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研究室を見てみよう!

インタビュー:環境生物科学科 坂野研究室
分子レベル、遺伝子レベルの研究で、植物の細胞分化をコントロールする。

坂野研究室

  • 教授
    坂野 弘美 Hiroharu Banno
  • 環境生物科学科(2005年3月卒業)
    松尾 巨樹 Naoki Matsuo

これからの発展が期待される 植物分子生物学という研究分野

植物は、1つの細胞からその個体をつくり出すことができる。動物の場合、胚性幹細胞と呼ばれる特殊な細胞からはクローン動物のような個体をつくり出せる可能性があるが、通常の細胞にそのような能力はない。「植物細胞には、分化全能性という性質がある。ですから植物は、オーキシンとサイトカイニンと呼ばれる植物ホルモンを培地(固形栄養分)に加えることで、組織切片から根やシュート(茎と葉)の器官を再生させることができる。どちらになるかは、植物ホルモンの濃度比で決まります。中間の濃度比では、未分化の状態で細胞増殖を続けます」組織培養による植物の再生は、50年ほど前から知られた現象。いろんな分野で利用もされている。しかしその仕組みは、最近になるまでほとんど分かっていなかった。「特に分子レベルでの研究は、まだ始まったばかり。植物分子生物学という研究分野は、これからの発展が期待されています」

植物の細胞分化を制御するESR1遺伝子の存在を明らかに

坂野研究室ではいま、シロイヌナズナをモデル植物に、ESR1遺伝子をターゲットにした研究が続けられている。ESR1は、坂野助教授がその存在を明らかにした遺伝子でもある。「今までの研究で、ESR1はシュートへの分化に必要な遺伝子群のスイッチになっていることが分かりました。ESR1に制御される遺伝子群を明らかにし、どんなメカニズムで作用しているのかをさらに解き明かすことができれば、他の植物への転用も容易になる」シロイヌナズナの場合、ESR1遺伝子を強制的に発現させると、シュート(葉と茎)の形成効率が5から100倍に上昇する。組織培養が難しい植物種——たとえばバラなどへの応用が可能になれば、遺伝子組み換え植物の開発や生産に大きく貢献する。「研究対象は植物ですが、実際に向き合っているのはタンパク質と核酸。だから植物学ではなく、植物分子生物学なんです」研究をより身近に感じてもらうために、坂野助教授はバラを研究の対象に加えた。究極の目標は、遺伝子組み換えにより、バラの花の色や形をデザインすること。好奇心がかき立てられる。「大学の4年間で学べることには、限度がある。この研究室では、知識の量よりも、研究に取り組んだ充実感を大切にしたい。その経験は、どの道に進んだとしても必ず役に立つはずですから」

学生の声

高校時代から生物が好きで、遺伝子の働きや植物細胞の分化全能性に興味を持っていました。植物分子生物学を専門とする坂野研究室を選んだのは、そんなことがキッカケです。卒業研究のテーマは「ESR1遺伝子の発現調節」。いまは、ESR1遺伝子を組み込んだ植物体をつくっています。酵素を使い遺伝子を切ったりつないだりしながら目的の部分を取り出し、バクテリアを介して植物細胞に組み込みます。ただ、これはまだ研究の準備段階…組織培養で植物体に育てた後に、本当の研究が始まります。いまは坂野先生の研究をサポートする立場ですが、でも植物分子生物学の最先端に立ち会っている実感はある。まだ誰もやったことがない実験をやっているわけですから。卒業後は、大学院に進みます。できれば、植物分子生物学でメシが食いたい…と思っています。

インタビュー:環境生物科学科 南研究室
フィールドで好奇心に火を点け、研究室でサイエンスと向き合う。

南研究室

  • 教授
    南 基泰 Motoyasu Minami
  • 環境生物科学科(2005年3月卒業)
    小萱 香代 Kayo Kogaya

植物の多様性をさまざまな視点で利用する

南教授の専門分野は『薬用植物学』。農学博士の学位を持つが、研究内容はむしろ薬学の領域に近い。「DNA鑑定法を使って、薬用植物の起源や系統を明らかにする。あるいは、新たな薬用植物や有用物質を探し出す。厚労省や農水省のプロジェクトで研究員を務めながら、私自身はそういった研究を続けてきました」しかし研究室のテーマは、敢えて薬用植物学に限定しない。「植物の多様性を利用する」南助教授は、学生と共に取り組む研究テーマを、こう表現する。「植物の多様性は、さまざまな分野で価値を持つ。“Goods”(つまり、食糧や薬として利用。“Service”)森林が天然のダムになっているとか、あるいは川や湖に群生する葦に水の浄化機能があるなど、恩恵と呼ばれる価値。そして“Amusement”。里山が遊びや教育の場として利用されたり、あるいは観葉植物が人の心を癒やすなどの効果」さまざまな視点で、植物の多様性を利用する。そのスタンスこそが、農学系や薬学系との違い…応用生物学部らしさだと南助教授は考えている。

卒業研究テーマは、研究室の外で自ら見つける

学生が取り組む卒業研究のテーマは、植物の多様性と同様に、じつにさまざま。DNA鑑定法を使って薬用植物の系統調査をしている学生もいれば、猛禽類保護の基礎データとして必要になる「野ねずみ」の調査を手がける学生もいる。「大きく分けると、アナログ系とデジタル系。30号館にある研究室では、主に恵那キャンパスの植生調査や、絶滅危惧種など希少植物の保護などを。遺伝子解析などの機器が揃った32号館の実験室では、DNA鑑定法による植物の系統調査や成分の分析、薬用植物の環境変異と遺伝子変異などをテーマに研究を進めています」南助教授は、学生を積極的に研究室外へ連れ出す。自らのフィールド調査に同行させたり、共同研究先へ送り出したり、情報を持っている研究者や専門家を紹介する。「わざと違う分野のフィールド調査の手伝いをさせたり、無駄と思えるようなことを勧めることもある。いろんな経験の中から、自分の研究テーマを見つけてほしいと思っているんです」フィールドで好奇心に火を点け、研究室でサイエンスと向き合う。南研究室には、そんな言葉がピッタリとくる。

学生の声

大学院へ進学します。南研究室からは私を含めて4人が進学する予定で、それぞれ進学後も継続できる研究テーマに取り組んでいます。私のテーマは、カワラヨモギのDNA鑑定法を使った系統分析。カワラヨモギには利胆・利尿・消炎作用があるんですが、匍匐型や直立型などの系統によって成分量の差がある。有効成分をより多く含む系統を見つけ出すことが、研究テーマです。タイに学校をつくるNPOに参加して、研究室の友達と夏休みに現地へ行く予定です。研究にはまったく関係ないけれど、南先生も「行ってこいよ!」と賛成してくれました。せっかくだから、タイの植物もしっかり観察してこようと。先生の影響なのか、南研究室の学生は好奇心が旺盛なんです。研究室にいるといろいろなチャンスが巡ってくるから、後はそれをどうつかむかなんですね。好奇心を持ち続けていれば、つかめるはずです、きっと。

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