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体脂肪減らす仕組み解明(津田孝範教授ら)中日新聞近郊版掲載2021.7.1

【2021年7月1日】

応用生物学部の津田孝範(教授、専門:栄養生化学・食品機能学)のグループは、特定のアミノ酸混合物の摂取と運動を併用すると、熱産生によるエネルギー消費を促進する褐色脂肪細胞が増加することを、マウスを用いた実験で明らかにしました。

 

背景

 アミノ酸は筋肉などをはじめとするたんぱく質の構成要素であり、いくつかのアミノ酸は体内で合成できないため、食事から摂取する必要があります。アミノ酸の中でアラニン、アルギニン、フェニルアラニンの3種類のアミノ酸の混合物(ARF)を摂取して運動を併用すると、ヒトやマウスにおいて脂質代謝を亢進し、体脂肪蓄積を抑制することが報告されています。なお、このアミノ酸混合物を添加したスポーツ飲料は、この3月からある企業より機能性表示食品として市販されています。しかし、なぜこのアミノ酸混合物と運動を併用すると、体脂肪蓄積を抑制するのかはわかりませんでした。

 

研究内容骨子

 津田らはマウスを運動しないグループ、ARFを摂取するグループ、運動のみを行うグループ、ARFと運動を併用するグループの4つに分けて、4週間飼育した後に白色脂肪組織を調べました。その結果、ARFと運動を併用するグループのみに白色脂肪組織中に褐色様脂肪細胞*と呼ばれる、エネルギー源となる脂肪などを熱産生の形で消費する細胞が増加していることが分かりました。この褐色様脂肪細胞はARFと運動を併用したグループのみに認められ、他のグループでは観察されませんでした。褐色様脂肪細胞はミトコンドリアに脱共役タンパク質1と呼ばれる熱産生に関わるタンパク質があり、この分子の働きで熱産生が行われることが知られていますが、併用したグループのみで、このタンパク質が増加しました。さらにマウスの血液の一部をメタボローム解析*と呼ばれる体内の代謝物質を網羅的に解析する技術を使ってしらべると、エネルギー代謝の過程で生成される物質の濃度が運動とARFの併用により上昇しましたが、特に乳酸の濃度が高まっていました。乳酸は、実験動物においては褐色様脂肪細胞の増加を促すとの報告があり、運動とARFの併用による乳酸濃度の上昇が褐色様脂肪細胞の増加と関連する可能性があると考えられます。ただし、この作用自体は動物のみでの立証です。

本研究内容は日本栄養・食糧学会の国際学術誌(J. Nutr. Sci. Vitaminol.)に採択され(https://jnsv.org/en/) 8月に刊行されます。7月3、4日にオンラインで開催される第75回 日本栄養・食糧学会大会で江崎菜々大学院生が発表予定です。

第75回日本栄養・食糧学会大会:https://www2.aeplan.co.jp/jsfns2021/index.html

 

 なお、本研究内容は2021年7月1日の中日新聞近郊版PDFファイル(PDF形式:約269KB)に掲載されました。

 

研究のポイントと今後の展開

 すでに3種類のアミノ酸の混合物(ARF)を摂取して運動を併用すると、ヒトにおいて脂質代謝を亢進し、体脂肪蓄積を抑制することが報告されています。併用効果の機構は複数ある可能性があるものの、なぜ、運動との併用が効果的なのかは、わかりませんでした。今回の研究から、特定アミノ酸摂取と運動の併用により、熱産生の形でエネルギーを消費する褐色様脂肪細胞が増加することで説明できるのではないかと考えられます。このような運動との併用効果はアミノ酸だけではなく、他の食品成分を併用しても同様の効果が得られる可能性もあり、運動と併用することで効果を効率的に発揮する新しいサプリメントの開発に繋がることが期待されます。今後は、ヒトにおいても運動とARFの併用が褐色様脂肪細胞を増加させるのか、もし増加するなら、運動との併用による体脂肪蓄積の抑制に関与するのか、の検証を慎重に進める必要があります。

 

語句説明

褐色様脂肪細胞

 エネルギー源である脂肪などを分解して熱を産生する細胞は褐色脂肪細胞と呼ばれていますが、寒冷刺激などで白色脂肪組織中に新たに誘導され、褐色脂肪細胞と同じ働きであるエネルギーを熱の形で散逸させる機能を持つ細胞のことを指します。褐色様脂肪細胞はミトコンドリアに脱共役タンパク質1と呼ばれる熱産生に関わるタンパク質があり、この分子の働きで熱産生が行われることが知られています。褐色様脂肪細胞は寒冷刺激、ある種の薬剤や食品成分で増加することが報告されています。

 

メタボローム解析

生体内には酵素などにより生成した多様な代謝物質が存在しますが、この代謝物質を網羅的に分析する手法のことをメタボローム解析と呼んでいます。この解析を用いて生体内で起きている代謝の全体像などを把握することができます。

 

 

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