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根岸 晴夫

食品栄養科学科で学ぶこと -基本はバイオサイエンスから-

食品栄養科学科
根岸 晴夫

食の科学を正しく理解するためには・・・

皆さんの高校では生物や化学の授業はありますが、食品や栄養についてはないと思います。そのため食品栄養科学科では、何を学べるのかが分からない高校生が多いと思います。私たちが普段何気なく食べている食の分野はバイオサイエンスの領域と非常に関係が深く、食の科学を正しく理解するためには最先端のバイオの知識が必要です。特に本学の食品栄養科学科は、他大学に比べてバイオの学習をたいへん重視しており、その知識を基盤に食の分野で活躍できる技術者・研究者などの人材を養成してゆきます。食の分野はたいへん興味深く、医薬品メーカーも積極的に健康食品の分野に参入するなど、卒業後の皆さんの活躍の場は益々広がっています。

バイオサイエンスを基盤とした「食」の理解

次に具体的な例を示しながら、食品栄養科学で学習する領域の一部を紹介したいと思います。

皆さんは、新聞や雑誌で遺伝子組み換え食品、クローン牛肉、鳥インフルエンザ、BSE、花粉症、食物アレルギー、あるいはメタボリックシンドロームなどの言葉を目にしたことがあると思います。最近は食の安全性や健康に関連している言葉が多く、これらを「食」の視点から理解するためにはバイオサイエンスが基盤となります。また、納豆、味噌、醤油といえば日本の伝統的な発酵食品ですが、利用する納豆菌や麹菌の働きを科学的に理解するためにもバイオの知識が必須です。メタボリックシンドロームについては、ご存知の高校生も多いと思います。内臓脂肪型肥満に高血糖・高血圧・高脂血症の2つ以上を合併した状態のことです。食生活によって生活習慣病を改善するために、体に良い食品の研究が盛んです。こうした食品は機能性食品とも呼ばれ、大学や食品・医薬品企業の研究機関でたいへん注目されています。

研究室での実験風景1研究室での実験風景2

研究室での実験風景

乳酸菌がもつ優れた力

その代表的食品がヨーグルトと乳酸菌です。もともとヨーグルトは、桶や革袋に入れておいた乳に偶然入り込んだ乳酸菌によってできたものといわれています。ヨーグルトの健康効果を最初に唱えたのは、ノーベル生理学・医学賞を受賞したロシア出身の免疫学者、メチニコフ博士です。彼は1900年代の初め、ブルガリアに長寿者が多いのは彼らがヨーグルトを常食としていることにあると考えました。ヨーグルトのような食品は発酵乳と呼ばれ、便秘や下痢などの整腸作用、高血圧症に対する降圧作用、花粉症を緩和する効果、胃潰瘍の原因となるピロリ菌を排除し胃潰瘍を緩和する作用など、乳酸菌やその生産物による様々な保健効果が科学的に実証されています。こうした研究には食品の栄養、微生物、バイオの知識が必要になります。

食品によるアレルギー対策

花粉症、食物アレルギーに悩んでいる人は多いと思います。アレルギーの発症機構は複雑でまだまだ不明な点が多く、大学、医薬品、食品メーカーの研究機関で、発症機構や防止策などについて精力的に研究が進められている注目の分野です。免疫反応の仕組みの知識やアレルギーの原因物質を低減させるための食品成分の知識が必要です。アレルギー症の乳幼児にとっては、アレルギー反応を起こさない食品の提供が必要になります。食品企業はアレルギー対策を研究し、安全な育児用粉ミルクや離乳食などの開発を行っています。

講義から実習まで、「食」に関する幅広い知識と技術の習得

将来、食品企業の研究所で機能性食品等の開発を希望する場合には、バイオサイエンスを基盤とした食の知識なしには開発はできません。本学科では分子生物学、生物化学、有機化学、微生物学などの教育科目でバイオの基礎を、食品化学、食品機能学、栄養生化学などの専門科目で食品の専門性の学習ができます。また本格的な食品テストプラントがあり、食品の製造加工も学べます。

香りとおいしさの密接な関係

現在私たちの研究室では、ヨーグルトなどの乳製品やハーブを対象に食品の香りのことを研究しています。食品は、食べ物として安全で衛生的であることは基本ですが、何よりもおいしく栄養があることです。毎日の食事がおいしく食べられるかどうかは、健康のバロメーターです。例えば風邪をひいたときに食べ物の味が分からなくなることを経験していると思いますが、これは嗅覚器がある鼻の粘膜が正常に機能しなくなり、香りの識別ができなくなるからです。食品の香りは、私たちがおいしさを感じる上でとても大切な役割を担っているのです。人間には視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感がありますが、伝達機構の解明が最も遅れていたのは嗅覚です。2004年のノーベル医学生理学賞は嗅覚システムの解明でした。嗅覚の仕組みが分子レベルで解明されたことで、香りの研究は様々な分野で展開され益々の発展が予想されます。私たちの研究室では食品香気の分子に注目して、ヨーグルト、チーズ、ハーブ飲料などの試作を行い、香り分子の生成機構とおいしさとの関係、食品の品質管理に応用するための研究を行っています。

食の分野に興味がある高校生の皆さん、是非、本学の食品栄養科学科で将来の夢を叶えてください。

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