伝導を利用した送電システムの実証実験の施設・設備を見学し、その成果および将来の実用化に向けた展望について紹介があった。

午後からは、専門ごとに①土木・建築・情報系、②化学系、③生物系の3つのグループに分かれ、各専門分野にあわせた研究室への訪問を実施した。

①の土木・建築・情報系グループの学生は、まず岩堀祐之教授(情報工学科)の研究室を訪問し、「医療診断支援のための内視鏡画像からの3次元形状復元とポリープ識別について」のテーマでセミナーを受けた。この後、国際研究交流の話も含め、7人の研究室学生と懇談した。続いて訪問した常川光一教授(情報工学科)の研究室では中国からの大学院留学生による研究紹介とスマートハウスに関するセミナーが行われ、実際の模擬ルームを見学し、自動開閉するカーテンや人感センサーによる照明器具などを見学し、大いに興味を駆り立てられたようであった。

②の化学系グループの学生は、セミナールームで応用化学科の説明を幅上茂樹教授(応用化学科)が行い、その後饒村修准教授(応用化学科)が学生2人とともに応用化学科の14号館の実験室と研究室を案内し、実験設備などを紹介した。その後、山田直臣教授(応用化学科)と8人の大学院生、学部生が参加し、山田研究室の研究紹介と交流を行った。また、籔内一博准教授(応用化学科)の研究室では、6人の大学院生、学部生が参加し、研究概要の聴取と分子材料実験の見学を行った。学生たちは充実した施設設備に大いに感銘を受けた様子であった。また、積極的に質問をし、説明内容について熱心にメモを取る姿が印象的であった。

③の生物系グループの学生は、30号館6階の会議室で、宗宮弘明学部長・教授(環境生物科学科)のあいさつに続いて、長谷川浩一准教授(環境生物科学科)による「害虫と寄生虫」、金政真准教授(環境生物科学科)による「微生物バイオテクノロジー」、吉村和也准教授(食品栄養科学科)による「次世代農作物の開発」、墨泰孝助教(応用生物化学科)による「微生物を利用したファイトレンディエーション」、大場裕一准教授(環境生物科学科)による「生物発光」のそれぞれの研究紹介を行った。大場准教授の研究紹介では、発光する生物の見本が配付されると、参加者は興味深そうに観察しながら次々に質問をしていた。

飯吉理事長を表敬訪問
学長、理事長を表敬訪問

太陽光パネルを備えた体育・文化センターについて説明を受ける
太陽光パネルを備えた体育・文化センターについて説明を受ける

岩堀研究室
岩堀研究室(情報工学科)

山田研究室
山田研究室(応用化学科)

5日目 ― 8月2日(火曜日) ―

8月2日(火曜日)は昨日に続き、①土木・建築・情報系、②化学系、③生物系の3つのグループに分かれて、研究室訪問を行った。

午前、①の土木・建築・情報系の学生は、武田誠教授(都市建設工学科)らによる「都市の水害および水環境に関わる研究報告」で、武田教授のほか12人の大学院生、学部生が参加し、このうち4人の大学院生(うち同済大学浙江学院卒業の博士前期課程2年生2名含む)が各々発表を行った。その後、地盤工学研究室に移動し、杉井俊夫教授(都市建設工学科)と8人の大学院生、学部生が参加して、学生による研究発表と、土圧の模型実験、地震による液状化のデモ実験を行い、ミニチュアの地盤と建物に起きる液状化の様子を興味深げに観察していた。続いて、伊藤睦准教授(都市建設工学科)と7人の大学院生、学部生が参加して、「鉄筋コンクリート構造の耐久性の力学的研究」の紹介を行った。午後は、山羽基教授(建築学科)・横江彩助教(建築学科)の研究室に所属する大学院生2人による「BIMによる建物情報の活用」と「大学のエネルギーマネジメント」の紹介があった。その後、材料構造実験施設に移り、石山央樹准教授(建築学科)による施設の紹介に続いて、免震装置を使った地震体験を行うとともに、23人の大学院生、学部生が参加して、大学院生による研究発表とディスカッションが行われた。

②化学系は、午前は、櫻井誠教授(応用化学科)を訪問し、Industrial Inorganic Chemistry & Chemistry of Phosphates の紹介があり、5人の大学院生、学部生と交流した。その後、二宮善彦教授(応用化学科)の研究室を訪問し、石炭燃料からのPM2.5の発生とその低減など、Environmental Chemical Engineering の紹介があり、実験室を訪問して石炭の燃焼設備を見学した。

③生物系は、午前は研究室訪問として、宗宮弘明教授(環境生物科学科)、長谷川浩一准教授(環境生物科学科)、金政真准教授(環境生物科学科)、吉村和也准教授(食品栄養科学科)、墨泰孝助教(応用生物化学科)、大場裕一准教授(環境生物科学科)、山田邦夫教授(環境生物科学科)、町田千代子教授(応用生物化学科)、山田貴史講師(食品栄養科学科)、香西はな講師(食品栄養科学科)、倉根隆一郎教授(応用生物化学科)の各研究室を回り、各教員の研究内容について説明を受けた。墨研究室では、日本全国各地から収集した重金属汚染された土の見本を見ながら説明を受けた。また、大場研究室では、中国語で書かれた研究著書を見せてもらい、参加者たちは研究には国境がないことを感じた。

化学系と生物系は、午後は合同の研究発表会として、ポスターセッションを行い、教員、大学院生らが大勢集まり、主に大学院生が中心となって研究紹介を行った。招聘学生らは、掲示されたポスターを1件づつ回り、興味深々、大学院生に質問しながら、真剣な様子でメモを取り活発な交流が行われた。また、嘉興学院の学生による研究発表や事前に与えられた課題の発表会も行われた。合同発表会は大いに盛り上がり、予定時間を過ぎても、お互いの学生同士が活発に交流する姿が見られた。

地盤工学研究室の見学
地盤工学研究室(都市建設工学科)

応用化学科の実験室
応用化学科の実験室を訪問

合同研究発表会
工学部応用化学科と応用生物学部合同の研究発表会の様子

6日目 ― 8月3日(水曜日) ―

6日目の8月3日は、学外研修として会社訪問を行った。

午前は中部電力の研究所(中部電力総合技術研究所)を訪問し、最初に技術開発本部の概要についての説明があり、同開発本部が、「安価で良質なエネルギーの安定的な供給」および「総合エネルギーサービス企業の実現」に向けた中長期的な技術開発に取り組んでいることについて、説明を受けた。

その後、学生は2班に分かれて実験棟の見学を行った。住宅用環境実験棟では一般家庭用住宅における太陽光発電の利用に関する技術開発の紹介と見学を行った。また、産業電化実験室では、せんべいやカップケーキなどを加熱する業者用電気加熱機器の開発現場を見学した。また、ミニチュア電力系設備では、故障時や様々な状況下で電力設備にどのような動作や現象が起きるかについての模擬実験を行った。浮体式洋上風力の水理模型実験設備では、海洋の波や風を実験的に起し、浮体式の洋上風力発電の開発状況に関する説明を受けた。

午後は東邦ガス株式会社技術開発本部、ガスエネルギー館を訪問した。最初に東邦ガスが日本の「ものつくり」の中心拠点である中部3県(愛知県、岐阜県、三重県)にガスを供給する会社であり、東京ガス、大阪ガス、に次いで日本でのガス取扱量が3番目に多い会社であると紹介があった。さらに、技術開発本部は、技術企画部、技術研究所、商品開発部から成ること、また、それぞれの部門の概要に関する説明を受けた。

その後、最先端技術を駆使したスマートエネルギーハウスを見学し、最先端のスマートエネルギー関連技術の説明を受けた。また燃料電池車の見学と試乗を行い、水素ステーション整備に向けた技術開発の説明を受けた。また、ガスエネルギー館において、地球温暖化とエネルギー問題に関する様々なデモンストレーションを実際に触れながら、興味深く見学した。

日本のエネルギー開発に取り組む代表的な企業2社の最先端の開発の現場を見学し参加者は、大いに刺激を受けた様子だった。

中部電力にて
中部電力総合技術研究所

東邦ガス・ガスエネルギー館
東邦ガス・ガスエネルギー館

7日目 ― 8月4日(木曜日) ―

研修7日目の8月4日は昨日に引き続いて学外研修を行った。

午前は本学と同じ春日井市にある王子製紙株式会社を訪問。会社の紹介ビデオ(中国語)を見た後、原材料となる木材チップの搬入状況や古紙の再利用のための備蓄状況、リサイクル燃料などをバスの中から見た後、トイレットペーパーやキッチンペーパーの製造ラインなど工場見学をじっくり時間をかけて行った。工場の煙突から出ている白い煙が実は水蒸気で、環境に配慮されていることが印象的だったようだ。

午後は、小牧市の住友理工株式会社を訪問し、ゴムを中心とした技術応用などを実際の製品などに触れながら学んだ。

また、大和エネルフ株式会社では、企業などから回収した産業廃棄物の95%をリサイクルする技術だけではなく、特に日本のような資源に乏しい国が実践しなければならないリサイクルの考え方を学んだ。

王子製紙株式会社で
担当者に質問する参加学生(王子製紙株式会社で)

住友理工株式会社
住友理工株式会社

8日目 ― 8月5日(金曜日) ―

研修8日目は実質的な最終日。この日に研修を入れたのは「夏のオープンキャンパス」がこの日から3日間開かれるためで、午前中はオープンキャンパスを自由に見学できるようにした。各自関心のある研究室や実験施設、福利厚生施設などを回った。

午後は、参加者一人一人がこの1週間の研修で学んだこと、感じたことについて発表する「成果発表会」が行われた。どの学部、研究室も研究や教育が熱心に行われていて感銘を受けたこと、キャンパスがきれいであること、日本が美しい国であること、会う人が皆優しかったこと、ごみの分別が徹底されていて感銘を受けたことなど、様々な感想が述べられた。

この成果発表会には同済大学浙江学院の卒業生で、本学大学院工学研究科の在学生や国際関係学部の学生も参加し、彼らの発表に耳を傾けた。その後、日中の学生らがお茶とお菓子を囲んで交流会を行った。

この1週間のプログラムの修了証の授与式では、はじめに松尾直規教授(学監、地域・国際連携教育研究センター長、都市建設工学科)が、「さくらサイエンスプラン」の意義を再確認し、今後の活躍を期待すると激励の言葉が送られ、修了者一人一人に修了証が手渡された。

夕方開かれた歓送会は、51号館学生ホールで開催された。石原 修副学長(国際センター長)が参加学生の1週間の研修の成果を将来に活かしてほしいという言葉に始まり、竹内芳美教授(工学部長、機械工学科)、宗宮弘明教授(応用生物学部長、環境生物科学科)のあいさつに続いて、渡邉 誠学校法人中部大学学監(中部大学上海事務所顧問)による乾杯の発声で最後のパーティーが行われた。

参加学生の一人が書をぜひ披露したいという申し出が到着日にあり、事務局側と書道部との調整の結果、この最後の歓送会でアトラクションとして書を披露することになった。中国と日本は別の国ではあるが漢字というつながりがあることを改めて認識し、お互いが一つになった瞬間でもあった。

この歓送会は講義を担当した教員だけではなく、その講義をサポートした学生や通訳を行った同済大学浙江学院OBを含む中国人留学生、国際関係学部の学生や書道部の学生たちも参加した。1週間という短い研修ではあったが、多くの人がこれに関わり、理解を深めた実りある1週間だったことを感じさせた。

水害モデル
オープンキャンパスを見学(水害状況をシミュレートするモデル)

成果発表会の様子
成果発表会の様子

修了式の様子
修了式の様子

書で盛り上がりを見せた歓送会書で盛り上がりを見せた歓送会

9日目 ― 8月6日(土曜日) ―

最終日の9日目は、午前9時にホテルを出発し、中部国際空港セントレアに向かった。短かった9日間の研修は、多くのことを見聞し、大きな病気やけがもなく、すべての日程を終えた。

 

国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)のサイトでも紹介されました。

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