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坂野 弘美

植物の偉大なチカラ

環境生物科学科
坂野 弘美

太陽からの光エネルギーを有機物に変える植物

植 物は太陽からの光エネルギーを使用して、光合成により二酸化炭素と水から有機物を合成し、酸素を排出しています。昆虫や草食動物がこれを食べ、さらに昆虫 や草食動物を他の動物が食べるといった具合に生態系が成り立っています。この中で何もないところから生物が利用エネルギーを作り出しているのは植物の光合 成なのです。今、化石燃料を燃やしてエネルギーを得ることにより、大気中の二酸化炭素濃度が上昇し、温暖化現象などに地球環境が破壊されつつあります。ま た、化石燃料は有限であり、今のまま使い続ければ100年ほどで枯渇すると言われています。化石燃料にしろ、堆積した太古の生物の死骸が長い年月をかけて 変成したものなので、やはり、光合成細菌や植物が作り出したものであると言えます。もし、人類が光合成により作り出された有機物だけを利用して生活するな らば、排出した二酸化炭素は再び、光合成により有機物と酸素に変えられるので、二酸化炭素濃度は上昇しないのです。この考えに基づいて、最近、バイオエタ ノールが脚光を浴びています。しかし、現在、バイオエタノールのほとんどは穀物中のデンプンを酵母によって発酵させて作られており、それにより穀物の価格 が上昇しています。しかし、植物体の中でデンプンは一部であり、セルロースという細胞壁の主成分が乾燥重量の大半を占めています。セルロースは地球上で最 も多量に存在する有機物なのです。デンプンとセルロースは分解すれば同じグルコースになるので、技術的にはまだ難しいところもありますが、セルロースが利 用できるようになれば、二酸化炭素濃度の上昇の問題やエネルギー問題の解決も夢ではないでしょう。

植物のチカラを利用しよう!

植 物は、酸素と炭水化物の他にも薬の材料になるような様々な有用な物質も作り出しています。植物の力を最大限利用するためには、目的の物質についてより生産 力の強い植物が求められます。これまで、人類は交配による育種により、長い年月をかけて人類にとって都合の良い植物種を作り出してきました。現在、農業で 作られている作物のほとんどはこうした育種により作り出されたものです。しかし、古典的な育種は長い年月を要するだけでなく、同種間でしか交配できないと いう限界もあります。遺伝子組換え技術は短時間で新しい種を作れるだけでなく、他の生物のあらゆる遺伝子を植物に持たせることができます。こうした技術を 利用しようして、新しい植物種を作り出せば、例えば、乾燥に強い植物を作れば砂漠に近い土地でも植物を育てることができるかも知れません。また、分解しや すいセルロースを作る植物ができれば、そのセルロースからバイオエタノールを生産して、完全なエネルギー循環型社会ができるかも知れません。環境生物科学科では、現在の環境問題を理解し、その問題をいかに最新のバイオサイエンスとバイオテクノロジーに基づいて解決するかという教育・研究を行っています。

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