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研究室を見てみよう!

インタビュー:応用生物化学科 禹研究室
無限の天然物の中から、人の健康に役立つ生理活性物質を検索する。

禹研究室

  • 教授
    禹 済泰 Je-Tae Woo
  • 応用生物化学科(2005年3月卒業・2007年3月修士課程修了)
    嶋田 浩行 Hiroyuki Shimada

機能を明らかにした天然由来物質が、骨粗鬆症治療の新薬候補に

大学では工業化学を学んだ。大学院で農学の博士号を取得し、研究者として取り組むのは骨粗鬆症などの治療・予防に効果がある「生理活性物質の探索」と、その「作用機構の解析」つまり、医学・薬学分野の基礎研究とも言える領域。禹教授の研究歴を見ると、バイオという研究領域の特徴がよく分かる。「私の専門分野は、天然物化学。簡単に言えば、微生物や薬用植物、キノコや木の実などの天然素材から、生理活性物質(薬理作用を持つ物質)を見つけ出す学問です」禹教授は、骨粗鬆症をターゲットにした研究で、特に大きな成果を挙げてきた。“riveromycin”や“destruxins”などの天然化合物が骨吸収を抑制することを見出し、骨粗鬆症の新薬候補として注目を集めている。「骨組織には、骨をつくる骨芽細胞と、骨を破壊する破骨細胞、そして骨細胞がある。骨粗鬆症というのは、破骨細胞による骨破壊が異常に進んだ結果、骨量が減る状態です」破骨細胞の寿命は約2週間。造血幹細胞が単核破骨細胞に分化し、それが互いに融合して多核化、さらに活性化して骨を破壊する。つまり、その各段階を阻害する物質が治療や予防に役立つ。

次のターゲットは、肥満。健康食品への利用を目指す!

「いま研究室で取り組んでいるのは、治療薬ではなく、骨粗鬆症の日常的な予防に役立つ生理活性物質の探索。健康食品として提供できる天然由来の物質を探し出せれば、社会への大きな還元となるはずです」禹教授の研究は、さらに次のターゲットにも向けられている。糖尿病の予防にもなる、肥満を抑制する生理活性物質の探索だ。「この研究室を特徴づけているのは、2つの技術の存在です。1つは、天然物から成分を“抽出→単離→精製→構造決定”する天然物化学の技術。そしてもう1つは、その成分を動物細胞で検証し、作用の機構を解析する動物細胞工学的な技術。ターゲットは、骨粗鬆症や肥満に限られるわけではありません」天然物化学に夢を感じる学生と研究に取り組みたい。禹教授は、そう語る。「野山から自分で獲ってきた素材から、人の健康に役立つ生理活性物質を見つけ、社会に還元する…夢があると思いませんか。だから研究に愛着も湧くし、モチベーションも高まるんです」

学生の声

卒業研究として取り組んでいるのは、肥満を抑制する生理活性物質の探索です。人間の細胞の中には、脂肪細胞の分化を誘導する“PPARγ”という核内受容体があります。受容体は、特定の情報伝達物質と結合すると、DNAの特定配列に結合・転写し、必要なタンパク質を合成して生体反応を引き起こします。その情報伝達物質を、膨大なサンプルの中から選別しているんです。分析用のロボットを使い、すでに700以上は実験したでしょうか。有望な物質も、いくつか見つかりました。ただ、それで研究が終わるわけではありません。いまは、分子レベルの結合を元にしたスクリーニング(選別)。この後、細胞レベル、動物レベルと実験・検証が続きます。禹研究室の特徴は、共同研究先が豊富なこと。国内外の大学の医学部や歯学部、製薬・食品企業などが名を連ねています。大学院に進学する予定なので、このまま禹研究室で研究を続けたいと思っています。

インタビュー:応用生物化学科 堤内研究室
いくつもの「最先端」が同時進行。ここでしか合成できない物質(モノ)を手に入れる。

堤内研究室

  • 教授
    堤内 要 Kaname Tsutsumiuchi
  • 応用生物化学科 4年
    大野 友晃 Tomoaki Ohno

免疫賦活および抗ガン作用を持つ“(1→3)-β-グルカン”の精密化学合

堤内研究室が得意とする分野は「高分子合成/有機合成」。合成が難しいといわれる糖質に着目し、単糖から多糖まで様々な糖を化学合成しています。特に、キノコ類などに含まれる多糖で、免疫賦活および抗ガン作用を持つ“(1→3)-β-グルカン”の精密化学合成を行っているのは、世界中でこの研究室だけ。まだ多くの謎が存在する多糖の生理機能解析を可能にすべく、様々な分岐型(1→3)-β-グルカンの精密化学合成と生理活性試験に取り組んでいます。最近では、がん治療や糖尿病などを研究対象としている方々から、“市販品が見つからず入手が困難だけれども、是非研究に用いてみたい”といった特殊な糖質の合成をリクエストされることも多く、共同研究も活発です。 まさに、バイオサイエンスの最先端を支える“ものづくり”の研究室。あふれんばかりの知的好奇心と使命に燃えて頑張っています!

必要とされる喜びと責任感が学生を成長させる!

堤内研究室には、先に述べた糖質の合成研究のほかに、芳香族ホスホン酸化合物、特殊なペプチドフラグメント・抗生物質などの合成依頼も舞い込んできます。さらに、栽培したキノコに含まれるβ‐グルカンの抽出と構造解析、製餡(あん)工程で排出される小豆がらの有効利用法開発など、化学のチカラを必要とする地元企業からの問い合わせも数多く寄せられてきました。“扱う材料が違っても、化学の基本はどれも同じ。化学のチカラを求める声は、新しい何かを学ぶ大きなチャンス!”こんな姿勢で、可能な限り協力するのが堤内研究室のスタイルとなっています。“何でも一生懸命やれば面白い!思わぬところから新たな発見があるはず!”そんな思いが通じたのか、既知物質の合成依頼から始まった研究が新規化合物の合成まで発展。生理活性の結果も併せて今春学会発表することができました。まさに、必要は発見の母。化学のチカラを求める声に感謝です。

学生の声

いま取り組んでいる研究テーマは「2級アルコールを開始剤に用いた1,3-アンヒドログルコース誘導体の開環重合」です。この“1,3-アンヒドログルコース誘導体の開環重合”を特殊な触媒存在下で行うと、免疫賦活および抗ガン作用を持つ“(1→3)-β-グルカン”の基本骨格を構築することができます。世界中でグルコースから“(1→3)-β-グルカン”を合成できるのは堤内研究室だけということを聞き、堤内研究室に配属することを決意しました。目標は今秋の学会発表。自らの『気力、体力、知力』を全て注いで、日夜実験に励んでいます。研究室はとてもアットホームな感じのところで、研究以外でも貴重な経験をさせてもらっています。特に、フランスからの留学生と過ごした4月からの3ヶ月はとても新鮮でした。英語は正直苦手ですが、毎日研究室で共に実験してきたこともあり、かなりの度胸と大きな友情を得ることができました。まだまだ勉強したいことが山ほどあるので、大学院へ進学し、化学を基盤としてバイオサイエンスの進歩に役立てるような仕事をしたいと考えています。

大西素子 教授

大西准教授

中部大学の名物教授

大西教授は、医学博士号を持つ。しかし、いわゆる“お医者さん”ではない。専門は分子生物学。遺伝子を操作する技術を駆使して、生命現象の解明に挑む。

「少し難しい言葉になりますが、私の研究分野は、シグナル伝達と呼ばれる領域。私たちの身体を構成する細胞は、常にさまざまな刺激に呼応しながら、生命活動を営んでいます。細胞を取り巻く環境からの刺激は、細胞内に伝達され、細胞の機能を調節します。シグナル伝達とは、この刺激~~つまり、情報が細胞内を伝わる仕組みです」

細胞外からの刺激が核に伝わることで、細胞は増殖や分化、運動、あるいは生存や死などの活動を起こす。そのシグナル伝達の異常が、ガンなどのさまざまな病気の原因にもなっている。

「私が研究のターゲットにしている“プロテインホスファターゼ”という酵素は、シグナル伝達の過程で、発ガンを誘導したり、骨粗鬆症の原因になる破骨細胞の分化に関係することが分かっています」

そのメカニズムを解明すること、あるいはその伝達を阻害する物質を見つけることが、治療法や新薬の開発につながる。「遺伝ってなに、生命って何だろう…そんな興味や疑問を明らかにしたいなら、分子生物学は面白い学問。私の場合は、遺伝子を操りたいと思ったことがキッカケでした」

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